著者 : 甲田学人
部屋の花を覗くように窓に張りつく、自殺した彼女の痕跡。やがて──。 人魚姫の<泡禍>事件から二ヶ月。一人残された海部野千恵を見舞いに、蒼衣は雪乃と離れ、再び海辺の町を訪れる。そこで起きていたのは自殺した琴里に絡む惨劇。琴里の死を悼み臣が持ち帰った白いユリは、ただ静かに風に揺れていた──。すべての起源に迫る奇書『マリシャス・テイル』初収録の完全版・第5巻。 序章 はじまりの花 一章 遠い遠い御庭 二章 赤い赤い泉水 三章 昏い昏い童話 四章 淡い淡い撫子 五章 朱い朱い黒犬 間章 おわらない花 間章 おわれない花 六章 長い長い空位 七章 高い高い牢獄 八章 狭い狭い居室 九章 多い多い花入 十章 暗い暗い教会 終章 えいえんの花 『マリシャス・テイル』
時槻風乃は夜歩く。共犯者になるためにーー。 時槻雪乃のクラスメイトの古我翔花は、いつも雪乃の家で泣いていた。死んだ母親の形見の指輪を守りたいが、継母からの陰湿で残酷な嫌がらせにあい、悔しさと悲しみに明け暮れていたのだった。 そんな時、ゴシックロリータに彩られた人形的な美しさを持つ風乃に出会いーー蒼衣が雪乃に出会う三年前、風乃が生きていた頃に起きた惨劇(「金の卵をうむめんどり」)他、イソップ童話を元型とした二篇に加え、画家・八純啓と騎士団の邂逅の物語を書き下ろし収録。完全版・第4巻。 序章 イソップどうわ 第一話 よくばりな犬 第二話 アリとキリギリス 閑話 第三話 金の卵をうむめんどり 終章 余話 田舎のネズミと都会のネズミ
『×××××をしんじるな』 自分がしごとをしなかったせいで、仲間が『赤いクレヨン』の教室に食べられてしまい「わたしのせいだ」と深く落ちこむ華菜。一方、犠牲になった『かかり』が家族にすら忘れ去られたうえ、存在しなかった ことにされる仕打ちに憤る海深。それに抗うため、彼女は宣言するーーー「戦う。私。ちゃんと。もっと真面目に『記録』する……!」と。 そんな矢先、華菜は教室であるものを発見し激しく動揺する。そこに記されたメッセージが意味する、戦慄の『ほうかご』の真実とは……。 これは化け物たちに捕食される運命に抗う五十嵐華菜と仲間たちの、生き残りを懸けた戦いの記録。鬼才・甲田学人が放つ、恐怖と絶望が支配する“真夜中のメルヘン”第2部、閉幕。 七話 血の教室 八話 ガイコツ少女 九話 帰れない砂漠 終章
二人は、『ほうかご』で死んだはずなのにーー。 『ほうかご』から週が明けた月曜日、死んだはずの二人の仲間が何事もなかったように生き返り、学校に登校していた。驚愕する五十嵐華菜たちの前で、混乱状態に陥る当事者の二人。「なあ……お前、本物か?」「帰ってきてくれて、マジで嬉しい」恐怖と動揺、そして喜びがない交ぜになった『かかり』たちは、次の『ほうかご』の夜を迎える。 だが彼らを待ち受けていたのは、あまりにも衝撃的な異常事態だった。華菜は理解不能な状況を打破するため、『かかりのしおり』を作った元『かかり』に接触を図るがーー。これは化け物たちに捕食される運 命に抗う少年少女たちの、生き残りを懸けた戦いの記録。鬼才・甲田学人が放つ、恐怖と絶望が支配する“真夜中のメルヘン”第2部、第2弾。 年間ランキング唯一無二のホラー ★「このライトノベルがすごい! 2025」《総合新作部門》7位(文庫部門12位)(宝島社刊) ★「次にくるライトノベル大賞2024」《文庫部門》9位 四話 赤いマフラーの女 五話 動く人体模型 六話 動く骨格標本
「赤ずきん」が犯した、罪深き所業ーー。 田上颯姫の妹・瑞姫が住む街で起きた女子中学生失踪事件。怪奇現象「泡禍」解決の要請を受けた雪乃と蒼衣を待ち受けていたのは、敵意剥き出しの非公認騎士・馳尾勇路だった。失踪した少女の知人でもある彼は、二人を出し抜き単独で解決するために奔走する。だが「泡禍」は静かに新興住宅地を蝕んでいきーー。 赤ずきん、お婆さん、狩人、狼。『赤ずきん』の登場人物に見立てられたものたちの正体を見破れるか。すべての起源に迫る『マリシャス・テイル』初収録の完全版・第3巻。 序章 赤ずきんは森のなか 一章 この道は赤ずきんの村に 二章 この森はお婆さんの家に 三章 この屍はとむらいの棺に 四章 この獣はさまよいの道に 五章 この娘はオオカミの森に 間章(一) 赤ずきんは家のそと 間章(二) 赤ずきんは村のそと 六章 この路はオオカミの塒に 七章 この狩はさまよいの群に 八章 この邸はとむらいの囲に 九章 この禍はお婆さんの客に 十章 この罪は赤ずきんの罪に 終章 赤ずきんは腹のなか 『マリシャス・テイル』
死の連鎖を誘う、「人魚姫」の真相ーー。 怪奇現象「泡禍」解決の要請を受け、雪乃たちは神狩屋の店主・鹿狩雅孝が昔暮らしていたという海辺の町を訪れた。過去に例をみないほど溢れ出す泡禍の匂いの中、彼らは鹿狩のかつての婚約者・海部野志弦の妹・千恵に出会う。 奇しくも志弦の七回忌を明日に控え、悪夢の泡は静かに浮かび上がる。そして人魚姫の物語をなぞる惨劇が巻き起こりーー。切なくも悍ましい、シリーズ屈指の罪深き物語。 すべての起源に迫る奇書『マリシャス・テイル』初収録の完全版・第2巻。 序章 人魚の歌 一章 泡沫は君を誘う 二章 童話は夢と巡る 三章 亡者は死を呼ぶ 四章 寡人は屍を語る 五章 災禍は現に浮ぶ 間章 人魚の墓場 間章 人魚の海辺 六章 葬列は再び来る 七章 亡霊は罪を囁く 八章 狂気は呪を叫ぶ 九章 過日は禍を兆す 十章 咎人は海に哭く 終章 人魚の泡 『マリシャス・テイル』
鬼才・甲田学人が贈る、悪夢のメルヘン完全版。 この世界の怪現象は全て、神の見た悪夢の泡である。集合無意識の海から浮かび上がった悪夢の泡は、個人の恐怖と混ざり合い、歪んだ「童話」となって現実世界に溢れ出す。 凄惨な過去を抱え悪夢と戦う時槻雪乃。普通であることが信条の白野蒼衣。二人は〈神の悪夢〉を滅ぼすため、想像を絶する物語を追い、その悲劇を解き明かしてゆく。悪夢が作り出した『灰かぶり』と『ヘンゼルとグレーテル』。その恐怖と結末は。すべての起源に迫る奇書『マリシャス・テイル』初収録の完全版。 灰かぶり 序章 夢と断章の神話 一章 終わりと始まり 二章 傷を持った騎士 三章 灰かぶりの欠片 四章 魔女と魔女の死 五章 葬送そして葬送 六章 終わりの始まり 終章 夢を壊す者の名 ヘンゼルとグレーテル 序章 竈の中のヘンゼル 一章 蒼衣と雪乃 二章 予言と兆し 三章 ヘンゼルとグレーテル 四章 かまどとパン 五章 兆しとしるべ 六章 魔女と魔女 終章 竈の中のグレーテル 『マリシャス・テイル』
知らなかった。わたしたちが、神様の餌だなんて。 助けてください。わたしたちの学校の『かかり』は、いま大変なことになっています……とても理解できないことが起こっています。どうすればいいのか分かりません。 あかね小学校の『ほうかごがかり』から、『かかりのしおり』を作った者に届いた一通のメール。学校中の教室に棲む『無名不思議』と呼ばれる名前のない異常存在を観察し、その正体を記録するために集められた少年少女たちは、一人また一人、その命を『ほうかご』の暗闇に消していく。 三本足の人形、メリーさん……。これは化け物たちに捕食される運命に抗う五十嵐華菜と仲間たちの、生き残りを懸けた戦いの記録。 鬼才・甲田学人が放つ、恐怖と絶望が支配する“真夜中のメルヘン”第2部、開幕。 ★宝島社刊「このライトノベルがすごい! 2025」総合新作部門七位(文庫部門12位) 一話 二話 三話
僕らの手には『それら』と戦う力はない。だけど。 二森啓は思っていたのだ。もう自分は、いつ死んでもいい存在だと。 だがもう、それは叶わなくなったーー。 大事な仲間を立て続けに失い、悲しみと絶望感に覆われた『ほうかごがかり』。そんな時に啓が示した明確な意思をきっかけに、『太郎さん』は隠された事実を明らかにするーー「七人目の『かかり』だよ」 どうやら前年から『かかり』でありながらも、ずっと役割を逃れている人物がいるという。それを知らされた啓たちは……。 「…………ほんとに、あれがやってたことを引き継ぐのか?」 理不尽、そして怒り。追い込まれていく子供たちの、死を決した闘いの記録。鬼才が放つ恐怖と絶望が支配する“真夜中のメルヘン”第3巻。 八話 九話 十話
地獄のような光景が、『ほうかご』に広がるーー。 瀬戸イルマには、勇気がない。 臆病がゆえに『ほうかごがかり』になってから、一度も自分の担当している『無名不思議』がいる部屋に足を踏み入れていないイルマ。 「お願い、『ムラサキカガミ』の絵を描いてください!」 そう彼女から代理で『記録』を頼まれた二森啓が返した答えは、あまりにも思いがけないものだった。それが、完全に自分の命にかかわることとわかっているはずなのにーー。 『ほうかご』を受け入れて協力し合う者たち、臆病で弱くて卑怯な者、自己犠牲的な者。極限状態に置かれた子供たちが見せる強さと弱さ。 鬼才が放つ、恐怖と絶望が支配する“真夜中のメルヘン”第2巻。 五話 六話 七話
よる十二時、ぼくらは『ほうかご』に囚われるーー。 『ほうかごがかり 二森啓』 小学六年生の二森啓はある日、教室の黒板に突如として自分の名前が謎の係名と共に書き込まれているのを目撃する。その日の深夜十二時、自室。学校のチャイムが爆発的に鳴り響き、開いた襖の向こうには暗闇に囲まれた異次元の学校ーー『ほうかご』が広がっていた。 学校中の教室に棲む、『無名不思議』と呼ばれる名前のない異常存在。ほうかごに呼び出された六人の少年少女は、それぞれが担当する化け物を観察しその正体を記録するために集められたのだった。絵が得意な啓は屋上に潜む怪異『まっかっかさん』を捉えるべく筆を手にするが……。 鬼才・甲田学人が放つ、恐怖と絶望が支配する“真夜中のメルヘン”。 序章 一話 二話 三話 四話
ーー“ともだち”が、来るよ。文芸部の物語は、終着地へ。 神隠しの少女、あやめ。神隠しに遭い、戻ってきた空目恭一。その空目を護ることを誓った村神俊也。呪われた血を持つ木戸野亜紀。愛のために友を裏切った近藤武巳。近藤のことをただ慕う日下部稜子。呪われた土地に立つ聖創学院。異界の到来を望む魔女、十叶詠子……。 すべての因果が揃った時、かつて神が棲んだ山から、“それ”がやって来るーー。 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作。クライマックス他、最重要シーンを大幅加筆修正の末、堂々完結! 間章(ニ) 神隠しの物語 五章 間より人、移ろう 六章 各より謀、放たる 七章 怪より怪、連なる 八章 月より宴、始まる 九章 山より神、降りる 終章 神隠しの物語・完結編
その先に待っているのは、魔女の望む世界なのかーー。 聖創学院を蝕む、多すぎる種類の怪談。だが、その怪談はある時期から徐々に数を減らし始め、いくつかの特定の噂が囁かれる頻度が、著しく上がっていき……。 一方、文芸部との溝が埋まらないままの武巳は、保健室で“魔女の血”を供する儀式を目撃し、詠子の本当の願いを聞いてしまう。 「世界を、変えるの。私の見る世界に、そのままになるように」 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作、第12弾。新装版限定書き下ろし掌編付き。 序章 魔女の物語 一章 天より声、降る 二章 人より怪、出づ 三章 心より影、来る 四章 黙より音、涌く 間章(一) 黒衣の物語
喪失感を抱えたその先で、文芸部が辿り着くのはーー。 「これを聞いちゃ駄目よ。聞いたらーーー帰って来られなくなるわ」 “どうじさま”はゆっくりと確実に聖創学院を蝕みつづけるーー。 その状況に抗するべきかつての文芸部の面々はすでに分裂してしまっている。 さらに復活した魔術師と魔女宗も動き始め、事態は悪化の一途をたどる。 そんな中、文芸部のメンバーたちが真相を探るべく動き出して……。 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作。シリーズの核心に迫る第11弾! 新装版限定書き下ろし掌編付き。 間章(四) 子供達の呼び声 九章 少女の帰還 十章 座敷童 十一章 チャイム 十二章 夜会 終章 片割れへの呼び声のあと
「『座敷童』には、凶事の先触れとして現れるものがある」 “どうじさま”の儀式後、木村圭子は毎晩現れる“死肉”の気配に悩まされていた。 彼女に這い寄る怪異の解決ができぬまま、文芸部に生じた亀裂は徐々に拡大していく。 交錯する思惑、異様な怪異、そして動き出す魔女団。 混沌とした学院で “どうじさま” の正体が暴かれるとき、すれ違う文芸部の面々に最大の悲劇が訪れる。 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作、第10弾。新装版限定書き下ろし掌編付き。
「ようこそ、みんな。“ここ”では久しぶりだねえ」 “魔女”十叶詠子が聖創学院に帰ってきた。異様な雰囲気を醸す“使徒”を引き連れて。 その帰還にあわせるように、『異界』の存在が欠けたものを補ってくれるという〈儀式〉が学院で流行り始める。 真相の掴めぬ〈儀式〉、敵対する“魔女団”の出現により、混乱を極める状況の中、空目恭一ら文芸部の面々の間に微妙な亀裂が入り始めるーー。 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作、第9弾。新装版限定書き下ろし掌編付き。
聖創学院高等部で、シャワーを浴びていた一人の少女が消えた。 学院に伝わるある怪談そのままに。 一方、空目恭一ら、文芸部の面々はとある場所に向かっていた。 そこにいたのは精神に異常を来した空目の母親で、彼女を皆に紹介した後、空目は文芸部の面々にある宣言を行うのだった。 ついに、羽間にまつわる、おぞましきな秘密が明かされていくーー。 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作、第8弾。新装版限定書き下ろし掌編付き。
連続失踪事件の元凶と思われる『連作・鏡の中の七不思議』の作者・八純啓が死んだ。 そして、行方不明となっていた赤名裕子と大木奈々美の帰還により、事件は全て解決したーーかのように思えた。 しかし、悪夢は終わらない。再び戻ってきた『連作』、鏡面から現れる手、増える変死体。事件を終わらせまいとする存在の正体と目的とは? 文芸部の面々は、合わせ鏡の物語の真実に迫るーー。 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作、第7弾。新装版限定書き下ろし掌編付き。
聖創学院大付属高校に訪れた文化祭の季節。文芸部の面々も、会誌の作業に追われる日々を送っていた。 そんな中、近藤武巳は驚くべきものを目にする。美術部の特別展示にあやめや空目らがこれまで遭遇した事件とリンクするモチーフが描かれていたのだ。 空目たちは、その意図を知るため作者の八純啓のもとへ向かうが、生徒が次々と姿を消すおぞましき怪異は既に始まっていてーー。 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作、第6弾。新装版限定書き下ろし掌編付き。