2009年9月発売
70年代、80年代、90年代の短編ミステリーから、人気作家がベスト・オブ・ベストをセレクトする究極のアンソロジー第4弾。今回はミステリー・ブレンダーの京極夏彦が、「謎」「疑」「譚」「情」4つのテーマのもと、独自の視点で選び抜く。時を経て更に輝きを増す至高の8作品が、あなたをミステリーの虜にする。
世界は何によって、どんな風にできているのか?百姓の小倅であるヨハネスは、ふいに彼を襲った疑問に憑かれて旅に出る。折しも異端審問やペスト、農民一揆に揺れる十六世紀初頭。ヨハネスは、美少年シュピーゲルグランツを伴って、迷い多き道を辿るのだったー。圧倒的筆力で話題を攫った傑作長編小説。
美形の妖怪探偵達の活躍“薬屋探偵妖綺談”のラストを飾る作品。お使いにいったリベザルは誘拐・監禁され、座木の義父は首のない鶏がぶら下がる部屋で変死を遂げる。そして秋は…。昭和35年、女子高でのできごとに関係あるのか?時空を超えた事件と事件が絡まりあうのだった。大人気シリーズ第13作。
隕石と衝突し、突如操舵不能になった宇宙船。しかも悪いことは重なるもので、なんと船はピンケンバヒヤ重力渦に突入、時間の流れがめちゃくちゃになった結果、月曜日の私からはじまって火曜、水曜、木曜…と無数の私が出現!てんやわんやの大騒動に…広大無辺の大宇宙を旅する泰平ヨンが出会うさまざまな奇想天外・珍無類のできごとを、東欧SF界の巨星レムが奔放な筆致で描きあげた連作短篇集、待望の改訳決定版。
冷戦下のドイツ。アメリカの最新鋭攻撃機A-10Fが演習中にミグ25に襲撃され、東ドイツ領内に不時着した。A-10Fにはパイロットと機を一体化させる極秘装置が搭載されていた。現場に赴いたアメリカ軍事連絡部“奪還チーム”のマックス・モスは装置を回収する。が、高度にチューンナップされた彼のフォードを、東ドイツ人民警察のBMW、ベンツとソ連の攻撃ヘリが追ってきた。緊迫のカーチェイスを描く冒険小説の名作。
13歳のアナは、白血病の姉ケイトのドナーとなるため、遺伝子操作を経て生まれた。ケイトの病状は一進一退を繰り返し、ついには腎臓移植が必要となる。しかし、アナは腎臓の提供を拒み、両親を相手取って訴訟を起こす。もう姉のドナーになりたくない、自分の体を守る権利がほしい、と。娘の突然の行動に戸惑う両親だが、アナの決意は固い。そして両親とアナは法廷で争うことになるーニック・カサヴェテス監督映画の原作。
臓器提供を拒否する姿勢を崩さないアナ。弁護士の資格を持つ母サラは、長女ケイトの命を救うために、次女アナと法廷で対決することを決意した。一方、アナの弁護士キャンベルも万全の備えで裁判に挑もうとしていた。戸惑い、悲しみ、無力感ーさまざまな思いを抱えつつ、家族は裁判の行く末を見守る。はたして、法廷で明らかになる真実とは?姉妹を待つ運命とは?家族の絆のあり方を真摯に問う感動作、話題の映画化。
カーステアズ家の子どもたち、14歳のダイナ、12歳のエイプリル、10歳のアーチーは、勇んで探偵に乗り出した。お隣りのサンフォード家の奥さんが射殺されたのだ。でもおかしい。銃声は二発聞こえたのに、被害者が撃たれたのは一発だけ。そしてサンフォードさんの旦那さんも姿を消して…ミステリ作家のお母さんを有名にするために、子どもたちの大活躍が始まった!ほのぼのユーモアたっぷりの本格ミステリ、新訳で登場。
ネアンデルタール人と現生人類の混血を示唆する太古の骨ーこの大発見の五周年記念行事に参加すべく骨の発掘されたジブラルタルを訪れたギデオン。だが喜ばしい記念行事の影には発掘現場での死亡事故をはじめ、不審な気配が漂っていた。彼自身まであわや事故死しかけ、発見に貢献した富豪が自室で焼死するに至り、ギデオンは疑いを深めるが…。一片の骨から先史時代と現代にまたがる謎を解く、スケルトン探偵の名推理。
謎の失踪から二十年余り、ふいに勘兵衛の許へ帰ってきたお静。事情も訊かずに迎え入れ、医者仁徳と三人、恙無い一年半が過ぎ行きた。今では、定町廻り鯉四郎に嫁いだ一人娘、綾乃の腹に孫が宿る幸せも、しかし何故か、ふと居たたまれなくなる勘兵衛は、忙しい探索の合間にも、おふうの幻に縋ろうと、独りでに浮瀬へと足が向く…。慈愛と悲哀に、喜楽と憤怒を織り込んだ、傑作風流捕物帖。
木藤家の御役目は御膳奉行。その主な役割は将軍が食する前に味見をして、毒が盛られることを未然に防ぐ、毒味役である。しかし、当主・多聞の妾腹の子・隼之助は、父に命ぜられ、町人として市井で暮らしていた。憤りを抱えつつ、長屋での暮らしに、お節介な年寄りたちや友人たちのおかげで慣れてきた頃、父から塩問屋の山科屋に奉公しろと…。書下し時代小説。
父は、何を得て、何を失い、なぜ消えたのだろう?北海道を捨て、ナイチを捨て、家族を捨てた、でたらめな男。それが僕の父だったー。北海道と内地。父と息子。遠くて近い、ゆらぐルーツと奇妙な繋がりの物語。
「ねえ、たい焼を食べるときはどの部分から食べる?」学校の屋上から飛び降りようとしている静香に、場違いなことばを掛けたのは、たくさんのたい焼を抱える少女・明生だった。「わたし、たい焼で世界を救いたかったの…」。不思議な出会いから始まった関係はゆっくりと交錯し、やがてふたりの運命を大きく変えていく。
アイルランドの女子大生ブリーダの、英知を求めるスピリチュアルな“旅”とは。“旅”を導くのは、ふたりの師。恐怖を乗り越えることを教える男と、魔女になるための秘儀を伝授する女。ふたりから特別な“力”があると認められたブリーダだが、自分の道は自らの手で切り拓かねばならない。実世界との結びつきと、刻々と変容していく自分自身との狭間で、ブリーダの心は揺れるー。
法律を勉強するため上京した十八歳の青年フレデリックは、帰郷の途上、セーヌ河をゆく船の上で美しき人妻に心奪われる。やがてパリ暮らしを再開した彼は、一途に人妻を想いながら、夫の経営する新聞社や社交界に出入りをするようになる…。革命前後のパリで生きる夢見がちな青年と、彼をとりまく四人の女の物語。
美しき人妻アルヌー夫人、高級娼婦ロザネット、社交界の名花ダンブルーズ夫人、田舎で彼を待つ可憐なルイーズ。四人の女性に愛されながら、夢のような恋を求めてパリ暮らしを続ける青年フレデリックが、純真さとひきかえに少しずつ成長していく…。『ボヴァリー夫人』とともに名訳で贈る小説の最高峰。
恋人に別れを告げるために訪れた海辺の宿で起こった奇跡を描いた表題作「月下の恋人」。ぼろアパートの隣の部屋に住む、間抜けだけど生真面目でちょっと憎めない駄目ヤクザの物語「風蕭蕭」。夏休みに友人と入ったお化け屋敷のアルバイトで経験した怪奇譚「適当なアルバイト」…。珠玉の十一篇を収録。
妹が失踪したと、絹枝という女が犯罪学の権威・畔柳博士を訪ねてきた。折しも博士は、とある会社の怪しい従業員募集の新聞広告に犯罪の匂いを感じていた。絹枝の話では、妹・芳枝はそこに応募したとしか考えられない。博士の悪い予感は当たり、芳枝はすでに惨殺されていたー。好みの女性ばかりを狙う、卑劣な殺人鬼・蜘蛛男とは何者か?そして彼の正体を暴き立ち向かう、明智小五郎の作戦とは!?-。
警視庁捜査一課第二係は継続捜査係である。迷宮入り事件を粘り強く捜査する特捜刑事・香月功は、休暇で登った奥秩父・甲武信岳で、男女の死体を発見した。当初は豪雨下の遭難死と思われたが、香月は不審を抱き、単独捜査を開始した。やがて、死体発見現場を捜索中、精巧なニセ札を発見。香月は容疑者を捜し戦中にドイツから持ち込まれたザンメル印刷機を追うが…。警察小説の金字塔「顔のない刑事」シリーズ第3弾。