著者 : 扇風気周
暮井先生との一件を経て、俺と桐原は一時的に離れはしたが元の“秘密の悪い関係”に戻った。ただ戻っただけじゃなく、互いへの想いをより深める形で。そんなとき、恩人で元カノの高神柚香ーユズが現れ、家に置いてほしいと頼み込んできて…。葛藤の末、恩を返すために条件付きで居候を認めるも、ユズはよりを戻そうとあの手この手で誘ってくる。迷いの中で桐原にも相談できず、我慢だけが積み重なっていきー。大切だからこそ、悩んで、抱えて、見えなくなる。それでもやっぱり大事にしたくて…。目を覚まし、桐原に解決策として相談したのは、俺と桐原の“同棲”だったー。
「学校で自分が受け持つ生徒と密会。…興奮する?」桐原との誰にも言えない特別な関係は、俺が教師として森瓦学園に赴任したことがきっかけに始まった。学校では真面目で先生からの信頼も厚い生徒会長だが、二人きりのときはいたずらっぽく、甘えたがりで嫉妬深い。週末は彼女の家で食事を作り、一緒にゲームをして、まるで恋人のように甘やかす。弱みを握られていることで拒絶もできず、よくないとは思いながらも毎日少しずつ秘密を重ねていって…。「先生のことを好きって気持ち、すごく大きくなっているんだ」素直に気持ちをぶつけてくる桐原に、抑えていた想いも大くなっていく。バレたら終わりなのに、その意識が逆に拍車をかけていきー。
親のいいなりに医師を目指していた高校生の秀星は、長く続く人生に嫌気がさしていた。そんな彼のもとに、一通のメールが届く。「この夏を最後に、病気で死んでしまう女です。私と暮らしてくれませんか?」メールの送り主・笹音が患う“白砂病”は、徐々に身体が石化し、命を落とす不治の病。そしてそれは、傍にいる大切な人の命をも蝕んでいく。好きになって距離が狭まるほどに死が近付く二人の恋。その恋の果てに、思いがけない未来が待っていたー。
猫たちを統べる猫神様に見守られ、賑わう日立門商店街に一人の神様がやってきた。「はじめまして、商店街の皆さん。わたしは新米の神様です!先輩の猫神様と一緒に皆さんの失くしたものを探すお手伝いをさせてください」商店街の人たちが抱える問題を、失くしもの探しを通じて解決します。時には自分でも気付いていない悩みを解消したり、淡い絶望を希望に変えることもー。これは小さな女の子の姿をした、なりたての神様の「答え探し」の物語。
木島高校には「普通じゃないモノが見える少女が生徒の相談にのってくれる」という有名な噂がある。夕日が落ちていく放課後、誰もいない教室にたたずんでいる神崎早苗は、この教室に相談者が訪れる“未来”が視えていた。「だってあなたは世界に絶望してるもの」早苗が言葉を投げかけた先には一人の生徒が呆然と立ち尽くしている。「お前は絶望しないのか…?」“生命”が視えることで、『死』の影に脅え生きることに絶望してしまった三島洋平は、焦燥と羨望を織り交ぜた表情を浮かべ、早苗に問いかけるのだった。こうして“未来”が視える早苗と“生命”が視える洋平は出会いそしてーこれは二人が奏でる救済のコンチェルト。