2007年9月発売
ごく平凡な8畳ワンルームがわたしのお城。携帯ゲーム機の中で飼っている柴犬が同居人。しがないOL3年目。先輩のお小言と香水の悪臭を毎日食らい、人員整理によりリストラ寸前。腐れ縁の元カレがときどき生活費を無心にやってくる。これが憧れと希望を胸に地方から上京してきたわたしの東京生活の、なれの果て。そんなある日、高校時代の親友であり魔性の美少女であり、“強盗殺人犯”-鞠子が、3千万の札束と紫色のちっちゃい下着をトランクに詰めてわたしのマンションに転がり込んできた。17歳の“わたし”と24歳の“わたし”の日々が交錯する、青春のビフォー&アフターストーリー。
戦国の徒花として散った「お市の方」の無念を、難攻不落の名城大阪城を手に入れることで晴らそうとした「ちゃちゃ」。淀と秀吉が思い描きつゆと消えた幻の夢とは…。激動の時代を生きる女の宿命を流麗な筆致で描き出した歴史浪漫。
企業買収を目論み光に集まる黒い蛾と、妖しい鱗粉を撒き散らす夜の蝶が交錯する銀座の夜。企業の興亡にも男女の愛にも定められた宿命がある。その運命の激流に飲み込まれながら、一人の男としての生き様を貫こうとする若き主人公のもの悲しいまでも甘く切なく壮絶な物語。
「エッフェル塔の先端にスカートのお尻を引っかけて宙ぶらりんになったままトランペットを吹いている花嫁さん」など全身不思議な洋ものタトゥーだらけの由果のまわりには、一筋縄ではいかない同じ会社の仲間たちが集まっていた。恋人の博覧強記男・健次、下北沢路上美形弾き語り青年・京一、彼を好きな謎のお金持ち令嬢・千石さん、ハードボイルドで映画おたくな浩一郎と共にみんなでどれだけバカで笑える話ができるかに命をかけて日々を過ごしていた。しかし、タトゥー・フェチの野茂美津夫部長の策略が引き金になって、事態は思わぬ展開を迎えることにー。
哲彦が疎開先の漁村で出会った少年・喬史の顔の左半分を覆う真っ黒な痣。村人たちはそれをスナメリの祟りと忌み嫌うが、痣に埋もれた喬史の左目にはもっと恐ろしい秘密があったー。表題作など、グロテスクな美意識が異彩を放つ驚異のデビュー作。オール讀物新人賞受賞。
人間社会に対して激しい不信の念を抱くネモ船長とは何者?その目的は?謎の潜水艦ノーチラス号は、インド洋から地中海、さらに大西洋を南下して南極へ。凍結した海底に閉じこめられ、巨大なタコの大群や暴風雨に遭遇、と波瀾万丈の航海は続く。
長い熟成期間を経てまとめあげられたエンデ晩年の傑作短編小説集。精神世界の深みにおもりをおろし、そこに広がる様々な現実を色とりどりの花束に編み上げた、エンデ文学の到達点を示す力作。ドイツ・ロマン派的伝統を背景に、手紙・手記・パロディ・伝記など多彩な手法を駆使して、ファンタジーの世界が繰り広げられる。
「神は三種類に分類される。まず第一が、大自然。次は祖霊。最後は、時の朝廷に対して戦い、恨みを呑んで亡くなっていった人々」。銭洗弁天、鶴岡八幡宮、御霊神社…鎌倉をそぞろ歩く奈々、沙織の棚旗姉妹に、桑原崇が説く、源三代にまつわる謎の答えが、そのとき密室で起こった社長失踪事件をも解き明かす。
小紋を考案し型を彫ることを生業に望み、色挿しをするふゆと末を約束した由蔵。だが、魚油問屋を継いだ兄が急死する。やむなく家業を継ぎ、ふゆとも別かれた由蔵は、商売に明け暮れていくが、あるとき、なじみの料理屋の女将が“おもしろい小紋を見つけた”と言う。表題作を含め全五篇を収録。
「この街で、オレを待ってくれる人はもう誰もいない」戦場カメラマンを目指すため、恋人・奈津実と別れた螢坂。16年ぶりに戻ってきた有坂祐二は、その近くのビアバー「香菜里屋」に立ち寄ったことで、奈津実の秘められた思いを知ることになる(表題作)。マスター・工藤が、客にまつわる謎を解き明かす第3弾。
コスプレする少女と同人誌に燃える少女。凄絶ないじめを受ける少女といじめる少年。そして人肉しか食べられなくなってしまった少女!彼女たちの中に美しい転校生がやってきた日、惨劇の幕が開かれる。密室に捨て置かれた血塗れの死体は錯綜する事件の序章に過ぎない。美少女学園ミステリーの最果て作。
薩長両藩が暗躍し、攘夷派の浪士たちが横行する、無政府状態に近い幕末の京。新たに京都守護職を命じられた会津の青年藩主・松平容保は、藩兵千人を率い、王城の護衛者として治安回復に乗り出すが、複雑怪奇な政治の術数に翻弄され…。表題作の他に、「加茂の水」「鬼謀の人」「英雄児」「人斬り以蔵」を収録。
明治に建てられた洋館、月映荘。惨劇は再びここで起こった。京介とともに晩餐に招かれた医師が撲殺されたのだ。図らずも事件に巻き込まれていく京介の前に、複雑な生い立ちを抱える茉莉、雪音を聞くことができる不思議な少女、綾乃たちが、謎を深めて絡み合ってくる。さらに京介自身の過去が揺さぶられる。
立花併右衛門は江戸城の書類決裁に関わる奥右筆組頭。権勢を誇った田沼意次の孫意明の死亡届を見て、十二年前の田沼意知刃傷事件に疑念をはさむ。その帰路、何者かの襲撃を受け、隣家の次男柊衛悟を護衛につけるも、二人はすでに幕政の闇の渦中にあった。読み応え抜群、気鋭の新シリーズ開幕。
「充実した毎日を。映画の様な人生を」魅惑的な言葉に誘われ、ネット上から消えた8人。総合病院から失踪した11人の患者たち。そして惨殺された4人。奇妙に絡み合う3つの謎に挑む座木とリベザル。思いもよらぬ真相とともに、薬屋店主・秋の秘密も明かされる。高里ワールドがより深化した、シリーズ第7弾。
患者が持つ特別な細胞を製薬会社へ売り、莫大な利益を得た大学病院。当の患者は、大学と製薬会社を相手取って訴訟を起こす。成熟を加速させる遺伝子を組み込んだ新薬。それを誤って口にした男の体に起こる異変とは?離婚訴訟で親権を得るため、夫が妻の遺伝子診断を依頼。これが社会の常識になるのか?一流のスポーツ選手、CEO、国家の指導者たちはみな同じ遺伝子を持っていた-その学説が引き起こす大きな波紋。巨大なゴキブリ、おとなにならない仔犬-最新技術によって、新しいペットが誕生する?ヒトの遺伝子を導入して生み出されたチンパンジーとオウム。人語を自由にあやつる彼らが起こすさまざまな事件。巧みにちりばめられたエピソードの中から、やがて浮かび上がる悪夢のような未来図。“超頭脳”クライトンが斬新かつ大胆な構成で描く最新作。
死体は木の枝から吊り下げられていた。だが、手も縛られていないし、首の骨が折れているようすもない。踏み台らしきものもない。「コートの前を開けてみてください」言われたジェッシイが死体の胸を見ると、そこは黒ずんだ血でごわごわになっていた。発見された射殺死体の身元はすぐに判明した。全国ネットのテレビ番組を持つ人気者ウォリー・ウィークスだったのだ。マスコミが殺到し、知事までが介入しようとする。そんな騒動のさなか、第二の死体が発見された。今度はウィークスのアシスタントの女性。ウィークスと同じ銃で射殺されていた。しかも解剖の結果、妊娠が判明する。DNA鑑定による父親はウィークスだった。現在の妻、二人の元妻、周囲の取り巻きたち。容疑者が多いが、みなしっかりしたアリバイがあり、捜査は難航する…。いっぽうジェッシイのもとには、またしても前妻のジェンが難題を持ち込んでいた。レイプされ、ストーカーに付きまとわれているというのだ。ウィークス事件との板挟みになったジェッシイは、恋人の私立探偵サニーにジェンの件を託すが…。警察署長ジェッシイ・ストーンと私立探偵サニー・ランドル。巨匠パーカーの二大キャラクターが夢の競演!ますます好調のシリーズ最新作。
雨の日、気まぐれに駅のホームに現われて易を立てるという謎の老人。ふとした偶然からその存在が知られることになり、彼の助言をもとめて駅を訪れる人々。易とは何なのか?その結果によって悩める人々は救われるのか?東京の下町を舞台に、人々の想いが絡みあい綾をなす異色の人情ミステリ。