著者 : 周藤蓮
明らかになった鉄窓島の「矛盾」。それは測定された未来が島から出た後の“罪”を仮定し計算されていること。つまり、島から脱出する前提で僕らは“明日の罪人”と定義された。大いなる矛盾に付け込んだ未来を賭けた脱出計画の行方はー。
機器による未来測定が義務化した世界。少年・湯治夕日は、将来的に罪を犯す存在“明日の罪人”と判定され、無人島『鉄窓島』での隔離更生プログラムへの参加を強制される。集められた12人の“明日の罪人”。その使命はただ一つ。一年間の共同生活を通じて己が将来の潔白を証明すること。だが、日々を過ごすにつれ少年少女たちに潜む心の闇が徐々に露わになり始め…!?迫りくる悪意、苦難、孤独ー。その果てに捻じ曲がる未来は贖罪か。それとも絶望か。『賭博師は祈らない』の周藤蓮が贈る、衝撃の学園クライムアンサンブル!-さあ、『特別授業』を始めよう。
『死神』との戦いも乗り越えて、より一層の愛を深めたシーモアとルーミー。傍目にも仲睦まじく、なにより明るく素直に愛情を振りまくルーミーの姿は、出会った頃からの大きな変化を感じさせるものだった。そしてもう一つ、変化はあった。白昼を切り裂いた夜空と、日の中を飛んでいく吸血鬼。あの日、怪異が多くの人の目に留まった。そして世界の理の箍が外れたように、これまで隠されてきた無数の怪物たちが静かに蠢き出していく。そんな新しい日常。突如事件は起きる。「-パパ!会いにきたの!」自分とどこか似ている『娘』の登場に動揺を隠せないシーモア。否定しきれない彼の態度に、ルーミーの視線はどんどん険しくなっていく…!
「獣腫」の猫耳を持つエミリアは、学術都市ラグノマで学院に通う18歳の貴族令嬢。決められたレールを歩む人生に悩んだ彼女は、一念発起し「自分探しの旅」へ繰り出すことに!壮年の執事・ロイドを連れて、未知への一歩を踏み出した。いざ、世界を見つめ、自分を見つける卒業旅行へ!
「お兄ちゃんも真面目に生きて、天国を目指そうって気になってきたんですか?」個人でやっていた運び屋を、会社として運営し始めて早一月。恋人のルーミー、そして社員として雇い入れたバーズアイ姉妹たちとともに仕事を回す日々。経営は苦しいながらもシーモアは、情報屋のフランから「真面目」とからかわれるような幸せに浸っていた。だがある日シーモアのもとに捜査官から、ルーミーのもとに殺人株式会社から、脱獄した『死神』の捕獲・討伐に協力するようそれぞれ秘密裡に依頼が入る。一方、『死神』の手による連続殺人事件が巷を騒がせるようになり、街は徐々に無秩序がはびこるようになっていた。はからずも同時期、街には新たなる怪異が産声を上げようとしていて…。
降りしきる雪とともに訪れた新年。吸血鬼ルーミーを因縁と陰謀の中から救い出し、日常へと回帰したシーモア。騒々しい運び屋仕事の中で、二人はぎこちなくも幸福な日々を送っていた。だがそんな日常も長くは続かない。マフィアに追われ、逃げ込んできた双子のバーズアイ姉妹。人を傷つけないと誓ったことによって、徐々に迫り来るルーミーの飢えの限界。緩やかに、しかし確かに平穏の終わりが近づく中で、シーモアたちの前に姿を現す最悪の敵『吸血鬼狩り』。選び取った幸福の中で、シーモアは更なる決断を求められることになる。人と人ならざるものの恋物語、第二弾。
大戦と禁酒法によって旧来の道徳が崩れ去ったその時代。非合法の運び屋シーモア・ロードのもとにある日持ち込まれた荷物は、人の血を吸って生きる正真正銘の怪物ー吸血鬼の少女であった。仕事上のトラブルから始まった吸血鬼ルーミー・スパイクとの慣れない同居生活。荒んだ街での問題だらけの運び屋業。そして、彼女を付け狙うマフィアの影。彼女の生きていける安全な場所を求めてあがく中で、居場所のないシーモアとルーミーはゆっくりと惹かれ合っていく。嘘と秘密を孕んだ空っぽの恋。けれど彼らには、そんなちっぽけな幸福で十分だった。人と人ならざる者との恋の果てに、血に汚れた選択が待ち受けているとしても。
ロンドンの裏社会を牛耳るジョナサンと対立し、一度はすべてを失ったラザルス。だが賭博師としての矜持を奪われ、地の底を這いつくばったその先で、彼は自らが進むべき新たな境地へと辿り着く。再起したラザルスはフランセスにも勝利し、ジョナサンとの全面対決を掲げた。かつて帝都にいた友人たちが残した、ちっぽけな約束を守るためだけに。一方、ラザルスの無事に安堵したリーラだったが、彼女は故郷へ帰る為の乗船券を渡されたことに戸惑い、自分が主人に対して抱いていた想いに気付かされる。-『私は、ご主人様が好きです』そしてラザルスはリーラとの関係にひとつの答えを出すことに。二人の物語に訪れる結末は、果たして。
バースでの長逗留を終え、ようやくロンドンに帰還したラザルス。リーラは徐々に感情豊かになり、観光がてらついてきたエディス達との交流も続く。賭場の馴染みからは、そんな関係を冷やかされる始末。ラザルスは賭博師として日銭を稼ぐいつもの生活へと回帰していく。だが幸福そうに見えるラザルスの心を陰らせるひとつの懸念ー。リーラという守るべき大切なものを得たが故に、彼の賭博師としての冷徹さには確実に鈍りが生じていた。裏社会の大物や警察組織にも目を付けられつつも、毎日を凌いでいたラザルスだったが…。そしてかつての恋人である賭博師・フランセスとの因縁が、ラザルスに決定的な破滅をもたらすことになる。
ノーマンズランドでの負傷も癒え、ようやく当初の目的地バースにやってきたラザルスとリーラ。村から付いてきた地主のエディスとメイドのフィリーも道連れに、気侭で怠惰な観光を洒落込むつもりだったが、一つ誤算があった。温泉とギャンブルが名物のこの街で目下勃発しているのは、賭博を司る儀典長と副儀典長による熾烈な権力争い。バースへの道中で出会った知人からは忠告を受けるも、時すでに遅し。温泉から宿に戻ってみると、部屋には荒らされた形跡。そして一人横たわる血まみれの少女。面倒事の匂いに辟易としながらもラザルスは彼女を保護する。それは、陰謀張り巡らされたバースにおける長い戦いの幕開けであった。
奴隷の少女リーラの救出劇から一週間。賭場を負かし一人の女を守った代償はしかし大きかった。「負けない、勝たない」をモットーにしていたラザルスは賭場に出向くこともできなくなり、帝都を旅立つことを決める。それは、少しずつ心を開き始めたリーラを連れての道楽旅行になるはずだったが…。道中立ち寄った村でラザルスを待ち受けていたのは、さる事情で窮地にある地主の娘エディスからの突然の求婚だった。一方、リーラは二人のやりとりを覗いてしまい、自分はラザルスにとって不要なのではないかと想い悩み始める。「奴隷」である彼女が出した結論とはー。少女たちの想いを受け、やがてラザルスは危険なギャンブルに打って出る。
十八世紀末、ロンドン。賭場での失敗から、手に余る大金を得てしまった若き賭博師ラザルスが、仕方なく購入させられた商品。-それは、奴隷の少女だった。喉を焼かれ声を失い、感情を失い、どんな扱いを受けようが決して逆らうことなく、主人の性的な欲求を満たすためだけに調教された少女リーラ。そんなリーラを放り出すわけにもいかず、ラザルスは教育を施しながら彼女をメイドとして雇うことに。慣れない触れ合いに戸惑いながらも、二人は次第に想い通わせていくが…。やがて訪れるのは二人を引き裂く悲劇。そして男は奴隷の少女を護るため、一世一代のギャンブルに挑む。第23回電撃小説大賞・金賞受賞作!