1997年11月15日発売
三木助についちゃあ、話せないことの方が多いよ、特に若い頃は。当時高座名より“隼の七”って名で通ってた。鉄火場での渾名だよ、丁半賭博。そのうち踊りの師匠になっちまって、そこで後のおかみさんと知り合ったんだ。この人と出会ってなけりゃ、どうなったかわからない。芸も人気も上り坂だなと思ってたら、死んじまった。あっけなかったな。敵も多い人だったけど、腰が低くて憎めない感じだった。小兵だが、男前でね-。「芝浜」の名人芸で知られた噺家の生と死。
アラブ人テロリスト、IRAのメンバー、KGB部員、CIAのエージェントと、次々に無差別な暗殺を重ねる謎のテロ・グループ「1月30日」-政治的信条ばかりかテロの目的もいっさい不明であり、唯一わかっているのは、暗殺の凶器に同一のベレッタを使用していることのみ。対応に苦慮した英国首相は、ファーガスン准将率いる英国特別情報機関「グループ・フォア」に指令を下した。同じころ、ファーガスンの右腕である元国際テロリストのショーン・ディロンは、アイルランドのプロテスタント系過激派組織を壊滅すべく、ベルファストに潜入していた。だが、罠を承知で乗りこんだ敵地で、思いもかけぬ反撃を受けてしまう。それを救ったのが、突然オートバイに乗って現われた謎のライダーだった。しかも驚くべきことに、そのライダーは「1月30日」のメンバーであることが判明する。いったい、彼らは何の目的でディロンを救ったのか?やがて、「1月30日」の次なる標的がアメリカ合衆国上院議員であるとの情報が入り、ディロンたちはホワイトハウスへと赴くが…。
幾多の闘いをくぐり抜けてきた顕聖二郎真君。彼の内が神と人とに分かれた。闘いの末、人の二郎は敗れ、冥府に落ちる。神の二郎は妖物の力を借りて天宮の玉帝を倒そうとしていた。冥府の二郎は人としての生命を授かる代わりに、天禄台帳を取り返すため、神の二郎を追って天界へと向かう。人として生きるか、天界の支配者として君臨するか。二人の二郎が今最後の闘いに挑む。中国大河ロマン完結篇。
モサドのゴールドスタインに拉致され、香港啓徳空港からイスラエルへと向かっていた秋生は途中、アラブ・ゲリラのハイジャックに巻き込まれた。それどころか、犯人の一味に間違われ、公共公安部隊軍の刑務所に拘束されてしまうはめに。一方、ビンセント・ヘンリー・セシリア・玄冥たちは、CIAのシャロン・リーと一時協力関係を結び、秋生を救出しようとアンマンへ向かうが…。超時空アクション完結篇。
イタリアの小さな村、トリヴェントでトラットリアを営むマルチェロ。死の病に冒された最愛の妻ロザンナは、村の墓地に眠る娘の隣に埋葬されることを望んでいるが、空いている墓はあと三つだけ。妻より先に村人を死なせてはならない!ロザンナの最後の願いを叶えるべく瀕死の病人を見舞ったり、献血、交通整理とマルチェロの涙ぐましい奮闘が始まる。果たして、彼と妻との切なる願いは成就するのか…。
静かな田舎町で平凡な主婦が切り刻まれて惨殺された。スタンプラー事件から10年、かつての敏腕弁護士マーティン・ヴェイルは、今では峻厳な検察官として犯罪者から恐れられている。そのヴェイルの前につきつけられる謎の死体の数々。ヴェイルの記憶はいやおうなしに過去の恐るべき事件へとさかのぼった…。法曹界の風雲児、マーティン・ヴェイルを主人公とする、ベストセラー『真実の行方』待望の続篇。
10年後の今も精神病院の厳重警戒病棟に収容されているエアロン・スタンプラーに、面会に行くヴェイル。そこに見いだしたかつての依頼人は、まったくべつの人格になりかわっていた。だがヴェイルには納得できない…。執拗な復讐心と恐るべきトリック。つぎつぎと犠牲になっていく10年前の事件の関係者たち。シカゴを舞台に、凶悪な殺人鬼とマーティン・ヴェイルの死闘がくりひろげられる。
息が洩れるような笑い声が御殿内にこだまする。ここは、天正10年6月2日早暁、京都四条西洞院本能寺。天下一統を目前にした織田信長切腹の間であった。「上様をここより脱出させたい」刃を握る信長を前に、歯の抜けた口で笑う奇妙な男が現われた。(こやつどこからはいってきた?)訝しむ信長に対しさらにつづけて、「海の向こうにお逃げなされ。堺湊にポルトガル船が待っています」と途方もない囁きをし、また奇怪な笑い声を上げた。なにかに憑かれたように無言でうなずいた信長の額に怪人の指が触れたとき、覇王の新たなる伝説がはじまった-。