著者 : 巖本英利
その日、市立桜ケ丘高等学校の教師と生徒、用務員、計七十九名は異世界に召喚された。異世界へ誘われるさなか、神の慈悲により、七十九名は加護を与えられる。彼の地で生きていくうえで必要な適応能力、言語、後に己の能力となる光り輝く剣。そして、次々と転移していく七十九名の異世界生活が始まる…はずであった。用務員、支部蔵人。彼だけが違っていた。神より与えられた剣を一年の男子に取られ、周りの嘲笑のなか呆然としていたのである。このままでは野垂れ死ぬ。一人転移に抵抗し、蔵人は神に願う。-失った力を取り戻してくれ。それがだめなら奴等とは別の地に…。その願い叶い、蔵人は一人だけ異なる地より冒険の幕を開けるのであった。
スロニアTO叛乱の芽を撃滅した功績が認められ、連邦軍中尉任官及び共産党書記局付という異例の昇進を果たしたダーヴィドら五人は、ボルニア共和国首都ヴルフ・ボスナに赴任する。ヒルトリアの“末期的現状”を唯一正確に見抜くトルバカインと未来を知るイレギュラーであるダーヴィドは“制御可能な革命”を果たす為、約束の国に巣食う“癌”を手段を選ばず一掃していく…。カルロ・ゼンが贈る“共産主義英雄譚”粛清の第2巻ー。
ヒルトリア社会主義連邦共和国ー党と国家機構が融合し、“兄弟愛と統一”のスローガンの下、五民族・五共和国が薄氷の上に共存共栄する共産主義国家に時を越えて舞い戻ったダーヴィド・エルンネスト。過去か未来か、“共産主義”か“民族自決”かの二者択一の正解を求め、ダーヴィドは仲間と共に、ヒルトリア連邦人民軍で栄達を重ねていく…。『幼女戦記』のカルロ・ゼンが贈る“共産主義英雄譚”開幕ー。
私は自分がそこまで凄い存在だとは思ってなかった。ほんのちょっと常人とは違う特殊な能力があるってだけで。仲間たち皆で競いあって才能を磨いていこうって。でも、あいつだけは違うのかも。控えめな癖に、妙に強気で頑固で根拠不明な奇妙な男子、才牙虚宇介だけは…。世界からすこしだけ逸脱した少年少女たちが集うNPスクール。統和機構の監視下のもと自らの置かれた危険な立場を知らずに無邪気な遊戯を続ける彼らに紛れ込む謎ーエンペロイダー。それは虚空の王にして螺旋の支配者。世界の未来も過去も、希望も絶望も、勝利も敗北も、すべてを制覇するという存在が影を落とすとき、子供たちに迫るのは輝ける将来か、崩壊の足音か…。