2015年11月11日発売
「流氷って恋の道なんだよ」北海道・北見に生きるマジシャン・村山隆と最上亜矢。「目の前にいる、あなたは誰?」ある朝、東京のカフェで出会った西邑涼と川口ゆり。引き裂かれていく自分、そして二人。二つの世界が交錯し、重なり合う瞬間、「究極のマジック」が始まる。
大正時代五月、月里見紗葵子は茶道の名家を訪れる。家の名は、天女目姫の命で握られた井戸を守り、姫の言い伝えとともに継承する一族ー青天目家。昔、この地に井戸をもたらしたという年端もゆかぬ天女目姫。聡明で峻烈な姫君は、干ばつで苦しむ民衆に生贄を禁じ、かわりに井戸掘りを命じる。工事は難航し、民の怒りを受けて、姫は井戸の完成を条件に人柱として命を絶たれる。死に堕ちた者が行き着く不来方で、雨夜城が目を覚ましていた。自らの記憶と引き換えに刀を手にした彼は、死なせてしまった美しき天女目姫の奪還と救済に、身を賭して挑む。生者と亡者、二つの世界がいびつに交差する。めぐり会い、別れー比類なき因縁奇譚。
ペンギン屋敷の溺死体!秘められた“殺意の証拠”をアニマル推理で解き明かせ!警視庁「いきものがかり」コンビが大活躍!!「ヤギ」「サル」「ヨウム」も出てきます。コミカル・アニマル・ミステリー傑作集!
店長をしていた堀内百貨店に事業部長として再び関わることとなった高橋伝治だが、売り上げは激減し、閉店の危機にあることがわかる。時代と部下のせいにする店長に、「気合い」の足りない店員たち。伝治はバブル時代に培ったグルメぶりを発揮し、若い店員たちと、おいしいお店で互いの理解に努めるのだが…
円九郎、菊三郎、金吾は、立派な店の倅たちだが、遊び歩いてばかりの放蕩息子。親から金を渡されなくなった三人は、賽銭泥棒をしてしまう。しかし人の形をした黒い影に襲われそうになった円九郎が叫び声をあげ、悪事が露見。円九郎は家を追い出され、皆塵堂に預けられたが、何をやっても失敗ばかり。そこで店主の伊平次は、「荒療治」に踏み切ることに…
釧路湿原のビニール小屋で、ミイラ化した死体と、彼が自死に至るまでを克明に記したノートが発見された(表題作)。独裁国家を世襲した男と孤高の批判者(聖アカヒト伝)、幻の救世主を探し彷徨う巡礼の旅(アルマジロ王)など、著者が二十代の新人作家時代に発表した短篇七作品。アイロニーを纏う饒舌な言語感覚と、時代への尖鋭な批評精神で表現し続ける、島田文学の源流を遡行する。
四国遍路を終えた帰路、冬の海に消えた父。企業戦士として家庭人として恵まれた人生、のはずだったが…。死の間際、父の胸に去来したのは、二十年間、愛し続けた女性のことか、それとも?足跡を辿った次女が見た冬の光とはー
人々は彼を、愛情をこめて「白痴」と呼ぶ…。この最高の「恋愛小説」はペテルブルグへ向かう鉄道列車の中から始まる。スイスからロシアに帰る途中のムイシキン公爵と父親の莫大な遺産を相続したばかりのロゴージン。2人の青年が出会った絶世の美女、ナスターシャをめぐる熱き友情と闘い。
結婚を控え、手相占いに翻弄される「アーサー・サヴィル卿の犯罪」。生真面目で頑張り屋の幽霊が棲みつくお屋敷をアメリカ公使一家が買って一騒動「カンタヴィルの幽霊」…。長詩「スフィンクス」ほか短篇4作に、出獄したワイルドを迎えた親友の女性作家エイダの「回想」を含む佳作を収録。
ひとり、入ったら、ひとり、消えるー。年金生活の貧困シニアが入居する「加賀美荘」は「殺人アパート」だと囁かれていたー。FBIで捜査の訓練を受けた上條麗子刑事は、犯人像作成のプロフェッショナル。日本で初めてME(メディカル・イグザミナー)の資格を取った一柳清香特別検屍官。警視庁行動科学課の美人コンビが事件の真相に迫る!人気シリーズ第3弾。
県警捜査四課のエースだった片桐誠一は、情報漏洩の疑いで左遷された。十年後、濡れ衣を晴らす機会が訪れるが、上司から拳銃のやらせ捜査を命じられ、かつての捜査協力者だった暴力団幹部の刀根剛に協力を求める。しかし刀根は組を追われる寸前で、誠一の息子、遼平は職を失い多重債務に苦しんでいた。三人は巨大組織を相手に絶体絶命の窮地を脱出できるのか!?
「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。騒音問題、ストーカー、詐欺、空き巣ー次々に住人が引き起こすトラブル。そして、最後に待ち受けていた大どんでん返しとは…。希代の名手が贈る必読の傑作ミステリー連作集。
いまや真朱の街は、妖怪“濁”が持つ無数の腕によって完全に包囲されていた。人々の憎悪を糧に強大化し続ける“濁”。県警の忌島らの奮闘もむなしく、力の弱い妖怪や人間たちが次々とその餌食にされていった。拝み屋・播磨遼太郎と百目ら妖怪たちは、ついに手を結び、最強最悪の敵に立ち向かってゆくー。凄絶な最終決戦の結末は!?人気シリーズ待望の完結編!
葬儀ディレクター・倉木和利の前に現れた不審な男は、いきなり「私の葬式をあげて欲しい」と切り出した。この男によって「ダビデの心臓」なる秘密グループに巻き込まれた倉木は、そこが一流の人物のみで構成され、自殺をゲームとして楽しむ集団だと知る。死と生の狭間を楽しむ倒錯した快楽の果てに倉木が見たものはー。極限の生を描いた話題作が文庫化
東京近郊に広大な敷地と白亜の近代校舎をもつ私立女子大学・若葉学園。校地買収で功績を上げ専務理事にのし上がった石田謙一だが、彼には大島圭蔵理事長の椅子を奪うという、さらなる野心があった。理事長と女性職員との関係を握った謙一は、そのスキャンダルを暴き理事長失脚を図るが、彼自身もまたバーのマダムとの情事や一人息子の非行という秘密を抱えていた…。
大島理事長と事務員・秋山千鶴子の関係を訴える投書を腹心の鈴木事務局長に偽造させ、新学長招聘も画策する謙一。一方、大島は謙一を懐柔すべく料亭に接待した。しかし席上、話は意外な展開を見、二人は互いの牙をむき出しに。謙一の解任を画策する大島。乱れ飛ぶ怪文書。学園経営権をめぐる激しい攻防の果て、遂に緊急理事会は招集された。教育界の腐敗をつく問題作!
船頭として生計をたてる南町奉行所の元定町廻り同心・沢村伝次郎。偶然、客として乗せた一人の女を助けるが、それが、とんでもない大騒動に伝次郎を巻き込むこととなる。一方、“元同僚”の定町廻り同心・松田久蔵からは「二つの殺し」の探索を頼まれる。一見、すぐに解決しそうな事件だったが、伝次郎の前に大きな壁が立ちはだかる。好調シリーズ、会心の第十三弾。
幼少期に真田信繁(幸村)に命を救われた海野六郎は、その生涯をかけて信繁に仕えることを決意する。忍びの能力を持ち、上田合戦、小田原合戦、関ヶ原の戦い、そして大坂冬・夏の陣の「真田丸」と“最後の突撃”まで、朋輩・望月六郎と共に信繁の右腕として戦場を駆け抜ける六郎。“二人の六郎”の目を通して日本一の兵・信繁と真田家の興亡を描く、傑作歴史エンターテインメント!
突如改易を申し渡され、流浪の身となった武士一家が辿る凄絶な冒険譚「海賊船」、大正期に曲芸団を率いて諸国を旅する美貌の女座長の数奇な運命を綴った表題作など、ほとんどが初文庫化となる傑作七編を収録。