著者 : 三上康明
鍛冶と酒を好むドワーフたちの国「刻冶鐵国」。ヒカルは国宝であるという「真祖の盾」をドワーフに返還するためにやってきたのだが、国中が混乱のさなかにあった。ドワーフにとって神にも等しい存在であるブリギッドは芸と技を司る存在であり、はるか昔にあらゆる金属を鍛錬する「真祖の炉」をドワーフにもたらし、ドワーフはこれを元に刻冶鐵国を開国したのだった。ブリギッドは千年以上を経て今なお実在しており、時にドワーフたちを導いていたのだが、ある日「真祖の炉」の炎を「ドワーフ12氏族のうち1氏族にだけ与える」というメッセージを発したため、勢力争いの種となった。さらに混乱に拍車を掛けたのが彼らを襲った大災害だった。
「ルネイアース大迷宮」とマンノームの隠れ里との攻防戦は、いったん停戦となった。大迷宮は大きく損傷して地中に沈み、マンノームたちもまた自分たちのソウルと引き替えに決戦兵器を使用したために全員が昏睡状態となってしまい、戦いを続けることができなくなったのだ。一方、ヒカルは、最初にこの世界に降り立ったポーンドの街に戻ってきていた。急に姿を消したヒカルに対して冒険者ギルドのメンバーは興味津々だが、それをうまくはぐらかし、ラヴィアが住んでいた旧モルグスタット伯爵邸を探るほか、ホットドッグを食べたり、いなせなエルフの武器工房を訪問したりと、この地で知り合った人々と旧交を温めていた。
日本に取り残されたラヴィアと離ればなれになったヒカルは、ソアールネイ=サークをつかまえて「世界を渡る術」がまた使えるようになるよう要請するつもりだった。だが彼女のいる「ルネイアース大迷宮」は空へと浮かび上がり、ヒカルは大迷宮に侵入する手段を求めてポーンソニア王国へと戻った。一方、ラヴィアは「世界を渡る術」のための魔力結晶を手に入れたのだが、騒音が大きいこの魔術を実行できる場所を探していた。新聞記者の日野に相談すると、彼が手配してくれたのは国立大学の研究施設だった。ラヴィアと「世界を渡る術」の存在を科学者たちに知られることになってしまうが、ラヴィアはにとってはヒカルと再会すること以外に重要なことはなかった。
存在自体が伝説とも言われている「ルネイアース大迷宮」が復活した。その第37層から脱出してポーンソニアの王都に戻ったヒカルはポーラと合流できたが、日本に残されたラヴィアに再会するために発動させた「世界を渡る術」は、失敗してしまう。そんなヒカルたちの前に現れたのはマンノームの3人組。彼らはヒカルとポーラをマンノームの隠れ里へと案内するのだが、その里は外界から隔絶された大洞窟の果てにあった。マンノームは「ソウル」のエネルギーを利用してきた一族であり、「魔力」の利用は最小限にとどめるべきと主張していた。「世界を渡る術」はサーク家の魔術、つまり大迷宮の復活によって妨害されているらしかった。ヒカルはその妨害を阻止するために新たな戦いを挑むのだが…。
想像もしなかったなりゆきで、たったひとり異世界のとある場所へと戻ってしまったヒカル。そこは存在自体が「おとぎ話」とも言われるようなダンジョン「ルネイアース大迷宮」だった。ヒカルをここに連れてきた張本人であるソアールネイ=サークは、今いる場所がちょうど大迷宮の中間であると言い、さらに深く潜れば「魔術の真髄」を見ることができると促すが、ヒカルは日本にひとり残したラヴィアが心配で、地上を目指す。大迷宮は自然を模した巨大空間になっており、ヒカルはそこでさまざまな生き物と宝箱を発見することになる。その大迷宮にはモンスターを討伐するべく獣人王ゲルハルトが先遣隊を率いて乗り込んでいたのだった。
日本へと戻ったヒカルとラヴィアを、突然カメラのフラッシュが捉えた。「東方四星」と同じマンションに偶然住んでいた新聞記者、佐々鞍綾乃との出会いである。彼女に撮られた写真を取り上げようとしたヒカルだったが、あまりに記者としてポンコツな彼女が気の毒になり、写真を消すのと引き替えに「隠密」を駆使して彼女にスクープネタを渡すことにする。それは現職の大臣と政治家秘書が絡む、大規模な汚職事件だった。一方、ヒカルと入れ替わりにポーンソニア王国に戻った「東方四星」はポーラと合流するのだが、こちらでも予期せぬ大問題が起きていたのだった。
各地にダンジョンが出現し、世界には混乱がもたらされた。だが、冒険者たちにとっては財宝と名声を手に入れる絶好のチャンスだった。とはいえヒカルは通常運転。次はいつ日本に行こうかな……などとのんびりしていた。そんな時に、国境付近に出現したダンジョンに、ヒカルのよく知る冒険者ギルド受付嬢フレアが派遣されることになった。いくら調査のためとはいえ、危険が多そうなので、ヒカルは彼女の護衛の任務に就こうと手を挙げた。ダンジョンへ向かう途中に出くわしたのは隣国の冒険者ギルド受付嬢アンジェラと、ランクAパーティー「灼熱のゴブレット」。アンジェラとフレアは過去の受付嬢基礎訓練の時に因縁があり、火花を散らすのだがーーー。
教会に端を発した災厄や戦乱は「シルバーフェイス」の働きで解決を見た。ヒカルたちはつかの間の休息を楽しんでいたが、「世界を渡る術」によって日本に渡ったセリカたち「東方四星」の問題を解決しなければならない。毎月1回、日本とこちらをつなぐ亀裂を開くのだが、そのときセリカが投げ込んできたスマートフォンには動画が収録されていた。セリカが話すことには日本ではすでに彼女たちが「異世界人」であることがバレており、異世界とつながるゲートについては世界が注目しているのだという。さらに、動画にはヒカルの先輩である葉月の声も入っていた……彼女はヒカルに問う。ヒカルが生きていることを、両親に伝えなくていいのか、と。
「やだ、絶対にやだ、もうアイツとは関わりたくない」とヒカルが感じていた相手、それはこの世界に絶大な影響力を及ぼす教会組織のトップ、新教皇ルヴァインだった。教会における千年を超える因縁を解決したヒカルを見込んだルヴァインは、再度「難題」を依頼した。現在、国境を越えて攻め込んで来ているクインブランド皇国へと教皇自らが赴き、皇帝と停戦交渉をするつもりなのでその「護衛」を頼むというのだ。戦争が終わるのならば自らの命と引き換えになっても構わない、と覚悟しているルヴァインをヒカルは無視することができなかった。たとえルヴァインがヒカルの同情心を利用しているとわかっていたとしてもーーー。
竜との死闘から、4年。アッヘンバッハ公爵領から抜け出したレイジは、貴族のお嬢様・エヴァの護衛の任に就いていた。「レイジ、わたくしを、守るのだわ」ラルクの情報を手に入れるため、エヴァの命を狙う襲撃者を“森羅万象”の力でなぎ倒していくレイジ。ある日、12歳になった彼女の元に貴族が集う夜会の招待状が届く。王子も出席する夜会で世界に蔓延る悪が牙を剥く。エヴァに忍び寄る魔の手の数々、そして明らかになるこの世界の真実、全ての思惑を打ち砕くため、全知全能者の能力を解放したレイジによる反撃攻撃が炸裂するー!
異世界転生した少年・レイジ。しかし黒髪・黒目の彼は人々から忌み嫌われ、行き着いた先は炭鉱発掘の奴隷だった。劣悪の環境下で唯一の味方は彼を弟のように扱ってくれる金髪の少女・ラルクのみ。「アンタの黒髪と黒目、あたしは好きだなぁ」彼女と一緒にいられるだけで幸せだった。しかし、落盤事故が発生しラルクと離れ離れになってしまう。命の危機に瀕した彼だったが、彼の前に現れたのは転生した者しか扱うことができない“森羅万象”の能力だった。それは世界の理を理解、世界すらも統べることができるものー。誰よりも大切な少女に再び出会うため、彼の冒険が始動する!
クインブランド皇国の軍勢がビオスの国境を侵し、戦争が始まった。その隙を突いて中央連合アインビストの精鋭がビオスの聖都アギアポールへと迫ると、新教皇の座に就いたルヴァインは手を尽くして停戦へと持ち込もうとした。それが功を奏して、多くの血が流れずに済んだのだが、アギアポールにさらなる災厄が降りかかる。夜な夜な、アンデッドモンスターが街のいたるところに出現するというのだ。ルヴァインはシルバーフェイスにこの事件の調査を依頼するのだが、話を聞きつけたアインビスト盟主のゲルハルト、それに副盟主のジルアーテもまた調査に参加したいと言い出した。しかし、この事件にはどうやら逃亡中のランナが関わっていた。再び立ちはだかる宿敵・ランナ。対決の行方はいかにーーーー!?
クジャストリアの協力を得て、日本とこの世界をつなぐ、「世界を渡る術」を完成させたヒカル。あとは精霊魔法石さえ確保すれば、日本への帰還が叶う状況になっていた。しかし、念願の帰還方法を見つけたヒカルは日本とこの世界のどちらが良いのか迷い、考え込んでいた。安全が確保され、欲しいものがすぐに買える日本。もしくは、危険はあるが夢もあるこの世界。悩むヒカルは、ある日同じ日本人であるセリカと偶然出会う。その頃、ポーンソニア王国ではとある奇病が流行り始めていた。体中に黒い斑点が現れ、やがては死に至る病。さらに、タイミングよく患者の元を訪れたビオスの教会関係者は、莫大な金を払えば特効薬を与えると言う。なんともきな臭い話に、ポーラ達は秘密裏に治療しようと動き始めるのだがーー。
ポーンソニア王国の跡目争いに決着をつけたヒカルは、王都の衛星都市ポーンドに戻っていた。騒動の最中でヒカルが「シルバーフェイス」であると気づいたギルドマスターのウンケンは、ある意味命の恩人のヒカルのために、持てる技術の全てを教え、修行をつけることで恩返しに変えた。そしてウンケンの指導の「卒業試験」としてヒカルに告げられたのは、ダンジョンにて実践を積むことだった。一方、ジルアーテもまた、アインビスト連合の盟主ゲルハルトからとある「試験」を伝えられる。それは聖ビオス教導国にあるダンジョン『魔錠の迷宮』に存在する水の精霊魔法石を取ってくるというもの。水が貴重なアインビストでは大きな利益となり、ジルアーテの実力を知らしめることができる。偶然か運命か、ヒカルとジルアーテは再び同じダンジョンに集うことになりーー。
アインビストから再びポーンソニア王国へ戻ってきたヒカルは、無実の罪を着せられているラヴィアに堂々と日の下を歩けるようになってほしいと強く思い始める。次期国王の継承争いで混乱している今ならば何か方法があるかもしれないと考え、ヒカルは王宮内に忍び込み、王女クジャストリアと接触する。そこで知ったのは、クジャストリアがローランドの知り合いだったという事実。さらに、クジャストリアが王の座につくためには三家ある公爵家すべての賛成が必要なのだという。しかしそのうちの一つ、ナイトブレイズ家の次期当主は原因不明の病に伏せており、執務もままならないらしい。ローランドの縁もあり、手を貸すことにしたヒカルは、病の原因を確かめるために公爵家に向かうのだがーー。
火龍が国王の退位を迫ったことで、ポーンソニア王国は混乱の最中にあった。そんな中、ジルアーテという冒険者の少女が王命で捕らわれてしまう。ジルアーテはポーンソニア王国の南に広がる自治区「中央連合アインビスト」の先代盟主の娘だった。アインビストでは多数の種族が集まって同盟体制を築いており、「選王武会」で優勝した者を盟主として任命し、自治を行っているという。中でもジルアーテは竜人族という特別な種族であり、アインビストに集まる種族の中でも忌み嫌われている不遇の立場だった。フレアからそのことを聞いたヒカルは、竜人族という種族に興味を抱き、ジルアーテに会いに行くことにするのだがーー。
国の策謀からラヴィアを救出し、王都に戻ってきたヒカル達。ヒカルはアリバイを作り、ラヴィアは変装して更に「気配遮断」を使うことで二人は「伯爵令嬢の失踪事件」の疑いから逃れていた。これまで閉じ込められていたラヴィアは見るものすべてに感動して、街の中を大はしゃぎで観光し、ゆったりと過ごしていた。そんな折、一人の男が大慌てで冒険者ギルドに駆け込んできた。「惑わせの森」と呼ばれるダンジョンが暴走し、大量の魔物があふれだして村が壊滅の危機にあるという。一刻も早く兵を向かわせてほしいと訴えるが、そこは辺境の小さな村。国が取った対応は「放置」という残酷なものだった。奇しくもその村・メンエルカはポーラ達の故郷。国の対応に憤ったポーラ達は、救援のために故郷へ向かうのだがーー。
交通事故で命を落としたヒカルは、天界で魂の裁きを受ける列に並んでいた。ほとんどが上の空という行列だったが、意識を取り戻したヒカルは列から外れてしまう。そこで見つけたのは死者が死者をいたぶるといういじめ。腹が立ったヒカルは、いじめられていた青年と目が合い、反撃の一手を与えることに成功する。青年と別れたヒカルは、その機転と、行動力を認められ、明らかにこの場にそぐわない「貴族」ふうの少年に声をかけられる。その少年、ローランドが言うには、「ある頼み事」を聞いてくれれば異世界にあるローランドの肉体に転生させてくれるというのだがーーー。
ブラック企業で休みなく働く隼人は、やっと行けた釣りの帰り道、暴走トラックの荷台から飛び出してきた冷凍マグロに直撃され気を失う。気がつくと、そこは釣り大会で……!? 異世界釣り無双、開幕!