著者 : どうしま
弊社の営業課には美人と評判のエースがいる。名前は秋津ひより、俺の同期である。「入社時期が同じ」というだけでなく、なんと高校時代の同級生でもある。人気者の彼女と学生時代からの知り合いだなんて、周りにバレると面倒だ。なるべく彼女とは関わらないように過ごしているが……。 『昼一緒に食べられそうだけど、どう?』 なぜかランチを一緒に食べたり、帰り際に飲みにいったり、はたまた自宅で夕飯を食べるような仲になっていた。これは社会の荒波に飲まれた残業モンスター達が美味しいご飯を食べるだけの話。 そして、同期社員がほのかに宿した恋心をゆっくりと育む話。
大人のモラトリアム“最終巻”。 「ごめんーーちょっと、考えさせて」二度目の告白をした、あの日からしばらく。冬は未だに糸と連絡が取れておらず、落ち着きのない日々を過ごしていた。 通知が来るたびに、もしかしてと思ってスマホを見ては、落ち込む。そんな不毛を繰り返していると、突然糸からメッセージが届いた。『このたび私、皆瀬糸主宰リアル謎解きゲーム「糸ちゃんの挑戦状」を開催いたします。』謎を解いていくうちに、明かされる糸の真意。そして冬は、今まで見つめてこなかった、本当の“皆瀬糸”と向き合うことになるーー。社会から逃げ続けた二人の物語、ここに完結。
山瀬冬、大学一年生、童貞。四国は香川の高松から上京してきた俺は、新生活が始まった今も悩みを抱えていた。「皆瀬に、どうやって告白すればいいんだろう?」俺は、同じサークルの皆瀬糸が気になっている。別に、一目惚れというわけではない。むしろ初対面の頃は、目立たない子とさえ思っていた。けれど、その微妙にずれた感性や、やけに綺麗な所作が新鮮で、気づけば彼女を目で追うようになっていた。俺は、皆瀬糸に恋い焦がれてしまったのだ。-これは、糸と出会い、付き合い、青春を紡ぐ物語。そして、恋人であることを諦める物語。
元カノと夜を共にした。ブラックな仕事に疲れた山瀬冬は、ある日大学時代の彼女・糸と再会し飲みに誘う。愚痴や昔話に花を咲かせ、こういう友達関係もいいなと思っていた矢先、酒の勢いに呑まれてやってしまった。後悔する冬だが、糸は「謝っちゃだめ」と真剣な表情で制す。「ちゃんとしようとか言わないでよ。ただ心地良いから一緒にいようよ」糸も疲れていたのだ、社会が強要する正しさや、大人としての不自由さに。こうして二人は『仕事とか恋とか面倒なことは抜きで、ただ楽しいことだけをする』不思議な関係を結ぶ。