出版社 : 潮出版社
名主の書役として暮らすお麓の閑居へ、能天気なお菅と、派手好きなお修が転がり込んできた。ふたりとも、いわば幼馴染である。お麓は歌を詠みながら安穏の余生を送ろうとしていたのだがー。ある日、お菅が空地で倒れた女と声が出せない少女を見つけてきた。厄介事である。お麓にとって悪夢のような日々が始まった。直木賞作家が描く痛快時代小説。
後醍醐帝の後胤・玉川宮敦子、後鳥羽帝の後胤を称する鳥羽尊秀、そして馬借の少年・多聞。将軍・足利義教の打倒と南朝の再興へー。暗殺、奇襲、調略、破壊工作…。理想とは裏腹に、その道は凄惨を極めた。ついに幕府は大軍を吉野へ差し向ける。しかし、そこには想像をはるかに超えた謀略が…。
月刊『潮』誌上で好評連載中の「蒼天有眼 雲ぞ見ゆ」シリーズ、書籍化第一弾!!!清代末期の光緒二十五年(一八九九年)。杭州・西湖のほとりにある孤山に暮らす数え年で二十一歳の丁仁は、金石学者である父・丁立誠の後を継ぎ、学究に勤しんでいた。ある日、生薬である「竜骨」に神秘的な図形や文字のようなものが刻まれていて、北京で騒動になっていることを耳にした丁仁は、丁家にかねてから出入りする北京在住の雑貨商人・元突聘に、その子細を尋ねようとするー。
風光明媚な丘陵地の「サ高住」で繰り広げられる、くすりと笑える人生劇場。個性的な住人たちとのやりとり、娘や息子との関係、予期せぬトラブル、ときめく出会いと恋心…。いまどき高齢者のリアルな本音と暮らしがいきいきと描かれた新感覚シニア小説!
接ぎ木の映像を見た女性は幼い頃の生々しい匂いが満ちた混乱の記憶を呼び起こす…「接ぎ木」、誰もいない音楽室から、数日前に亡くなった友だちが奏でるピアノの曲が聞こえて…「迷鳥」、平安時代の貴公子・在原業平は儚い日々を蛍になぞらえた。現代にもまた、そんな男がいる…「蛍」のほか、場所も時代も立場も様々な人間模様を、空想と現実が混ざり合う不思議な物語として描く珠玉の短編24編を収録。
世界の美術業界に革命をもたらした美術陶板。その原点は、徳島・鳴門の地にあった!技術を発見、トライ&エラーを繰り返し、芸術作品として昇華、展示することで、世界に類を見ない規模の美術館として広く知られている国際美術館。その設立に尽力した人々の姿を描く。
小説『新・人間革命』全30巻にちりばめられた女性の幸福と生き方を学ぶヒントが1冊に!繰り返し読みたい人生の指針、心に刻みたい珠玉の言葉。
著者新境地の古代史劇!!まだ日本が“国”として意識されていなかった時代。豪族・蘇我氏を束ねる馬子は仏教を基盤に据えた国造りを目指し邁進していく。政敵たちとの死闘、推古大王と厩戸王子(聖徳太子)との愛憎ーその果てに馬子が見たものとは。日本史上屈指の“悪役”の実像に迫る。
ドラマでは描き切れなかった物語の一つ一つのエピソードの詳細が、脚本家・内館牧子自らの筆で鮮やかに紡ぎ出されていくー。谷川晃は宮城県南部の町・亘理のいちご農家の長男。家業を継ぐ気はなく、東京の大学に進学することに。2011年3月11日は、アパートの契約などのために上京していた。その間、晃を除く家族全員が津波に呑まれてしまい、8年経っても誰一人まだ見つかっていない。大学卒業後、東京で就職するも志半ばで仙台に戻った晃の目には、人々がすっかり震災のことなど忘れてしまっているかのように映っていた。そんな晃を支えてくれたのは、恋人の岡本美結。しかし、晃は家族のことを考えると「自分だけが幸せにはなれない」と、美結との結婚にも踏み出せないでいた。そんな時、二人の前に1台のタクシーが現れるー。アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞受賞!!!
『無刑録』とは、刑が無くても犯罪が発生しないような理想の世を求め、芦東山が著した。当時、刑罰は犯罪に対する報復であるとする応報刑論が主流だったが、人間尊重の立場から犯罪者を更生させるための手段だという教育刑論を唱えたもの。江戸時代中期、24年間もの幽閉生活にめげず、刑法思想の根本原理を論じ、己の考えを貫き通した生涯とはー。岩手県一関市が生んだ偉人を描く歴史長編小説。
映画会社の助監督試験に落ちた五堂顕は、運命的な出来事によって照明部に配属されると、照明技師としての腕をめきめきと上げていった。数年後、顕は、恩人である女優・衣笠糸路に対して賞味期限切れだという周囲の心ない言葉に憤激し、ある方法を使って最高のライトを当てようとするがー。月日は流れ、4Kや8Kの時代に突入すると、照明技師の存在を軽んじる監督が現れる。「ライト・スタッフ」は本当に必要なのか。照明の未来はどうなってしまうのかー。
堅物で彼氏のいない二十九歳の匂坂展子は、いつもと変わらない新年を迎えようとしていたが、六年前に姿を消した知人リコの元カレと偶然再会した日から、日常が加速度的に変わり始める。次々と現れる来訪者はリコの思い出を介してつながっていきー。前編となる物語『タイム屋文庫』で起きた奇跡は展子にも訪れるのか。年の瀬の札幌を舞台にしたロマンチックストーリー。
北海道・大沼湖畔に佇む2つの施設。そこではさまざまな事情で親元を離れた少年少女たちが、自立のために職員たちと一つ屋根の下で暮らしていた。施設を束ねる藤城遼平の娘・ゆきは札幌の病院で働く新人の理学療法士。偶然、父の教え子である同世代の摩耶が唄うYouTubeを見たことから、摩耶、そして同じく教え子の兄・拓弥と出会う。実在の児童自立支援施設を取材し、繊細な心を描き上げた著者の新境地。
環境破壊で荒廃した近未来の地球。17歳の少女ジュリエットは施設に囚われていた。彼女が持つ不思議な“力”-、触れた者に苦痛と死をもたらす「ホット・ハンド」のせいで。しかし、彼女の監禁部屋に1人のルームメイトの少年アダムが来たことで全てが変わる!はたして彼は何者かー。自らの運命に抗い、いまジュリエットの闘いが始まる!