著者 : 喜咲冬子
イェスデン王国の北方。 険しい峰々と鬱蒼とした森に囲まれるリンドブロム領を治めるのは、 その美しさから「辺境の真珠」と称される若き女公、リーサ・リンドブロムであった。 貧乏領と呼ばれた地の経済を十年かけて立て直し、 後継の養子エルガーに領主の座を譲るという段になって、 突然、元婚約者の第四王子・ウルリクの率いる王領軍がリンドブロム領にやって来る。 その目的は、十年前に反逆を起こし国外に逃れていた 王弟・ランヴァルドの再起を恐れた国王の密命により、 かつて王家がリンドブロム家に預けた真の王の証 「波濤の聖剣」を受け取ることだという。 まさに同時期に、ランヴァルドが王都を急襲。国王崩御の報せが舞い込みーー。 国の変事を前に、民を守るためリーサに残された道はひとつ。 ウルリクに協力し、王の証を手にした彼を王座に就けること。 未だ燻るウルリクへの恋心はじめ様々な葛藤を抱えながら、 リーサは嵐の中に身を投じ、未来を切り拓いてゆく。 ■著者プロフィール 喜咲冬子(きさき・とうこ) 函館生まれ、札幌在住。第3回富士見ラノベ文芸大賞審査員特別賞受賞。2019年ノベル大賞佳作受賞。著書に『流転の貴妃 或いは塞外の女王』『竜愛づる騎士の誓約』『やり直し悪女は国を傾けない〜かくも愛しき茘枝〜』(集英社オレンジ文庫)、「黎明国花伝」シリーズ、「華仙公主夜話」シリーズ(富士見L文庫)などがある。
真っ白な原稿を手に、千華宮の賢妃・桃華は決意していた。彼女の正体は、鳴かず飛ばずのアラサー漫画家・由里。 失恋した挙句、事故に遭い、漫画のモブ妃に転生してしまったのだ。おかげで物語が変わり正義のヒロインが不在。 代わりに悪事を暴くのはーー。 「三コマしか出ないモブ妃がやるの? しかも恋まで?」 後宮の告発に加え、皇帝との恋愛が必須。失恋の傷が癒えない由里は、神技アシの皇帝・月舟による寵愛を笑顔で回避しながら、同人誌での告発に望みを託すが……!? 修羅場を漫画で乗り切る後宮布教物語! ・序 とりあえずヨガ ・第一幕 田中由里(漫画家・三十二歳) ・第二幕 月夜の密会 ・第三幕 漫画を描いています。 ・第四幕 勝利への道 ・跋 桃華の願い
大国・豊日国より、幼き頃に生贄として追放された女王、明緋。逃げた先の山奥で趣味の呪いや術に没頭し、気ままに暮らしていた。 ある日雪に埋まる西国の皇子・那己彦を発見、明緋が救い出してやると、突然求婚されてしまう。慌てて彼を追い出そうとしたその時、明緋の妹である豊日国の王女・紫夕の命で兵たちに囲まれ、小屋までが燃やされる。 生贄となった後もなお「我国に仇なす魔物」と忌み嫌われるのか。 絶望し妹に立ち向かおうとする明緋を待つものは、果たして「妃選び」という名の陰謀だった!
呑気な隠居を夢み、円満退職を願う代筆係の采女・蒼月。期せずして皇帝から六人の姫へ贈る恋文と、物語の執筆を頼まれることとなる。蒼月は六つの物語作りに奮闘するはずが、祖国の反乱に巻き込まれーー?
最愛の紫旗の暗殺計画を知った明花は、花嫁となり後宮へ潜入。しかし紫旗は呪いで倒れ、明花の素性を知ってか「目の光る生き霊の仕業」と噂が飛び交い、窮地に立たされるーー。凸凹コンビが最凶の敵へ挑む最終幕!!
明花が住む街では、慈善活動が脚光を浴び「赤猫」という義賊が噂となっていた。時を同じくして、次期皇帝の紫旗・花嫁候補を巡り事件が勃発。明花は花嫁試験に潜入し悪徒をあぶり出そうとするがーー!?
初代皇帝が仙人の力を借りて建国したという伝説を持つ基照国。 絶世の美女ともてはやされる酒楼の女主・祥明花のもとにある日、若き宰相の李伯慶が訪ねてくる。 実は明花の正体は、先帝の落とし胤と噂の姫・華仙公主。伯慶は滅亡寸前の国と幼い次期皇帝・紫旗を守るため、明花に協力するよう取引を持ちかけてきたのだ。 国はどうでもいいが可愛い紫旗は助けたい。その一心で、きな臭い伯慶の誘いに乗ることを決めた明花だったが……? 腕力系公主と腹黒宰相の凸凹コンビ、果たして傾国を回避できるか!?
身体のどこかに浮く花の形の痣と、「星読の力」と呼ばれる予知能力を持つ代々の女王が国を治めてきた黎明の国。 スウェン・ルシェの姉妹が荒廃した国土を建て直して8年。時代は動乱期から再生期へと移り変わりつつあった。 妹のルシェが生んだ皇国の血筋を継ぐ一人娘・イーリアと、国の荒廃を招いた前女王の血を受け継ぐ前十娘・エジカ。 黎明国初代女王を彷彿とさせる鮮やかな花の痣と、叔父のキナンを越える星読の才能を開花させるイーリアを姉として導きながら人知れず苦悩するエジカ。 「忌むべき血を持つ自分が、王女としてここにいてもいいのだろうかーー」二人の娘が母や父を思いながら選ぶ自らの歩む道とはーー? 国を統べる娘たちの大河ロマン、堂々の完結。
黎明国女王位の正統なる継承者が山越国にありーースウェンが女王に即位して二ヶ月、不穏な密書が朱暁宮を揺るがす。正統なる継承者“もうひとりの王女”の正体とは……? 混乱の中、諸国を統率する重圧に悩むスウェンの傍で、弟のキナンもまた自らの内に潜む昏い本性に苦しんでいた。真相を突き止めるべく動きだしたスウェンだが、そこには女王の血脈をめぐる隠された真実が……。できることならどうか、幸せに生きてほしいーー花の痣と予知の力を背負う王女たちの運命を描いたグランドロマン、続編登場!
女でありながら武人の姉・スウェンと、知に秀でる妹・ルシェ。身体のどこかに浮く花の形の痣と、「星読の力」と呼ばれる予知能力を合わせ持つ女王が国を治める黎明国で、姉妹は二人ともが女王候補の資質を持ちながら、辺境の地で隠れ暮らしていた。しかし女王の陰謀で肉親を殺され、離ればなれに暮らすことを余儀なくされた姉妹は、苦しむ民のため女王と戦うことを決意する。荒廃した大地に立つ運命の姉妹のグランドロマン、開幕!