著者 : 伏見七尾
獄門家の娘とあれば、屍山血河を行く定め。 獄門家に生まれることは、血と炎の渦中に呑まれることと同義。 まして花の名を冠する女とあれば、屍山血河を行くが必定ーー。 春待つ京都。いつものように怪異を追う撫子とアマナだったが、そこには奇妙な共通点があった。鬼、鬼、鬼。様々な鬼が、それぞれは無関係であるはずの事件に顔を出す。 その裏で糸を引いていたのは…… 「会いたかったですよぉ、従妹ちゃん」 もう一人の獄門の娘ーー芍奈。そしてその母である牡丹だった。 苛烈にして繊細。横暴なのに相棒想い。 自らと似ているようで違う芍奈への態度を、撫子は決め切れない。 それでも。世代を越えて連綿とつながる獄門家の因縁は、二人を否応なしに対決へと導いていく。 「おまえさえいなけりゃ、こんなことにはならなかったッ!」 「……ここで、終わらせましょう」 同じように獄門家に生まれ、異なる花の名を冠した二人。 屍山血河へ引き込まれてしまった撫子と芍奈の、戦いの決着は。 化物とヒトとのあわいに揺らぐ、うつくしくもおそろしい少女鬼譚、鏡写しの第三巻。
それは、現世と幽世のはざまにある場所ーー 衝撃の第17回小学館ライトノベル大賞《大賞》受賞作、 さらにスケールアップした第二弾。 「神去団地へようこそーーそして、ご愁傷様」 ここは神去団地。 怪異ひしめく古都・京都の裏側に隠された、現世と幽世のはざまの土地。 地上には量産された建物が歪に立ち並び、目も眩むような青空の中心では、赤く奇妙な太陽が人を惑わせる。 この土地に閉じ込められた無耶師たちは、赤い太陽が秘めた力を巡り争っているのだという……。 そんな異形の地で目覚めた撫子は、記憶を失っていた。 化物にすら畏怖される『獄門家』の血族としての記憶も、アマナと出会ってからの記憶すら失っていた撫子。かろうじて記憶を取り戻すも、何か大切なことを、忘れているような気がしてーー。 空に焦がれた天狗の一族、奇妙に身軽なタタリコンサルタント、向こう見ずなガスマスク達、蹂躙する狂信者たち、もはや終わってしまった一族の生存者……人々の欲望が絡み合うなかで、撫子とアマナはこの異形の地に巣食う因縁を断ち、脱出できるか。 そして撫子は、忘れてはならなかった約束を思い出せるのかーー。 化物とヒトとのあわいに揺らぐ、うつくしくもおそろしい少女鬼譚、霍乱の第二巻。
その乙女、化物を喰らうさだめーー これが応募総数1469作品の頂点。 第17回小学館ライトノベル大賞《大賞》受賞作! 獄門家ーー地獄より現れた血族。怪異ひしめく古都・京都を根城とする彼らは、呪術を操る胡乱な者どもはもとより、化物にすら畏怖されていた。 そんな凶家の末裔たる乙女ーー獄門撫子は、化物を喰らうさだめの娘。 荼毘の炎から取りあげられた、このうえなくうつくしくーーこのうえなく、忌まわしい娘。 しかし…… 「撫子か。なるほど、その名の通り可憐だな。」 このうえなく奇妙で、胡乱で、美しい女ーー無花果アマナ。 自らを恐れもせずに笑う彼女との出逢いが、撫子を変えていく。 花天井に潜むもの。箱詰される人身御供。学園にあざなえる呪い。人を幻惑するけもの。かたちなき化物。 次々と怪異に挑むうち、二人はやがて目を背けていた己そのものと対峙する。 「あなたさえいなければ、わたしは鬼でいられたのに。」 鬼の身体にヒトの心を宿す少女と、ヒトの身に異形の魂を抱える女。 二人のつむぐ縁が、血の物語の封を切る。 TYPE-MOON武内崇氏も認めた、おそろしくもうつくしき、少女鬼譚。 【編集担当からのおすすめ情報】 第17回小学館ライトノベル大賞で「大賞」に輝いたのは、TYPE-MOON武内崇氏も認める、超王道の現代伝奇! 独特の「理」のある世界観に引き込まれる伝奇アクションはもとより、強くてややこしい美少女と胡散臭くていい女の主人公コンビが交わす、絶妙に「刺さる」やりとりに要!注目です。