2024年4月10日発売
シティポップが生まれた80年代。同時代の日本の「文学」は何をしていたのだろう?世界のファンのSNSが甦らせたポップ音楽の背後には、同じ時代状況から生まれ、同様に日本オリジナルの発展を遂げた、都会文学の世界が隠されていた。それは現実の都市生活をベースにしながらも、フィクションのヴェールを1枚かけて理想化された、作家たちの“夢”の中の「街」、「どこにもない」場所を架構する文学だった。本書に収めた“9つの物語”は「シティポップの時代」を並走した、そんな日本の忘れられた都会小説。そこには今も優しい風が吹いている。
文学は情報ではないー。谷崎最大の長編「細雪」。しかしその評価は未だ定まってはいない。本書は従来のナラトロジーを更新するノン・コミュニケーション理論を導入することで、日本語による三人称小説の“客観的に論証可能な「語り」読解”の方法論を提示し、プルースト、V・ウルフらに比肩する同時代の世界文学としてその価値を標定する。
規格外の現象が頻発した城砦見学ツアーも無事に終了。カーンとハウロンたちは、建国に向けた準備を着々と進めていた。ジーンは地の民にも協力してもらい神殿に供えるものを準備し、いざ建国の儀に参加すると、そこでは意外な面々による騒動が始まっていて…。精霊たちとまったり生活を満喫する異世界ファンタジー、第十三弾!
ファルトン伯爵家の長女セレナは、異母妹マリンに無理やり悪女を演じさせられていた。言うとおりにしないと、マリンを溺愛している父にセレナは食事を抜かれてしまう。今日の夜会でのマリンのお目当ては、バルゴア辺境伯の令息リオだ。-はいはい、私がマリンのお望みどおり、頭からワインをぶっかけてあげるから、あなたたちは私を悪者にしてさっさとイチャイチャしなさいよ…。と思っていたら、リオに捕まれたセレナの手首がゴギッと鈍い音を出す。「叔父さん、叔母さん!や、やばい!」「えっ何やらかしたのよ、リオ!?」骨にヒビが入ってしまいリオに保護されたことをきっかけに、セレナの過酷だった境遇は優しく愛に満ちたものへと変わっていく。
天族の血を引くカナリアは15歳で自立の一歩を踏み出した。辺境の地でスローライフを楽しめる両親と違って、都会暮らしに憧れているからだ。というのも、カナリアには前世の記憶がある。遠い過去の記憶だが一つだけ心残りがあった。可愛いものに囲まれて暮らしたいという望みだ。今生で叶えるには、辺境の地より断然都会である。旅立ちの供は騎鳥のチロロ。騎鳥とは人間が乗れる大きな鳥のこと。カナリアにとって大事な相棒だ。これは「小鳥」と呼ばれるようになるチロロと共に、都会で頑張って生きる「可愛い」少年の物語!
スラム街で家族とささやかな幸せを享受していたレーナは、日本人だった頃の知識で、街中での生活を手にする。ロペス商会で算数の授業をしたり、ダスティンさんの魔道具開発を手伝ったり。目指すは、家族みんなで街中へのお引っ越し!それに、どうやら街中にはおいしい食べ物もいっぱいあるみたい!人並みの快適な生活を求めた元日本人の少女が、着実に成り上がっていく異世界ファンタジー第二弾!
推しの未来を守るため、悪の組織で暗躍するイブキは悩んでいた。最推し・ヒナタの親友ルイが自分を目の敵にしているからだ。彼女はクールな見た目とは裏腹に友達想いで優しい女の子である。そんな彼女が一体何故…?全てを識る者(転生人)である彼は閃いた。「安心して、百合の間に挟まる気はないから!」唐突な勘違いが聖地巡礼の地見学会を舞台に嵐を呼ぶ!巧妙な作戦(!?)のはずが次々に怒りを買い、懺悔室では心の距離ではなく身体の距離が近づく始末。仲良くなりたいだけのはずが、どうしてこうなった!?すれ違いまみれの三角関係の中、彼女の暗い過去も明らかになり…?愛がゆえの空回りがやがて少女の雨雲を吹き飛ばすシークレット・イルミナティ第2弾!
「やっぱり裕福な平民がベストな選択肢かしら?」バリバリの商社マンから転生したサラは、引き取られた先の侯爵家で作戦を練っていた。歓迎されない居候のままでは将来、平民出と蔑まれる貴族の後妻が関の山。よし、太い実家の恩恵は享受しつつ、独立資金を貯めるまで辺境領に戦略的撤退だ。そう思っていたのに…領地は横領により経営破綻寸前だった!?大事なパトロンの危機を前に、猫なんてかぶっていられない。城に埋もれていた錬金術の資料をエサに有用人材をヘッドハンティングし、ギルドを脅して鉱山を開拓させ収入源を確保。年上たちにビビられながら領地立て直しに奮闘する。やがて、八歳にして侯爵も顎で使う大商家への道を歩み始めるのであった…。身内も大人も貴族も、みんなまとめて手玉に取る!金儲けまっしぐら!?やり手少女の荒稼ぎファンタジー!