著者 : やまかわ
誰もが簡単に未知を暴ける時代。路地裏の暗闇は駆逐され、幻想の余地はなくなり、怪異は姿を消して久しい。そんな現代社会で起きる不可思議な現象ー乖異。己が空想こそが真の現実だと主張し、世界すら塗り換えようとする超常の力。乖異に導かれ集ったのは三人。絶えた怪異を殺す少女、空想を終わらせる男、そして世界に残された最後の怪異である少年。「死者のいない」猟奇事件に端を発した一連の流れに「真祖の吸血鬼」の存在を見いだした彼らは、それぞれの理由を胸に乖異と関わっていく。平成最後の夏、最後の幻想がはじまる。
平凡な人生を送っていたはずの少女ハルの前に現れたドラニアス帝国の竜騎士クロナギ。クロナギからドラニアス帝国の唯一の帝位継承者であることを告げられたハルは、突然訪れた人生の転機を受け入れることができずにいたが、皇帝になるためではなくジジリアの森で出会った小竜のラッチを故郷に帰すという目的のためにドラニアスを目指すこととなる。クロナギの邪魔をすべく追ってきた三人の竜騎士との出会い、トチェッカでの魔賊討伐を経て一行はラマーンへと向かっていたのだが、道中ハルが風邪で倒れてしまう…。未発表エピソード収録!
とある地方領主の元で下女として働く、ごくごく平凡な少女ハル。3年前に亡くなった母の形見である指輪を落としてしまい落ち込んでいたある日、領主仕えの魔術師であるカミラが形見の指輪をつけている事に気付き返してほしいと懇願するが、泥棒扱いされた事に怒るカミラと、カミラを寵愛する領主に取り合ってもらえない。本当の指輪の持ち主であるハルを疎ましく思うカミラは、ハルが森でドラゴンを匿っている事を知り、それを理由に森でハルを始末しようとするのだが、そこに巨大な魔獣が現れハル達に襲いかかる。絶対絶命のその時、現れた黒い軍服を着た男が告げる言葉が、平凡な少女の日々を一変させる…。