2007年9月発売
男には不自由していなかった。男の人がつねに傍にいることこそが、勝ちの女なのだと。私はいつから、そう思うようになってしまったのだろう。詩集『刹那の谷 切なさに溺れて』の鮮烈デビューから1年。待望の長編恋愛小説第1弾。
「私はFタクシーの乗務主任で立花五郎と申します」元ヤクザのタクシー運転手が、仕事の上で会った人達が抱えるさまざまな問題や、遭遇した事件を解決する痛快アクション小説。
強請りたかりはお手のもの。誰が呼んだか、蛇蠍の忌み名。そんなワルの俺より悪党がいるー。長屋の井戸端に埋められていた藁人形。ささいな事件が招いた因縁。男気を出したばかりに無実の罪を背負わされて島流しにされた男。ご赦免花が咲き、ようよう帰ってきたというのに虫けらのように斬り殺された。手加減いっさいなしの悪党退治、“あぶない”岡っ引きが活躍するシリーズ第二弾。
霊験あらたかな秋葉権現のお札を求めて、大川を本所へと渡る舟が転覆した。凍てつく川から女や子どもを救ったのは、御家人の次男坊三男坊、松之介・竹之丞・梅太郎の三人組だった。生家では厄介者扱いされ、無頼と怠惰の日々を送っていた彼らだが、今は「どんなことでもいい、世のため人のためになることを気が向いたらやっておくれ」という緋扇屋秀五郎の寮で気ままに暮らしている。「松竹梅」の爽やか三人組の活躍を描く痛快新シリーズ。
おそらく半径500メートル、いや1キロを見渡してみても「一番かっこいい」と思われること間違いなしの超美形男子高校生・永峰達也は、ある日、通学途中に清楚な美少女を見かける。「か、かわいい…」しかし、そこは、120%妄想男の達也。「告白」→「メアドの交換」→「初デート」→「それから…」の脳内シミュレーションのみが日々バージョン・アップされ、声をかけるまでに1年半経過。さらに、そこから手を繋ぐこともできない状態が1年も続いた(ああ、もう、じれったい!)。ところが、ひょんなことから、ふたりは「ともに物語を書く」という共通の趣味があることに気付くー。読書好きの少年少女・元少年少女必読の一冊。
出羽は天童将棋村ー。無刀の剣士・鑢七花と奇策士・とがめは、王刀『鋸』を振るい、心王一鞘流をたった一人で守る汽口慚愧の道場を訪ねる。とがめがめぐらした奇策に、全身全霊で攻め入る汽口!一方で、否定姫配下の元忍者・左右田右衛門左衛門による真庭忍軍への残忍な粛清は静かに続くー!刀語、第九話の対戦相手は、心王一鞘流当主、汽口慚愧。
宝永4(1707)年突然大爆発を起こした富士山は16日間にわたり砂を降らし続け、山麓農民に甚大な被害をもたらした。時の関東郡代伊奈半左衛門忠順はこうした農民の窮状を救うべく強く幕府に援助を要請した。だが、彼が見たものは被災農民を道具にした醜い政権争いだったー。大自然の恐怖を背景に描く長篇時代小説。
富士山噴火によって被害を受けた農民を救うべく奮闘する関東郡代伊奈忠順。だが幕府内の政争の前に、彼の努力もむなしく、農民達は次々に飢えていく。ついに忠順は決心する。たとえこの身がどうなろうと幕府米五千俵を秘かに農民に与えようとー。農民救済に命をかけた代官の生涯を壮大なスケールで描く。
今日も池袋には事件が香る。風俗スカウト事務所の罠にはまったサンシャイン60階通りのウエイトレス。伝説のスターが設立を夢見るロックミュージアムの真実。集団自殺をプロデュースするインターネットの“クモ男”-。ストリートの「今」を鮮やかに描くIWGPシリーズ、切れ味がさらに増した第5弾。
愛しい妻は癌に冒されていた。その現実から逃れるように夜の街へ出た「私」が、病室に戻って妻と眺めた月は…。何気ない会話の中に潜む情愛。平成3年、第12回吉川英治文学新人賞を受賞し、作家としての評価を確立した、珠玉の短篇集。表題作ほか、「くらげ」「残塁」「桃の宵橋」「クレープ」の全5篇を収録。
玉枝は、深川の料亭「江戸屋」の女将である三代目秀弥の一人娘。周囲の人々の温かく、時に厳しい目に見守られながら、老舗の女将としての器量を学びつつ一人前に成長していく。山本作品にたびたび登場する四代目秀弥の少女時代にさかのぼり、母から娘へと受け継がれる江戸の女の心意気を描く、波乱万丈の物語。
古くから一向宗を信じ“上なし”の自治を貫いてきた伊勢の長島。多くの川が入り組み、独特の地形に住む門徒たちは、商船を仕立て各地を巡っていた。尾張、美濃を領地にした織田信長は次に伊勢に目を向けた。世に名高い信長と長島一揆の闘いである。近代化された信長軍団に身一つで立ち向った一向門徒たちの運命は如何に。
29歳、無職の“俺”。マリファナに耽溺しながら、寝たきりの祖母を自宅で介護する日々。“悟っては迷う魂の俺から朋輩へ”放たれる熱狂と呪詛。新しい饒舌文体でセンセーションを巻き起こした、モブ・ノリオのデビュー作にして芥川賞受賞作。単行本未収録の短篇「市町村合併協議会」「既知との遭遇」も収録。
戦国動乱の最中、鋭い眼で世を見据える青年、藤堂高虎は、巨躯を生かした槍働きで立身出世の夢を抱いていた。自らの実力に正当な評価を求め主を転々とする高虎だったが、運命の主君羽柴秀吉の弟・秀長に見出される。算用や築城術などを秀長に学び、その名声を徐々に高めていく高虎。だが秀吉の下で頭角を現わす宿敵・石田三成がその行く手を阻む…。
粉河二万石の大名に出世を遂げた藤堂高虎。ところが主の豊臣秀長が逝去し、後継者・秀保は暗殺され主家が滅亡してしまう。宿敵・石田三成の謀略か?やがて強引な秀吉の政策に危惧を抱いた高虎は家康に見込まれ、秀吉の死後、徳川幕閣に参加する。武勇と智略を兼ね備えた高虎は関ヶ原で遂に三成率いる西軍と対峙!時代の先を読み、己の変革を遂げた漢の生涯。
ホラー作家・鹿角南のもとに、旧友からメールが届く。ある廃墟で「肝試し」をしてから、奇妙な事が続いているというのだ。ネタが拾えれば、と軽い思いで肝試しのメンバーに会った鹿角。それが彼女自身をも巻き込む戦慄の日々の始まりだった。一人は突然の死を迎え、他の者も狂気へと駆り立てられてゆくー。著者の実体験を下敷きにした究極のリアルホラー。
首のない他殺体が東京で発見、直後、京都、福岡でも同様の事件が起こった。現場には「正義之国王」という署名と、国宝「金印」の朱印の押された死刑宣告文が遺されていた。凄惨な連続殺人と「金印」につながりは?捜査に乗り出した十津川は、三つめの朱印が史書にしか記されていない女王卑弥呼の「もう一つの金印」であることを知る。本物か?古代史学界が騒然となる中、実物を発見したと主張する謎の団体「アドベンチャー・ジャパン」が、幹部の一人を連続殺人の犯人として告発した…。長編推理小説。