著者 : 藤ちょこ
トンネル騒動が落ち着き、ヴェルと妻となったカチヤとの結婚式がオイレンベルク領で挙げられた。ところが、結婚式はマロイモや特産品を使った料理が並び、物産展の様相を呈していた。 一方、新婚旅行に至っては、魔の森で狩りをしているだけにしか映らないものの、つつながく行事として消化されていった。 だが、予期せぬ地雷が眠っていた。 不運が重なって連絡が届かず、式の存在すら知らなかったカチヤの師、リサがお冠なのだ。式がどうこうではなく、ただ先を越されたのが腹立たしいのだという。 そんなリサから近々会いに行くという手紙を受け取ったカチヤは、不安な夜を過ごすはめになるのだった……。 テレーゼに魔法の才能!? それがなぜかリサとの決闘に発展! 大幅加筆と書き下ろし短編で送るドタバタの第十三弾!
選ばれなかった男と神に見放された少女。 正邪を超えて、運命に抗う二人の旅に暗雲が立ち込める……。 「わたし、ウィズのことが好き。リーモットもきっと好きになるわ」 次なる魔人の少女リーモットを救うため、新大陸へ渡ったウィズとアローン。行く手を阻むは謎の奇病、妄執の復讐者、そして救世の英雄たちーー。 「ウィズ。あなたなら必ずやり遂げてくれるって、信じてたから……」 窮地に立たされても、孤立しても、ウィズは諦めず邁進する。少女たちを救うための困難でか細い茨の道を。 決意を新たに突き進むウィズ。暗い影を落とす英雄アルルクル。相反する両者の行き着く先は!? そして、心優しき魔人の少女リーモットが願った、たったひとつ望みとは……? 神の定めし呪いの運命を乗り越えろーー。世界の裏の英雄譚第2幕!!
神は、二人のささやか過ぎる願いすら赦さないーー これは、正邪を超えて運命に抗う、少女の物語。 これは、人であることを棄てて英雄に挑んだ、少年の物語。 「弱くてもいい。あなたがいいの」 ウィズにはわからなかった。偶然出会っただけの少女アローンがなぜ自分を慕うのか。彼は凡夫で、秀でた才能もない二流の傭兵。遠い故郷を目指すアローンの護衛役にはふさわしくない、そう思っていたが……。 「……同じだったから。あなたもわたしも同じ……選ばれなかった人間」 少女が告げる言葉の意味、そして待ち受ける残酷な運命を知ったときーーウィズは決意する。守りたい……守ってみせる。たとえかつての親 友、救世の英雄を敵に回してもーー これは『選ばれなかった少年』と『見放された少女』が紡ぐ、誰も知らない“世界の裏”の英雄譚。第9回GA文庫大賞<優秀賞>作品。
リーグ大山脈を貫く縦貫トンネルの出口は、ド田舎であった。 昔のバウマイスター騎士爵領よりも貧しく見えるオイレンベルク騎士爵領に、得も言われぬ驚きを覚えつつも、トンネルの運営への協力を求める話を進めるヴェル。 だが、領民たちと一緒に畑を耕しながらささやかに仲良く暮らす彼らには荷が重かったらしく、領主側は全力で権利の譲渡を申し出てくる。 これにより、少々面倒ではあるもののヴェルとブライヒレーダー辺境伯家、王国の三者で管理運営するという流れに話はまとまった。しかし……。 「親父! 兄貴! 正気か! オイレンベルク家大躍進のチャンスなのに……!」 突如現れた領主の娘カチヤによって、根底を覆されるはめに。 毎度のことながら、ヴェルの心労が尽きない。さらなる面倒ごとに巻き込まれる予感の第12弾!
帰るに帰れなかった内乱騒ぎが、ニュルンベルク公爵の敗北よってようやく沈静化するに至った。いまだ反抗的な一部の領民や家臣相手にペーターが奔走する反面、ヴェルは買ったウナギを焼いて食べるなどして、いつもの日常を取り戻していた。 だが、彼の人生において、平和な時期はそう長く続かない。あとは褒美を貰って帰るだけのヴェルに思わぬ「お土産」が引き渡されたのだ。 お土産は、フィリーネという銀髪の少女。なんでもブライヒレーダー辺境伯の隠し子だという。ようやく内乱が終わったのに、また面倒な話が舞い込んできなと肩を落とすヴェルなのであった……。 ところがどっこい、そんなフィリーネと妻たちにメイド服を着させて悦に浸ったり、生かしておいた魔族アーネストとの遺跡探索など、相変わらずの八男節! 心機一転の第十一幕!
「重力子」を操る特殊なオルゴールと、その粋である人型機械「歌唱人形(オルドール)」が一般化し、ついに「電気離れ」を果たした世界。 “機械しか愛せない”壊れた少年技師・タスクがある日、出会ったのはーー。 「わたしは、ガラテア・シスターズNo.VII/リフレイン。今このときより、貴方の『花嫁』です」 歌唱人形技術、その始まりとなったオーパーツそのものだと主張する、美しき歌唱人形リフレイン。それを巡って事態は動き出す。追う者、追われる者、そして、恋をする者ーー。 “人間に近づきすぎた歌唱人形”と“機械しか愛せない少年”。ヒトでなしの人間と、モノでなしの人形の織りなす恋が、やがて世界を変えてゆくーー!?
師であるアルフレッドとの戦いで、引き分けに持ち込むことが精一杯だったヴェルは、その脅威を実感し対策を急ぐ。一方、テレーゼとニュルンベルク公爵による最初の決戦の行方は、双方共に決定打を与えることができず、痛み分けとなった。 来る帝都での戦に向け、両陣営仕切りなおしの合間、ヴェルたちはかつての重要拠点サーカットの町を落とし、そこを拠点とする。しかし、なぜか人様の国で開発三昧の日々を過ごすはめになるのだった。 そして迎えるアルフレッドとの再戦。ヴェルはアルフレッドの身体がターラントであることを利用した戦略で有利に進めるが、当然一筋縄ではいかず……。
イサラにかけられた呪いを解くため「塔」を攻略するフーズたちは、ランダムに発生する特殊フロアの一つ、強制参加型のバトルフロアに迷い込んでしまう。パーティは規格外の魔物に苦戦を強いられる。窮地を脱するため、イサラはある『切り札』の使用を決意する。だがその『切り札』は呪いに蝕まれたイサラの身体にさらに負担をかけるものでー。そんな中、封印されていた最上級魔壊族が復活。再封印に必要な存在であるイサラは、魔壊族から狙われることになる。フーズはイサラを守り切ることができるのか?そして彼女を呪いから解放することができるのか…!?
アーカート神聖帝国で起こったクーデターに巻き込まれたヴェルは、首都バルデッシュを脱し、フィリップ公爵領を目指して馬車を走らせる。 そんな中、途中立ち寄ったミズホ伯国で「和」の文化がヴェルを待ち受けていた。 「き、来たぁー! 日本的文化来たぁー!」 西洋風ファンタジーな世界に、日本風の文化を持つ国家があったことに感激し、ヴェル一行はこれを満喫する。 大満足なまま帰りたい、戦いに協力するなど真っ平御免なヴェルは、フィリップ公爵領到着後、なんとかしてヘルムート王国へ帰る手立てを探すのだが……。 『可能な限り、ヘルムート王国の利となるように動くべし』 という王国からのお達しがあり、計画は見事に瓦解。意気消沈のまま戦場へと赴くヴェル一行を、まさかの脅威が待ち受けているのだったーー。
ブロワ辺境伯家との和解金を巡る攻防を、ヘルタニア渓谷の譲渡というかたちで脱したヴェンデリン。 無事にヘルタニア渓谷を攻略するまではよかったが、そのあとのカルラの「婚約者紹介」が、カルラに恋する「騎士」エルの精神に致命的・壊滅的・圧倒的なダメージを与えた。 満身創痍のエルの精神を癒すために、効果があるとされる魔法を試みる心優しきヴェルたち。だが、エリーゼの秘魔法をもってしても、エルを癒すことは叶わなかった。 そして「カルラとの蜜月の日々」という哀しい妄想に逃走したエルが、いまだ現実世界に帰還せぬまま、「大お見合い会」が開催されることとなるのだった。 一方、ようやく婚約者五人との結婚に漕ぎ着けたヴェンデリンは、連日に渡る式の大変さに閉口。その上、隣国アーカート神聖帝国でクーデターの気配が……!? エルの心の回復から始まる、逃走と闘争の新章開幕!
『暴風』カタリーナ、『謀臣』クラウスの件が片付いた矢先、ブライヒレーダー辺境伯家とブロワ辺境伯家との間で紛争が勃発した。 それは南部と東部の百を超える貴族家を巻き込む大変な事態となるが、ヴェンデリンは領地の開発を優先するためにこれを静観。 そんな中、病床のブロワ辺境伯が、娘カルラを非公式にバウマイスター伯爵領に送り込んできた。怪しみながらもカルラとの交流が始まるが……なんと、エルがカルラにどんどん惹かれていってしまう! そして紛争は予想以上に長引き、バウマイスター伯爵領への人と物の交通網に多大なダメージを与える。領地開発に遅れが生じ、やがてヴェルも激怒に至るのだが……。 いや、そんなことよりもエルだ! エルの恋路に目が当て……目が離せない、第七幕の登場!
突如ヴェンデリンたちの前に現れた、『暴風』と称される縦ロールが特徴の色々と残念な娘カタリーナ。 ヴェンデリンは、獲物の価値の総額が大きい方の勝ち、という勝負を彼女から持ちかけられ、折れるかたちでそれをのんだ。 無論結果は明白だったが、売り言葉に買い言葉、ルイーゼやイーナたちとも競うことになるのだった。その最中に、ヴェンデリンは、過去の自分と似たような境遇にある彼女に、シンパシーを感じてしまい……。没落貴族にしてエリート冒険者、ツンデレ令嬢カタリーナが嵐を巻き起こす! はたして、カタリーナのお家復興なるか!?
魔王を打倒して平和になった世界では、詐欺師がはびこっていた。悪辣な詐欺師を騙し返し、金を取り戻してやる冒険者ヨルは、なんと実は元勇者で……そして、ヨルは元仲間であるシャノワールと再び対峙することに!?
クルト最後の悪あがきが襲いかかる。それは、辺境と王都、それぞれにおける兄弟喧嘩の終焉を告げる引き金となった。 蜂の巣をつついたような騒ぎとなった王都を横目に、ヴェンデリンたちによる未来の伯爵領開拓はスムーズに進む。しかも、ローデリヒの手腕によって、ヴェンデリンの開発無双は真価を発揮。恐ろしいスピードで未開の地が開けていくのだった。 順調すぎる開発と、さらに高まる地位と名声が、民と人材、そして、新たな火種を呼び寄せる!? 泥沼を脱し、開拓で脳汁弾けるヴェンデリン! 柵の中なりのフリーダム、第五幕の登場!
魔王を倒したら、『金が全て』の時代が訪れた。地方都市ファルトラで、放浪の勇者は商人のユニスと女騎士のレイチェルと出会った。金を騙し取られた少女を助けるため、彼は詐欺師たちを罠にかける!
ヴェンデリンのパーティ『ドラゴンバスター』の初めての冒険は、あわや全滅の危機に瀕しながらもメンバー各員の活躍でどうにか終了。その結果、パーティの全員が国家予算並みの莫大な報酬を得ることとなった。--そして、その莫大な報酬が物語の新しい局面を開く。 多額すぎる報酬金の使い途に困り果てたエル、イーナ、ルイーゼの3人は、ブライヒレーダー辺境伯に相談を持ちかける。ブランタークの助言もあり、余分なお金はすべてヴェンデリンに押し付けようという結論となった。 その使い途のない資金を何かに役立てようと考えたブライヒレーダー辺境伯は、大陸南端の広大な大地の開拓に目を付ける。その意図が思いっきり込められた『魔の森への慰霊討伐』という依頼が舞い込み、ヴェンデリンは難色を示すものの、断りづらい背景もあってこれを承諾。 こうして、物語は古巣のバウマイスター騎士爵領に舞台を移し、実家の御家騒動に巻き込まれていくヴェンデリンなのであった。
身分に相応しい家を買わされ、武芸大会への強制参加、そして筋肉導師との二年半におよぶ修行……。 元少年ヴェンデリンは十五歳となり、成人した。仲間も一律成人し、本格的な冒険の日々がいよいよ幕を開ける! だが、そんな新米冒険者パーティに与えられた初仕事は、一流冒険者パーティですら未だ帰還できていない遺跡への、強制依頼というとんでもないものであった。 規格外の敵に、洒落にならないトラップ、魔力が枯渇しそうなほどの窮地。はたして無事に攻略できるのか!? 名声と大金と美人の婚約者、そして新たに男爵となった人生の勝ち組ヴェンデリンだが、彼の物語と受難はなおも続く!
〈右の剣〉クリザリッドに完膚なき敗北を喫した秋津慧太郎。友人だったはずの少女が敵となった、蟲愛づる魔女アンリ。一族が秘めた真実を知った女騎士クロエ。そして姿を消した詠い手マルティナ。 それぞれに訪れた決定的な挫折の向こうに、少年たちは花の都の崩壊を見る。 パリの空に鎌首をもたげた〈冥王蟲〉を前に慧太郎たちは再び立ち上がり、そして──欧州の大地で二つの“ジゲン”の剣が撃ち合わされるとき、〈蟲〉を宿す少年と〈蟲〉愛づる少女は、遠き楽園(アルマス)への小さく、けれど確かな一歩を刻む。
結婚式に参加がてら、王都観光だったはずが…。無事王都へと到着し、さっそく兄の家へ向かおうとしたヴェンデリンだったが、急遽城に招かれ王と謁見することに。そして一挙に富と地位と名声を手にした彼は、なかば強制的に竜退治へ駆り出されるのだった…。