2016年1月27日発売
病院からの帰り道、母親が目を離した隙に15歳の少女・香苗が消えた。現場には中世の伝承「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養隼人が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。数日後、今度は女子高生・亜美が下校途中に行方不明になり、彼女の携帯電話と共に「笛吹き男」の絵葉書が発見された。亜美の父親は子宮頚がんワクチン勧奨団体の会長だった。ワクチンに関わる被害者と加害者家族がそれぞれ行方不明に。犯人像とその狙いが掴めないなか、さらに第三の事件が発生。ワクチン被害を国に訴えるために集まった少女5人が、マイクロバスごと消えてしまったのだ。その直後、捜査本部に届いた「笛吹き男」からの声明は、一人10億、合計70億円の身代金の要求だった…。
平凡な公園ランナーの自分が大勢の見も知らぬひとから見つめられているなんてーランニング仲間との「レース」にはまっているインテリア会社社長・高木のもとに届いた一通の脅迫状ー。「明日のレースには負けなさい。さもなければ、ひとが死にます」高木が勝った夜、レースが行なわれた公園で本当に男の死体が発見された!?乱歩賞作家が放つ疾走!狂走!ランニングミステリー!!
顔面を吹き飛ばされた欧州議会議員の死体が発見された。ユーロポールの主任警部ヴェスターホイゼンは、アナリストのアヴァと協力して捜査に乗りだす。大小さまざまなドローンによってすべてがデータ化された監視社会。アメリカは没落し、ブラジル、アラブ、EUなどが太陽光や波動エネルギーをめぐって覇権を争う。シミュレーション空間「ミラースペース」を駆使して捜査は進むが、新EU憲法の採択に向けて、そこには巨大な謎が隠されていた。ユーロポール長官の老獪なフォーゲル、自由党の女性党首ヤナ・スヴェンソン、情報多国籍企業タルコンの総帥ジョン・タラン、政治スキャンダル専門の謎のジャーナリスト・ジョニー・ランダム、影の警察RR…。
熟年吸血鬼夫婦の倦怠期、馬に転生した歴代大統領、お国のために蚕に変えられた女工たち…現代アメリカ文学最前線の女性作家、待望の第二短編集!最高の想像力で描く、最高に切ない8つのトワイライト・ゾーン。
みのり28歳。恋は3年していない。美味しい料理があって、気が置けない友達がいて、わたしの生活はどうにか回っている。そんなとき、通い始めた生け花教室で、8歳年下の透と出会い…。でも、この気持ちは封印しなければいけない。
糖尿病からアルコール性肝炎。医師の禁酒勧告も知らぬ存ぜぬの作家の橋本道太郎は、80以下が正常値のγ-GTP検査の数値で、驚きの4000台をたたき出す。新聞に書いたその件で、講演、原稿依頼殺到!気を良くして、毎日4合5合と飲み続けた1年後、61歳にして「肝硬変」を宣告される。くわえて「食道がん」「胃がん」が身体に襲いかかる。彼を取り囲む献身的な妻、娘、美しき女友だち、1匹のブルドッグ…。そんな闘病中、我が身に起きた奇跡も知る。重病を宣告され狼狽しながらも、「病気」をエネルギーに変えていく自伝的小説。
ペンネームに「動物」がひっそりと隠れた作家が紡ぐ「動物」をテーマにした物語。嵐の夜に海からやってきた羊や、男子大学生の心を惑わせる鹿、偽占い師がさがしている兎、なぜか体中が傷だらけの鶏、関西弁で事件を解決する馬など、“アニマルな作家”たちによる異色の競演。
昭和七年、冬。北陸の漁村に育った二十歳の十兵衛は、村を代表し室生山に祀られた龍神を参拝する。無事の帰還は村に大漁をもたらした。しかし初恋の君・繁子との再会を機に、若さゆえの過ちを犯し村を追われてしまう。落命しかけた十兵衛を救ったのは片目の漁師。老練な突き屋を師と仰ぎ、青年は三陸の海で銛撃ち修行を始める。狙う獲物は、“メカ”ただそれのみー。