著者 : 甲田学人
「被服準備倉庫には呪われた人形が置いてあるらしい」真央が所有する棺に興味を持つ銀鈴学院三年総代・荻童獅朗から、ロザリオ・サークルに依頼が舞い込んだ。それは同じ学校に通う三年生・小木奏の相談ー銀鈴学院に古くから噂が絶えない被服準備倉庫の呪い人形の霊に取り憑かれた妹の調査だった。真央や瞳佳たちが被服準備倉庫に向かうと、そこには埃をかぶりながらも布に覆われ異様な雰囲気を纏うドールハウスが一同を静かに待ち受けていて…。妹の身に起こるポルターガイスト現象、奏の依頼裏で暗躍する荻童、瞳佳の身にも迫る学院最凶の霊。事件を追ううちに見えてきた学院の抱える秘密とはー。
少女失踪の心霊事件以降、ロザリア・サークルの代表・守屋真央が主催する「交霊会」の手伝いをすることになった柳瞳佳。そんな中、守屋のもとに同じ学校に通うテニス部所属の的場茜から心霊相談が舞い込むーそれは「一人交霊会」を機に、人が全く変わってしまった親友・吉野美南海の調査だった。美南海の横顔に無数の目鼻が浮かび上がった写真。彼女を取り巻く友人たちに次々と起こる不可解な現象。そして調査をしていくうちにみえてきた美南海に取り憑く首つりの霊…。全ての謎を追っていくうちに、明らかになっていく哀しい真実とはー。
心霊事故で退学処分となり銀鈴学院高校に転校してきた少女・柳瞳佳。彼女は初日から大人しめの少女四人組のおまじないに巻き込まれてしまう。人が寄りつかない校舎のトイレにて、おそるおそる始めたおまじない。人数と同じ数を数え、鏡に向かって一緒に撮った写真。だが皆の画面に写っていたのは、自分たちの僅かな隙間に見える、真っ黒な長い髪をした六人目の頭だった。そして少女のうちの一人、おまじないの元となる少女が忽然と姿を消してしまい…。少女孫踪と謎の影が写る写真。心霊案件を金で解決するという同級生・守屋真央に相談することにした瞳佳は、そこで様々な隠された謎を知ることにー。
ホラー小説レーベルの編集者・西任結が息子のために引っ越したマンションで起きた、子供たちが次々と亡くなっていく惨劇。だが被害は子供だけではなく、大人にも拡がり始めていた。そして恐怖に耐えられず、壊れていく住人達。随所で確認されるのは、首のもがれた不気味な紅い紙人形。やがて住人達の怖れの矛先は一つの部屋へと繋がっていく。それは過去から続く悲劇の連鎖であり…。そして悲劇の夜が始まり、明けていく。事件の裏に隠された真相とはー。
ホラー小説レーベルの編集者・西任結が子供のために引っ越したマンションでは、子供たちが奇怪な事故に巻き込まれ、二週連続で亡くなった。次は自分の子が巻き込まれるのでは…と徐々に高まっていく住人たちの不安。そんな中、霊能者にお祓いを依頼するかどうかで意見は割れていく。だが事態はさらに悪化し、そしてついにー。奇怪な掲示や赤い着物の流し雛の慣習など、謎はさらに深みを増していく…。
ホラー小説レーベルの編集者・西任結は、子供の喘息を憂い地方への引っ越しを決めた。だが、そのマンションでは奇妙な出来事が多く起こる川に浮かぶ幾つもの紅い流し雛、不自然に多い空き部屋、「よそ者は出て行け」と怒りを露わにする老人、そして掲示板に貼られた謎の掲示ー。結は若きベストセラー作家・真木夢人に相談を持ちかけるのだが、事態は一向に変わらず。ついに住人の子供が奇怪な死に巻き込まれー。
「奈緒。わたし、可愛い?」京本奈緒は、嘘が嫌いだ。その潔癖とも言える『嘘嫌い』のせいで親しい友達も少ない。だが唯一、天城紅美子だけは中学校からの親友と呼べる存在だった。紅美子は奈緒が知る限り最上の美少女だが、過度の寂しがり屋と浅慮な言動のため同性から嫌われていた。そして事件は唐突に起きてしまう。闇夜を歩く時槻風乃に出会い、二人の少女の間に黒い影が落ちてー。「白雪姫」「ラプンツェル」など、現代社会を舞台に紡がれる恐怖の童話ファンタジー。
ー死ね。死ね。天井から聞こえる微かな物音。少年の意識には、その音が狂おしく囁いているように思えた。そして…。社で始まる「虫おくり」祭りの準備中、街では蜂の被害が広がっていた。その被害は特に、七谷地区よりも深い山奥にある棄谷という集落で酷くなっている。棄谷には信乃歩の読書クラブの友人と自殺したという少年が住んでいた。少年の家族は引っ越してきて以降ずっと、この集落に馴染めなかったらしい。そして少年を虐めていた人間がまた一人、蜂の犠牲になっていく。果たして呪いと虫おくりの関係とはー。甲田学人が放つ呪いの物語、第3幕!
「また自分の知らない風習か…」同級生・日高護の祖母の葬式に出席した真木現人は、そこで騒ぎに巻き込まれる。部外者であるはずの少女が発したことーそれは日高が過去に祖母から聞いていた『神様の入った箱』を差し出せというものだった。一方で現人の双子の兄・夢人は、その箱と同時に日高の家系にも興味を持ち始める。それは七谷という土地で脈々と引き継がれている『憑き物筋』で、呪いの本尊をその箱に収めているという。兄の話に怒りを覚える現人だが、呪いはすでに浸蝕を始めていた。現人が通う高校に巻き起こる怪異、そしてー。甲田学人が放つ呪いの物語、第2幕。
双子の弟・真木現人は兄の夢人のことが嫌いだった。主人公の虐めと呪いをテーマにした小説 『呪験』 で十五歳にして作家になり、上京した夢人。そして、その内容に影響された殺人事件により帰郷するのだが、彼は七屋敷薫という婚約者を連れていた。 ── 七屋敷は呪われている。七屋敷の花婿は、呪いによって、二年と経たず早死にするのだ。 そんな 『呪い』 が噂される婚約だが、夢人は暗い嘲り笑いを浮かべるだけだった。 そして、夢人を尊敬し慕う妹の信乃歩に、彼らを蝕む呪いの物語が、静かに始まりを告げていた──。
日々苦しみ続けていた蒼衣の過去の悪夢の真相、雪乃が抱える様々な想いや誇り、そして神狩屋から消えてしまった颯姫と夢見子……。謎が謎を呼び、混沌としていく神狩屋で、また一人『白雪姫』の悪夢に巻き込まれ、騎士たちが消えていく。だが全ては、蒼衣の過去より、始まるべくして始まっていた──。
主が帰ってくることのない神狩屋。活動停止を命じられた雪乃は、そこのみが拠り所かのように待機することしかできない。さらに蒼衣も、神狩屋の書斎で膨大な資料から手がかりを探すしかなかった。何度もそんな作業を繰り返した時、蒼衣の目に入ってきた一つのスクラップブック。そこに記されていたのは、葉耶にまつわる過去の真相。そして──。
“-彼女の髪に、触ってみたい…”少女が歩道橋を登り、階段の一番上に、ぺた、と差し掛かった時。突然、ぐん、と後ろ髪を鷲掴みにされた感触と同時に、髪の毛が思い切り後ろに引っ張られた。そして、恐怖とともに堕ちていきー。いまだ葉耶の悪夢に苦しむ蒼衣は、葬儀屋の件でさらに自責の念に駆られていく。葬儀屋の蘇りにより自我を保っていた保持者が多く、蒼衣は方々から恨まれていた。周囲は蒼衣を休ませようと気を遣うのだが、“泡禍”解決の依頼は増えていくばかりで…。そして舞い込んできた蘇りの娘が関わる“泡禍”事件に、蒼衣も責任を取るかのように、雪乃と二人で解決に向かうのだがー。悪夢の幻想新奇譚、第十四幕。
病院で首を吊って死んでいた少女が残した手紙。そこには自分達がいじめていた浅井安奈からの復讐が匂わされていた。いまだ解明できていない謎の死を遂げた安奈と、生き返りの彼女を連れて逃亡を続ける多代亮介。二人を追ってクラスメイトたちに接触を図る蒼衣と雪乃だが──。
蒼衣が深い傷を抱えた一週間後。処分しそこなった〈泡禍〉被害者を探すため、瀧修司と可南子の工房を訪れた蒼衣たち。だが、可南子に対して雪乃は恐怖を感じずにはいられない。雪乃は“生き返り”という概念に疑問が隠せず、そして──。
恐怖はココロの隙間に入り込むー「君の『願望』はー何だね?そして、君の『絶望』はー」満開の夜桜の下、思わず見とれるほど妖しく綺麗に佇んでいたのは、密かに憧れていた従姉だった。彼女はその晩、桜の木で首を吊る。-彼女は桜の中にいる。-彼女に会いたい。そう信じ、願う男は、遂に夜色の外套を身に纏う昏闇の使者と遭遇する。曰く、暗闇より現れ、人の望みを叶えるという生きた都市伝説。夜より生まれ、この都市に棲むという、永劫の刻を生きる魔人。鬼才が紡ぐ渾身の怪奇譚。
「君の奥底に眠る『願望』は、何だね?」小学校の校庭に立つ、大きな桜の木。この桜は子供を攫う。咲がまだ子供の頃、目の前で親友が桜の花びらに沈み、消えた。風が薙ぎ、桜色のさざなみが立つ時、咲は悪寒とともに明確な危険を感じる。-桜の花びらは危険だ。そして、親友のことを想い続け、魔女と出会った彼女は、密かに願う。これは、『Missing』シリーズの夜色の外套を身に纏った魔人・神野陰之と、魔女・十叶詠子が紡ぐ物語。そして二人の出会いとはー。甲田学人が放つ渾身の幻想奇譚短編連作集、メディアワークス文庫『-怪ー』と連動し、待望の文庫化。
始まりは『生まれ変わりの子供』の話を真喜多莉緒が母親に話したことだった。異形化した母親と荒んでいく家族関係、そして閉ざされた真喜多邸。雪乃たちを助けにきたはずの蒼衣も隔離され、惨劇は予想以上に拡がっていく。抗える者が減っていく中、雪乃の身体に異変が──。
夏休みが始まり、雪乃とできるだけ長く一緒にいようと目論む蒼衣。だが、泡禍解決に赴いた雪乃と颯姫が戻ってこない。雪乃たちは、死なない〈異端〉を相手に真喜多家に閉じ込められているらしい。邸は異常現象により完全に外界と隔絶されていた。雪乃のためにも単身で邸内へと救出に向かう蒼衣だったが──。