著者 : とろっち
交通事故に遭うところを「高木茜」と名乗る女性に助けられた水原透流は、お礼をするため食事に誘う。そして意気投合した二人は、交際を重ね親密な関係を築いていくのだが、同時に透流は茜が時折覗かせる物憂げな表情に不安を覚えはじめる。透流はその気持ちを払拭しようと茜と愛を育くもうとするが…。茜には透流が想像もできない大きな秘密が隠されていたー。運命に翻弄される二人のあまりに愛おしく、あまりに切ない至極の純愛物語。
5月28日、日曜日。弁天島にかかる橋の上で不思議な光る綿星に触れてから、僕と莉央は同じ5月28日を繰り返している。これは僕の望み。「今日」が続く限り、莉央の命が消えることはない。病院を抜け出し二人でどこへ出かけても、誰に迷惑をかけることもない。僕たちは永遠につづく日曜日の中で幸せでいられる。しかし同じ時間を繰り返す度、僕の中から莉央との思い出は消えていき…。これは「繰り返し」の代償なのか?それともー。人の願いを叶える綿星が見せた、恋人達の奇跡の物語。
ここは、見渡す限りの水平線。たくさんの人間たちで賑わっていた、“セジング”は見あたらない。それは、海獣『カリブディス』によって水底へ沈没した。絶望的な状況下でも、アキは“セジング”住民の生存を信じ、そしてオルカが失った“シャチのぬいぐるみ”を探し出す決意をする。アキに残された唯一の手段は、何の道具にも頼らず、自分の力だけで海の中へと身を投じる“潜水”による捜索だった。-ボクは、必ず見つけ出す。第21回電撃小説大賞“大賞”受賞作、シリーズ第三弾!
アキともう一人の少女の疲労は、限界だった。『溺死』という不吉な二文字が、脳裏をよぎる。絶海で浮かんで待つ二人の周囲では、獲物の命が尽きるのを待つ猛禽の眼があった。少女が悟ったように言う。「助けは『絶対に』来ないんです。ここは…セントゥリア海峡ですから」絶望的な状況の中でー二人の「生きるための戦い」が、始まる。
透き通る蒼い海と、紺碧の空。世界の全てを二つの青が覆う時代、「アフター」。セイラー服を着た14歳の少女アキは、両親の形見・愛船パラス号で大海を渡り荷物を届ける『メッセンジャー』として暮らしていた。ある日、オウムガエルのキーちゃん船長を携えたアキは、航行中に恐るべき『白い嵐』に遭遇、船を失って浮島に取り残されてしまう。そこは、見渡す限り青い海が広がる孤立無援の島だった…。アキとキーちゃん船長の、『生きるための戦い』が始まる。第21回電撃小説大賞大賞受賞作。