著者 : 伊吹契
時に1950年、占領軍統治下の東京ー。職務にて台東区千束町を訪れた警察吏員・伊瀬顕嗣は、いつの間にか時間を跳躍し、1650年の江戸吉原に足を踏み入れていた…。徳川家光治世下の吉原で追われる顕嗣は、すんでのところで美しき遊女・白笛に救われる。しかし、窮地を脱して昭和に戻った顕嗣が知ったのは「白笛が、顕嗣と出会ったわずか数ヶ月後、吉原からの足抜けに失敗し、命を落とす」という残酷な歴史だった。再びタイム・リープを試みた顕嗣の前に、江戸吉原での拳銃殺人事件が立ちはだかる。歴史を改変し、白笛を救うことはできるのか?そして、顕嗣はなぜタイム・リープに巻き込まれたのか…。戦後東京と江戸吉原ー300年を往還して綴られる、哀切な恋物語。
一九〇九年、元老・山縣有朋より超常の力“旋律”の謎を解くという密命を受け、相棒・元村アリサと共に閉鎖都市・バスティーユに潜入した探偵・碓氷玲人郎。バスティーユを支配する“輝ける七人の為政者”の一人、リリィ・ブーランジェと同盟関係を結び、為政者たちの過半を降した玲人郎だったが、その過程で、かつて姉と慕った女性・外崎燈子の命を奪ってしまう。癒やせぬ傷を負った玲人郎だったが、最後の決戦の時は刻々と近づいていた。バスティーユの背後にちらつく大国・ドイツの影、得体の知れぬ王…そして、共闘者・リリィに絡みつく敵の魔手ー。果たして、探偵の刃は“旋律”と閉鎖都市の謎に届くのか?伊吹契×吟が奏でる絢爛の哀歌劇の、ついに終幕!
一九〇九年、探偵・碓氷玲人郎は、元老・山縣有朋より超常の力“旋律”の謎を解くという密命を受け、相棒・元村アリサと共に閉鎖都市・バスティーユに潜入した。バスティーユを支配する“輝ける七人の為政者”の一人、リリィ・ブーランジェと同盟関係を結び、激闘の末、為政者の一人・マルコを打倒した玲人郎たちは、いま一人の為政者・エリーを味方に引き入れることに成功した。しかし、リリィはエリーが抱く、玲人郎への恋心を利用することを提案し、更には自らの宿痾を癒すためか、アリサの持つ“寛解の旋律”に尋常でない興味を示し始める…。果たして、彼女の真意は那辺にあるのか?そして、次なる標的を追う過程で、突如として玲人郎の前に姿を現した父の敵・外崎燈子。異郷にて刃を交える姉弟の背後には、あまりにも愚かしい物語があったー。伊吹契×吟が奏でる絢爛の哀歌劇、哀哭の第二幕!
時に、一九〇九年。帝都・東京にて探偵業を営む碓氷玲人郎は、唐突に陸軍省から呼び出しを受ける。市谷に出頭した玲人郎に、元老・山縣有朋が告げたのは、この世界には限られた貴種が有する“旋律”なる超常の力があり、現代、つまり列強がしのぎを削る帝国主義時代は“旋律”の力で駆動しているという驚くべき事実だったー!“旋律”を聴き取る特殊体質を持つ玲人郎に命じられたのは、フランス共和国内に割拠する閉鎖都市・バスティーユに潜入し、八種類もの“旋律”を有するかの国に関する情報を収集すること。拒否権はない。ただし、バスティーユ国内にいるであろう、玲人郎の父を殺した女・外崎燈子はいかようにしてもよい…。探偵は日本刀を帯び、同盟国・イギリスの暢気なエージェント・元村アリサとともに、海路バスティーユを目指すー。いま、歪んだフランス革命史の紡がれた世界に、近代の嵐が吹き荒れる。伊吹契×吟が奏でる絢爛の哀歌劇、ここに開幕!
ロザが、殺人を犯したー。調律師・朝倉冬治は、永峰あきらの義父・殿村秀臣の殺人と機巧体管理法違反の容疑で逮捕収監され、世間にはアリスに対する批判の嵐が吹き荒れる。資産家・喜田、探偵・三ツ橋らの尽力で幸いにも釈放される冬治だったが、世間から身を隠すことを余儀なくされ、依然としてロザの行方は知れないままだった。そんな中、ある女性が冬治への接触を試みる。その女性とは、アリスの開発者・千早響子博士。ロザの行方を知るという彼女の口から語られるのは、アリスの誕生にまつわる、哀しき物語だった…。幾多の断片は互いに絡み合い、ロザへと収斂する。果たして冬治は、“あきらの心”を救うことができるのか?頼もしき仲間たちの助けを得て、物語は終幕へとひた走るー。伊吹契×大槍葦人のタッグが贈る“未来の童話”、ここに完結ー。
探偵見習い・舘村久志の勤務する探偵事務所に持ち込まれた久々の依頼、それはフィオというアリスの捜索だった。調査を開始した舘村は、資産家・喜田がフィオそっくりのアリスと共に写っている写真を入手し、勢い余って喜田邸に侵入してしまう。しかし、喜田邸では既に、もう一人の招かれざる客が調査を行っていた。トジコと名乗るアリスが、舘村と同じ写真を見てここに来ていたのだ。けれども、トジコはフィオを捜しにきたのではなかった。彼女が追っているアリスの名は、ロザー。奇妙な共犯関係を結び、外貌の似通ったアリスたちが闊歩する騙し絵の如き館を調査していく舘村とトジコ。二人は真実に辿りつき、フィオとロザを見つけ出すことができるのか…。これは、朝倉冬治の物語に連なる、もうひとつの機巧少女譚。伊吹契×大槍葦人のタッグが贈る“未来の童話”、憂愁の第二幕ー。
高性能アンドロイド・アリスーその普及に伴い、彼女たちの人格プログラム改修を行う“調律師”たちも、あちこちに工房を構えるようになっていた。ある日、そんな調律師の一人である朝倉冬治の工房を、一体のアリスが訪ねた。ロザと名乗ったその機巧少女は、一五年前に別れた冬治の幼馴染・永峰あきらと瓜二つの外貌を持っていた。戸惑いながらも他人の空似かと思う冬治だったが、あきらを想起させる行動を繰り返すロザに対し、次第に疑念を募らせていく。彼女は一体、あきらとどのような関係にあり、何のために工房を訪れたのか…。星海社FICTIONS新人賞選考会で絶賛を浴びた、美しくも哀しき抒情詩、装画に大槍葦人を迎え、遂に刊行ー。