亜州黄龍伝奇
祖母の親戚の結婚式に招待された工藤秋生は、香港に到着したとたん、パスポート泥棒に遭い、迎えに来た朱明に救われた。翌日、今度は警察を騙る数人と黒ずくめの太陽眼鏡の不気味な男に絡まれた。美麗華酒店の祝宴で、秋生は広東人が交わす話題に興味をひかれた。中国が広東省深〓(しんせん)市の大亜湾に建設した原子力発電所の試験運転がはじまろうとしている時、反対運動が再燃。香港からわずか五十キロの距離にあるここは、風水師によれば、龍脈に当たる危険な場所というのだ。超弩級の活劇が全篇を埋め尽す、大型新鋭の傑作。
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端整な鼻梁に銀縁眼鏡の青年は、ロールスロイス・シルバースピリット2を亜熱帯の自然が繁る〓@4FAF旗山の上り坂をなめらかに滑らせていた。斜面に突きささるように聳える高級マンションと香港島北岸の市街を見下す山頂にかかったとき、彼の意識に不快な感覚が走った。殺気。目前に60階を越えるビルの最上階がロールスと同じ高さにあった。バックファイアに似た音が響いた瞬間、ターコイズブルーの車体が横転した。運転者は、ビンセント・青-青龍だった。連続する富王狙撃、特務機関が入り乱れる霹靂の書下し第2弾。 1992/04/01 発売