出版社 : 徳間書店
18歳のロザモンド・ヴィヴィアンはイギリスの小さな島で、愛情のない祖父と二人きりの孤独な生活を送っていた。ある日、祖父のもとを大金持ちのフィリップ・テンペストが訪れる。ロザモンドは自分の倍近い年の、どこか陰のあるテンペストと恋に落ち、二人は結婚してフランスへと旅立つ。しかしやがてロザモンドは、その結婚が罠であり、テンペストの恐るべき秘密に気づき始める-。
ゲームとして誕生し、いまも幻の傑作として語られる「レッドサンブラッククロス」は、募るその声に応えて、小説として復活した。豊富な作戦知識に支えられて、三百人を超える登場人物にもかかわらず、劇的な展開、手に汗をにぎる熱戦の迫力を現出させる。本書は、いまだ全貌をあらわさない究極の攻防の一端を開封し、読者の想像と頭脳戦の一助として提供する。小説世界から厳密に再現した戦車設計とキャラクター・プロフィール、そして、この傑作を生んだもう一人の作者のメタ論文を加えて、重量級の資料である。
岡っ引きの勘兵、人呼んで悪勘兵は色事にかけては浪花一の事情通。ある日、同心鮫島様のお呼びで奉行所の門をくぐった。新奉行の御目見得だ。何と色白で頬はぽっちゃり、膝を崩して横座り。隣のお小姓と何やら怪しい。この奉行、名が菅丹波守、略して『すかたん奉行』。勘兵、すかたん様から大事件を探し出せとの仰せを受ける。早速飲み仲間の読本作家・西鶴爺さんのお知恵を拝借する。ユーモア時代小説。
おれの名は松平利春。不幸な死体を解剖、検死する監察医だ。死体の声なき声を聞き、事件解決へ導くてぇんで、刑事(デカ)チョウ達に頼りにされている。熱海へ到着すると、寝台特急あさかぜ2号で男女ふたりが死体で発見されたという。男は久野産業総帥、女は熱海の高級クラブのママ。女を殺して後追い自殺かと考えていた矢先、駅前広場で女の死体が発見された。手掛かりは死体のみ、おれのメスの出番だ。長篇推理。
昭和18年10月、佐世保海兵団の講堂に「瀑竜」訓練部隊の隊員150名が集結していた。彼らは巡洋艦や駆逐艦で魚雷を扱う者、海軍航空隊の整備員のなかの寄せ集めのグループだった。訓辞が始まった。諸君の手にゆだねられる高速雷撃艇「瀑竜」は、高い技術を持つ兵士と一撃必殺の破壊力を持つ兵器による少数精鋭で当たれば、敵の新鋭艦も恐るに足りない-「瀑竜戦記」と、黄砂哭く中国東北で繰り広げられた日露の対戦を雄渾に描く「秋山支隊、挺進す」によって補強される「八八艦隊物語」の世界、横山信義が贈る傑作篇。
極寒の早朝、悠海子は検屍のために呼ばれた。公園のベンチの間にその男は倒れていた。赤い石畳に黒い血が飛び散っている。一目見て、死んでいることは明らかだった。-検屍結果は病死。だが持ち帰った便を検査した悠海子は、遺体は死んだ後に公園に捨てられたのではないかという疑惑を深めていった。検屍結果に間違いはない。病死の人間をなぜ…不審に思った悠海子は独自の捜査を開始した。死体遺棄事件は意外な様相を見せ始める…。女医・椎葉悠海子が鋭い推理で検屍の盲点を突く。本格医学ミステリー。
一見無関係に思われた三件の殺人事件。だが現場に残された口紅のケースが同じことから、同一犯の可能性が。鍵を握るのは犯行直後に目撃された喪服の女。そして新たな共通点も。最初の被害者は愛人と横領を働き、二人目は婦女暴行の常習犯、三人目は妊娠した愛人を捨てたという女性問題があったのだ。やはり犯人は喪服の女…。数日後、最初の被害者の妻が探偵事務所を訪れた…。
1910年の日韓併合から45年の日本敗北の瞬間まで、36年間朝鮮半島に君臨した「朝鮮総督府」。足がために乗り込んだ伊藤博文から寺内正毅、長谷川好道ら八人の総督が存在した。語られることの少ない“日韓併合時代”を大韓帝国滅亡に立ち合う悲運の国王高宗と純宗、暗躍する親日派高官、生命をかける抗日志士のそれぞれの生きざまを軸に展開する。知られざる歴史ー日韓の悲劇を描く壮大な近代史ドラマ。
’60年代の反戦運動の元闘士ペリー・ヒルダリーが通り魔に撃たれ死亡した。友人ハンク・ザーンは彼の遺言執行人だったが、死の3週間前に遺言が書きかえられていることを発見する。それは実子を完全に排除し、100万ドルの遺産を4人の男女に贈るという意外なものだった。1人は若く美貌の女性キャスター、1人はうさん臭い離婚訴訟専門家。女探偵シャロン・マコーンはそこに犯罪の匂いを嗅ぎつけるー。
ワシントンDCのアメリカ中央情報局-通称ラングレーといわれる場所、内部の人間がカンパニーと呼ぶ組織でシロン・リーは、サダム・フセインの動向にくぎづけになっていた。八月二日、この日、中東の軍事大国イラクが隣国クウェートへ電撃侵攻した。国連は無条件撤退決議を採択したが、中国の〓@68B0@小平はどう出るか。そのとき、衛星の傍受した通信をパソコンの画面が打ち出してきた。クウェート侵攻直前に起きたチベット騒乱で、ラサの軍と公安が手配した若い東洋系の男の顔だ。その頃、香港の工藤秋生は。傑作完結篇 上。
昭和四十九年夏、東京は未曽有の危機に瀕していた。ほどなく盛夏を迎えようという六月下旬、何の前ぶれもなく突然雪が降った。そればかりか、電力の供給がストップし、すべての内燃機関、エネルギー装置が作動しないという事態が起きたのだ。短時間ではあるが定期的に発生する謎の現象に、首都圏の機能は麻痺しつつあった。エネルギー消失の原因が、東京湾内に存在する「異獣」にあるとにらんだ、われらがロジャーズ・ラフネックスが出動。自衛隊、米軍をまきこんだ大作戦がはじまった。怒濤の書下しスペクタクル。