著者 : かわい千草
ユウリと不思議なカードの力で間一髪、命を救われたハリーズ。だが彼女は、意識を失ったままで目を覚まさない。ハリーズを見舞うため病院を訪れたユウリとシモンは、そこで禍々しさを全身に宿した黒ずくめの男と再会する。オットー・リーベンドルフ男爵。彼は、ユウリにハリーズの魂を取り戻したければ、カードを捜し出し、渡せと言う。アシュレイと合流するためヴェネチアへ飛ぶ二人。水の都で三人を待ち受けるのは?カードを巡る冒険、完結!
イースター休暇を前に浮足立つセント・ラファエロ。特にヴィクトリア寮では恒例行事・エッグハントの景品「シモンとのアフタヌーン・ティー」を巡り、盛り上がりは最高潮。だがハリーズの顔色は、暗く沈み込んで見えた。ハリーズの後見人だった文献学者、故ジョージ・スペンサーの蔵書を調査するアシュレイは、館で黒ずくめの男と出会う。男は、遺品にあるはずの「あるもの」を渡すようにと迫る。やがてその魔手は、ユウリにも及ぶが。
全寮制のパブリックスクール、セント・ラファエロ。その生徒たちがある屋敷に集い、降霊術を行った。正体不明の霊が呼び出され、不気味な予言を残している時、屋敷の主である文献学者が書斎で謎の死を遂げる。遺された蔵書コレクションから消えた「書物」とは?不思議な力を持つ漆黒の髪の少年ユウリと貴公子シモン、オカルトに造詣が深い上級生アシュレイ。三人の美しき少年たちは「書物」の秘密を解き明かせるか?
キース・ダルトンに日本の「根付」の競売に参加して欲しいと頼まれたユウリ。当日、会場で見たものは、象牙に精緻な細工を施した牛の古根付だった。同時に出品された虎、偶然ユウリが手に入れていたニワトリの根付も「時阿弥」という職人の手による物だった。夏休みを京都で過ごすユウリは、従兄弟の霊能者・幸徳井隆聖と怪異に挑むことに。同じ頃、公開授業を手伝うため来日したダルトンが、行方不明になってしまう。
怪しげな古美術商ミスター・シンの店に「魔獣」だという熊皮の鑑定依頼が持ち込まれた。アシュレイは、その真贋を見極めるためフランス中南部へと向かう。その頃、ベルジュ家のロワールの居城では「天使」と呼ばれるシモンの双子の妹たちが、自分たちの誕生日会の余興として宝探しゲームの準備を進めていた。ユウリは、何者かがすりかえた誕生日会の偽招待状に騙され、パリ北駅から連れ去られてしまいー。
ローマ郊外の地下遺跡調査現場で発掘された鉛の板。そこに刻まれた文字を読んでから、ダルトンの旧友・アンソニーは原因不明の不調で心身を病み「自分は呪われた」と繰り返し訴えるのだった…。一方、時を同じくして聖天使城からイタリア人女性も姿を消した。ふたつの事件に、関連はあるのか?ユウリは、密儀宗教などに詳しいアシュレイを頼り、ダルトンを含む三人でローマへと向かうのだった。
英国の全寮制パブリックスクールでの同級生、ユウリとシモンは親友以上の関係だ。二人は通う大学はロンドンとパリに離れてしまってはいたが、シモンは週末にはユウリのもとへ足をのばしていた。そんなある日、やはり高校の同級生でユウリと同じ大学の俳優、オニールの舞台の打ち上げパーティーで、事件は起こった。シモンに近づく女にユウリが見たものとは…。