著者 : 甲田学人
「君の奥底に眠る『願望』は、何だね?」小学校の校庭に立つ、大きな桜の木。この桜は子供を攫う。咲がまだ子供の頃、目の前で親友が桜の花びらに沈み、消えた。風が薙ぎ、桜色のさざなみが立つ時、咲は悪寒とともに明確な危険を感じる。-桜の花びらは危険だ。そして、親友のことを想い続け、魔女と出会った彼女は、密かに願う。これは、『Missing』シリーズの夜色の外套を身に纏った魔人・神野陰之と、魔女・十叶詠子が紡ぐ物語。そして二人の出会いとはー。甲田学人が放つ渾身の幻想奇譚短編連作集、メディアワークス文庫『-怪ー』と連動し、待望の文庫化。
始まりは『生まれ変わりの子供』の話を真喜多莉緒が母親に話したことだった。異形化した母親と荒んでいく家族関係、そして閉ざされた真喜多邸。雪乃たちを助けにきたはずの蒼衣も隔離され、惨劇は予想以上に拡がっていく。抗える者が減っていく中、雪乃の身体に異変が──。
夏休みが始まり、雪乃とできるだけ長く一緒にいようと目論む蒼衣。だが、泡禍解決に赴いた雪乃と颯姫が戻ってこない。雪乃たちは、死なない〈異端〉を相手に真喜多家に閉じ込められているらしい。邸は異常現象により完全に外界と隔絶されていた。雪乃のためにも単身で邸内へと救出に向かう蒼衣だったが──。
人魚姫の<泡禍>事件から二ヶ月。一人残された海部野千恵を見舞いに、蒼衣は雪乃と離れ、再び海辺の町を訪れる。そこで起きていたのは自殺した琴里に絡む惨劇。琴里の死を悼み臣が持ち帰った白いユリは、ただ静かに風に揺れていた──。
時槻雪乃のクラスメイトの古我翔花は、継母との確執により、いつも雪乃の家で泣いていた。死んだ母親の居場所を、形見の指輪を守りたいが、翔花は悔しさと悲しみに明け暮れて泣いていた。そんな時、ゴシックロリータに彩られた人形的な美しさを持つ風乃に出会い──。
自分を敵視する騎士の攻撃により、意識不明の重体に陥った雪乃。彼女の重荷をなくすため、蒼衣は単身、未だに手がかりの見えぬ<泡禍>の謎へと立ち向かう。そして、失踪事件を発端とした悪夢の結末に待っているものとは──!?
田上颯姫の妹が住む街で起きた女子中学生の失踪事件。<泡禍>解決要請を受けた雪乃と蒼衣の二人を待ち受けていたのは、敵意剥き出しの非公認騎士の少年だった。彼は、失踪した少女と共にいた愛の幼馴染みでもあり──。
神狩屋の婚約者の七回忌前夜、人魚姫の物語をなぞる惨劇は、蒼衣たちが訪れた海辺の町全体に広がっていく。そして、死の連鎖を誘う人魚姫の真相が明かされる時──。鬼才が贈る悪夢の幻想新奇譚、第四幕!
泡禍解決の要請を受け、蒼衣たちは海辺の町を訪れた。到着とともに感じたのは過去に例を見ないほど町中に漏れ出す泡禍の匂い。さらに神狩屋の婚約者の七回忌という異様な事実。そして、悪夢は静かに浮かび上がる──。
市立第一高校の一年生で時槻雪乃のクラスメイトの媛沢遥火は、停まっている自動車が怖かった。いつもと同じように急いで通学路途中の駐車場を通り過ぎようとすると、背後で小さな重い音が聞こえる。そして、振り返った遥火の眼に映ったのは、べったりと車の窓に浮かぶ、二つの赤ん坊の白い手形で──。
人間の恐怖や狂気と混ざり合った悪夢の泡。それは時に負の『元型』の塊である『童話』の形をとり始め、新たな物語を紡ぎ出す。そして、悪夢の中で出会った蒼衣と雪乃の二人が辿る物語とは──。鬼才が贈る幻想奇譚、登場!
神隠しの少女、あやめ。神隠しに遭い、戻ってきた空目恭一。その空目を護ることを誓った村神俊也。呪われた血を持つ木戸野亜紀。愛のために友を裏切った近藤武巳。近藤のことをただ慕う日下部稜子。人にあらざるモノ、神野陰之。ひたすらに知識と力を渇望する魔術師、小崎摩津方。呪われた土地に立つ聖創学院。異界の世界を望む魔女、十叶詠子。すべての因果が揃い、そしてかつて神が棲んだ山から、“ソレ”がやって来るー。超人気現代ファンタジー、ついに完結。
聖創学院をむしばむ多すぎる数の怪談ーだが、その怪談はある時期から徐々に数を減らし始めていく。同時にいくつかの特定の噂がささやかれる頻度は著しく上がっていき…その先に待っているのは、魔女の望む世界なのかー。超人気現代ファンタジー第12弾。
伝承の『座敷童』が“引っ越す”事があるのは知られているが、実にこれに関しても陰惨な伝承との関わりが考えられている。ある家に座敷童が入った時、多くはこのような話が語られる。『ある家に子供が入ったが、出てくる姿を誰も見なかった。その後、その家は急に富み栄えるようになった』、と。「ここに闇あれ」深夜、魔女・十叶詠子と、彼女の使徒たちが動き出した。未だ語られざる“なにか”に向けて。一方、木村圭子のもとに現われた童子様の正体が明らかになり…!超人気現代ファンタジー第10弾。
座敷童とは「福をもたらす童女の霊」という形だけでなく、愛らしいどころか不気味な姿をしたもの、また福だけでなく不幸の先触れである場合も『座敷童』の範疇に含むとしている。あくまでも、この童子の本質は『怪異』である事を忘れてはならない。「-ようこそ、みんな。“ここ”では久しぶりだねえ」その言葉とともに、“魔女”-十叶詠子は聖創学院に帰ってきた。そして、その“帰還”にあわせるように空目恭一ら文芸部の面々の間に微妙な亀裂が入り始めるー。超人気現代ファンタジー第9弾。
羽間村の某が家の養ひ児、入らずの山に入りて帰らず。神隠しに遭ひたりと聞く。右、元屋の隠居たずねし折に伝へ聞きし事、ここに記すもの也。聖創学院高等部で、シャワーを浴びていた一人の少女が消えた。学校に伝わるある怪談そのままに。一方、空目恭一ら、文芸部の面々はとある場所に向かっていた。そこにいたのは精神に異常を来した空目の母親で、彼女を皆に紹介した後、空目は文芸部の面々にある宣言を行うのだった…!ついに羽間にまつわるひとつの秘密が明らかにされるー!!超人気現代ファンタジー、第8弾。
私の小学校では一階から二階に上がる階段の所に鏡がかけてあった。夜中の二時に鏡の前に立つと、幽霊が映ると言われていた。昔、一人の女の子が夜中の学校に探検に行ったきり、帰ってこなかった。心配したみんなが次の日になって見に行くと、その鏡の前に女の子の上履きが揃えて脱いであった。その女の子は鏡の向こうに行ってしまったと噂になった。鏡は私が四年生の時に取り外されて、今はない。『連作・鏡の中の七不思議』の作者である八純啓が変死し、行方不明になっていた赤名裕子と大木奈々美が戻ってきた。だが異変は止まらない。そして…!超人気現代ファンタジー第7弾。
聖創学院に訪れた文化祭の季節。文芸部の面々も、会誌の作業に追われる日々を送っていた。そんな中、美術部の特別展示である『連作・鏡の中の七不思議』に、空目恭一らが遭遇した事件と明らかにリンクするモチーフが描かれていることを知った空目たちは、作者である八純啓のもとへ向かったが…!?超人気現代ファンタジー第6弾。