2000年3月15日発売
刀を捨て、紅を扱う紅屋の主人となった惣兵衛だったが、大店の陰謀、父親の仇の出現を契機に武士魂が蘇った。妻は夫が武士に戻ってしまうのではと不安を感じ、心のすれ違いに思い悩む。夫婦の愛のあり方、感情の機微を叙情豊かに描き、鮮やかなラストシーンが感動的な傑作長編。第七回時代小説大賞受賞作。
大群にそって飛行をつづける“グッド・ホープ2”はあらたな構造震動にみまわれた。大群がまたしても未知飛行物体“ユニット”を送り出したのだ。ローダンは飛行物体の目標星系を構造アルファと名づけ、偵察コマンドの派遣を決めた。さっそく志願したウルトラ周波エンジニアのダライモク・ロルヴィク大尉やパープル人への復讐を誓うサンダル・トークなど4名のコマンドが惑星テストケース・ロルヴィクに降りたったが…。
人々が意識だけの存在として仮想空間へと移住しはじめた近未来。養老院に暮らす「私」は、確かな生の実感をとりもどすため、友人の子安とともに理想のクルマを設計する。いっぽう遙かな遠未来。太古に存在した人類の文化を研究する翼人のキリアは、遺跡で発掘された設計図をもとに、あるクルマの製作を開始するが…。機械と人間の関係を追究してきた著者が、“魂の駆動体”たるクルマと自由な精神の解放を謳う現代の寓話。
なぜか男と別れた女性ばかりがやってきて住みつく町、フロリダ州ヴェリティー。この町では、猛烈な暑熱と湿気に襲われる五月になると何かが狂い出す。海亀たちは街灯の明かりを月光ととりちがえ、街路を横切り移動を始め、あげく車につぶされてしまう。人も頭がおかしくなってしまうのだ。ルーシーとジュリアンが出会い、すべてが一変したのも五月だった。ある日、ルーシーの12歳の息子キースが失踪した。おりしも、ひとりの若いシングルマザーが殺され、赤ん坊が消える事件が町を騒がせていた。いくら“ヴェリティーの町いちばんの悪ガキ”でも、キースがまさか殺人までするはずがない。愕然とするルーシーの前に現われたのは、近寄りがたい雰囲気の警察官、ジュリアンだった。やがて、反発しあう二人の心に奇妙な変化が…。空想と現実を巧みに織り合わせるストーリーテラーが、人生のマジカルな瞬間を紡ぐ感動のハメット賞受賞作。
ぼくが14歳の夏、父さんが発作を起こして死んだ。そのとき家族に残されたのは父さんが買った大量のセメントだった。だからその翌年、今度は母さんが病気で死んでしまうと、ぼくは姉さんのジュリーといっしょにその死体をコンクリート詰めにして地下室に隠すことを思いついた。そうしないと、大人たちがやってきて姉さんとぼく、幼い弟や妹は離れ離れなってしまうから。こうしてぼくたち四人の子供だけの生活、やりたい放題の自由な毎日が始まった。ぼくは好きなだけマスターベーションにふけり、ジュリーはボーイフレンドと遊びまわり、妹は部屋に閉じこもったきり出てこない。が、やがて最高に思えた生活にも翳りが見えはじめる。そしてぼくとジュリーの関係にも大きな変化が…両親の死をきっかけに、思春期の少年が見出した楽園とその崩壊。現代英国文壇でもっとも注目を浴びる作家が、死体遺棄、近親相姦をテーマに放つ傑作長篇。
サラとジャレッドはニューヨークに住む仲のいい夫婦。妻のサラは半年間の職探しののち、ようやく検事局に入ることができた。だが、検事補としての初出勤の日、大規模なリストラが行なわれることを知らされる。とにかく仕事の実績をつくろうと、サラは敏腕の上司が扱う事件を横取りしてしまう。が、被疑者はいわくつきの男で、彼の背後に何かがからんでいることがわかってくる。一流法律事務所に勤務するサラの夫ジャレッドも仕事で行き詰まっていたが、突然、押し込み強盗で逮捕された被疑者を弁護してほしいとの依頼が入る。彼は喜んで引き受けるが、やがてその事件は妻のサラが担当していることが判明、しかもこの裁判に勝たなければ妻の命はないと依頼者から脅迫される。妻に打ち明けることは許されなかった。一方、サラも謎の人物から脅迫を受ける-裁判に負ければ夫の命はないと…。一見単純そうに見えた押し込み強盗事件がしだいに複雑怪奇さを増していく。そして、愛し合うがゆえにだまし合いをしなければならなくなった二人に、思わぬ運命が!軽快なタッチで描く、策略に満ちたサスペンス。
姫子は十三歳。登校拒否の中学二年生。首吊り自殺のために入った山奥で偶然出会った男・阪本が殺人容疑者と知ったことから、事件に巻き込まれる。というより、彼に惚れてしまったのだ。ライバルは多い。公園に全裸死体で放置された女デザイナー、六十歳で元結婚詐欺師の探偵・ウネ子、とくにお婆は好敵手。恋も事件もねじれ、もつれ、姫子にも魔手が…。絶品の語り口調。ミステリーの枠を超えた傑作。
快楽と孤独と倒錯。新鋭作家の話題作。二十世紀末の大都会、コミュニケーションの断絶、増幅される不安…。あなたのまわりにもきっとひそんでいる欲望の罠。タブーを省みず、大胆な筆致で描いた短編集『ひとりぼっちの欲望』『欲望のちいさな罠』から選んだ十八の短編を収録。
自殺志願の男が思わぬ事件に巻き込まれる…三百三十人は殺されたのか?墓地でいきなり始まる銃撃戦。やがて見えてくる偽装工作。何かが隠されている!底知れぬ巨大な何かが!犯罪の臭いを嗅ぎつけた男を待ち受ける摩訶不思議な出来事…人類の文明を揺るがす先端研究の謎が明かされ、天国を見る者と地獄に落ちる者…崩れて行く足元と、誰も信じられない孤独…まさか!まさか!のドンデン返し!絶好調D.クーンツの最新傑作。「インテンシティ」に続く全米ベストセラー。