2021年12月1日発売
溺愛する末っ子・レオリーノと王弟・グラヴィスの婚礼の日。晴れやかな式典の裏でカシュー家の男達は何故か悲嘆に暮れ…?「ブルングウルト協奏曲」。イオニアを想い続ける副将軍・ルーカス、血の宿命を背負う王太子・カイルなど、12人の男達の過去と未来を描く「運命の男達」。グラヴィスの侍従・テオドールは、敬愛する主君から愛する人を奪った後悔で心を閉ざしていたが、罪の重さに耐えきれず一度だけ関係を持った宰相・マルツェルに翻弄され…?「宰相と侍従」。他、全27編を収録した待望の番外編集!
竜の王国バーナドンヤでは、攫われた竜王の妃がもう20年も行方不明だった。竜王はいなくなった銀の妃を狂おしい程に求めていた。その頃、蜥蝪の地の暗い洞窟で奴隷のように暮らす小さな“オイ”は、誰かが愛しい人の名前を囁く、とても幸せな夢をいつも見ていた。そんなある日、蜥蝪の姫が竜王に輿入れすることになり、オイも後宮に連れて行かれることに。そこで、オイの運命は大きく動きー!?
「卒業 冬の物語」あの日、卒業を待たずに祠堂学院を去った崎義一。彼のために仲間たちが用意したサプライズとは?「あかい瞳がつなぐもの 秋の物語」ギイと人ならざる者・タケルの、つかの間の邂逅。「エーデルワイス 春の物語」ギイとタクミの甘い甘いひととき…。「形のない贈り物」ギイが去り、タクミは決心する。高校の図書室での一幕。「春へのステップ 冬の物語」ケガで大学休学中の真行寺が始めたアルバイトはー。-大切な人と、再び会える。“タクミくんシリーズ”珠玉の5編。
生まれたばかりの我が子を誘拐され、失意を拭えぬまま夫婦だけの生活を続けてきた三好紗英は16年後、ある女子高生と出会う。少女は誘拐された自分の娘なのではないか?しかし、たとえ我が子だったとしても、今さら名乗り出ては少女を混乱させ心に傷を負わせてしまうかもしれない。少女の幸せと、喪失を抱え生きてきた自分の希望を天秤にかけ、紗英がとった行動は…
学資ローン返済のためにひとりで始めた「日刊」連載プロジェクト。恋人、家族、友人、文章教室、日々の運動。愛すべき他人から発見した、私たちと“地続き”の話。韓国の新星を日本初紹介。みずみずしい随筆の息吹。話題をさらった2冊から41編の文章を厳選した、日本オリジナル版。
奇跡の未発表作品。死後十五年を経て発見された幻の遺作。人生の悲しさを優美に笑う、極上のサガネスク。風光明媚な土地に立つ悪趣味な大豪邸「ラ・クレソナード」では、冷めきった心の住人たちが虚飾の晩餐を囲んでいた。“禿鷹”と呼ばれる当主、病に臥す威圧的な後妻、遊び人で居候の義弟、若く冷酷な息子の妻、自動車事故で死の淵から生還し、「腑抜け」になった跡取り息子…そこに一人の女性が訪れ、愚かで美しい愛の波乱が幕を開ける。エレガンスの巨匠が遺した、永遠の輝きを放つ最後の長篇。
夫婦・親子・きょうだい・嫁姑の秘められた愛憎が炙り出され、平穏に思えた家族たちの危うく支えられていた均衡があっけなく崩壊を迎える。芥川龍之介「藪の中」を思わせる構成により、現代人の暗部・恥部を暴こうとする著者渾身の傑作ミステリー。
山岡正吾が経営するアパレルメーカーが倒産して一ヶ月。石狩の海岸に経理部長の死体が上がった。会社の金を使い込んだことを苦にした自殺と思われたものの、その背後には黒幕が潜んでいた。正吾の娘優希は兄龍司とともに、真相解明に乗り出すー。
幼い頃に母に棄てられ、施設で育ったひかる。ふとした瞬間甦るあやふやであたたかな記憶、そして手元に残された母子手帳が唯一の母とのつながりだった。ある日、公園のベンチで拾ったのは、自分と同じ名前、生年月日の母親が落とした母子手帳。他人とは思えないもう一人のひかるがどんな母親なのか見届けるため、ひとり待つー。『birth』は第37回太宰治賞受賞作品。『彼女がなるべく遠くへ行けるように』は第34回太宰治賞最終候補作品を加筆修正。