1998年3月15日発売
女性記者レベッカが射殺された。彼女の「婚約者」と「恋人」は容疑者を突き止めるが、その人物は元FBI捜査官だった。狂信的な秘密組織を率い、「自由の砦」に住む男のもとに潜り込んで復讐の機会を狙う「恋人」は、仇の娘を愛し始めるー夢のように美しい大地を舞台に、追憶と哀愁が全篇に漂う傑作サスペンス。
旧独裁者の死をうけ新タシュカルとなった、秘密警察長官ギンコラシュの恐怖政治がタラケで始まった。不穏分子静粛を進めるギンコラシュは、独裁権力確立の鍵を握る巨大ステーション“貯蔵庫”とタシュカル護衛にあたる“家臣”団の存在を知る。両者わがものにすべく、彼は自ら貯蔵庫に赴くが、そこにはローダンたちが閉じこめられていた。そして混乱の中明かされる貯蔵庫の驚くべき正体とは。
ソ連に吹き荒れたユダヤ人迫害の嵐のなか、一人の女性詩人が処刑された。彼女は二人の子供を残した。最初の夫である詩人との間に生まれたアレクサンドル。そして二度目の夫のKGB大佐を父とするジミトリー。だが、兄弟の運命は大きく分かれてしまった。アレクサンドルはアメリカの伯母のもとへ。ジミトリーは孤児院へ。東西に引き裂かれて闘うことになる宿命の兄弟を、息もつがせぬ展開と壮大なスケールで描く傑作巨篇。
アメリカで育ったアレクサンドルはアレックスと呼ばれ、ソ連の研究家になった。一方、ジミトリーはKGBに入り、次第に頭角を現わしていく。しかしパリでめぐりあった二人は、同じ女性を愛したためにお互い激しい増悪に身を焼くことになった。アレックスはCIAに加わり、丁々発止の諜報戦の中で弟との死闘を繰り広げる。そして波瀾万丈の物語は驚愕のクライマックスへ…。巨匠バー=ゾウハーの集大成というべき雄篇。
アル中更生施設で働く青年ジューヴェナルは、触れるだけであらゆる病を癒す“奇蹟”の力の持ち主だった。その力を当て込み、ひと儲けをたくらむ元宗教家が、若い女性リンを手先として更生施設に送り込んできた。ところが、リンは天真爛漫なジューヴェナルにこれまでの男性にない魅力を感じ、たちまち恋におちてしまう。策謀にからめ取られていく二人の恋の行方は?犯罪小説の巨匠レナードが新境地を拓いた傑作恋愛小説。
弘化二年、江ノ島弁財天への御代参に向かう大奥女中の行列の駕籠が四人の虚無僧に襲われ、その中の一人が拉致された。二度と人は斬らぬと誓って、刀を捨てて久しい俳諧師・風来老人だが、弁天詣で女性を救うのも、風雅というもの、五尺の樫の杖を旋風のように翻転させ、賊を追い払った。助けられた娘は志乃、老中・水野忠邦の密命を受け江戸城大奥への阿片持ち込みの噂を確かめるべく、探索をする者だった…。
赤城、加賀、蒼龍、日本の誇る機動部隊がミッドウェーの波間に消える。ただ一隻、阿修羅の奮戦を続ける空母の命運も風前の灯火であった。「か、艦長はいるか…総員に退艦命令を…だ、出してくれ」空母座乗の第二航空戦隊司令官がもうろうとした表情で告げる。「うっ…おーい…俺の足を誰か羅針盤に…ううっ…縛れ。か、棺桶から流れ出したら…うっ…たまらんからな…た、たのむ…」かろうじてつぶやくと、重傷の司令官は意識を失った。「よーし今だ、司令官を運び出すんだ。いいか、しばらくは目を覚まさんよう安定剤を多めに打てと、軍医に言うんだぞ」艦長が大声で叫ぶ。司令官は屈強な男たちに担ぎ出されていった。時は流れ昭和19年10月、レイテ湾。九死に一生を得た男が大和に佇む。
函館在住の推理作家を訪ねようとしていた編集者弘田の服毒死体が青森で発見された。その後各出版社に殺人を予告する脅迫状が送りつけられ、弘田の上司も殺されてしまった。しかも浮かび上がった容疑者には鉄壁のアリバイが…。はからずも事件に巻き込まれた笹谷美緒と黒江壮の名コンビは不可能殺人の解明に乗り出す。アリバイ崩しに挑む本格長篇鉄道ミステリー。