著者 : 藤城陽
高校生・御槌錬は、何度も夢に現れる朱い眼の少女が数人の男に襲われている場面に出会い、関わる事で暴行されてしまう。ゲーム開発者の幸司郎と、彼の協力者の現役の傭兵美女・エイプリルは、偶然その現場を目撃して事件に巻き込まれる。そして、エイプリルは錬の異常な戦闘能力を目撃する。それは錬をめぐる巨大なミステリーの始まりだった。事件の翌日に転校してきた超絶イケメンの藍堂宗司と、あの朱い眼の少女・加具羅依乃里、二人は異様な親しさで錬と妹の楓に接近する。彼等の思惑は?その背後に見え隠れする宗教組織“四賢会”の目的は?錬と楓は、否応なく陰謀に巻き込まれ、次々と大事なものを失っていき、同時に、錬の戦闘能力はますます強力になっていく!
千年にわたり永遠の雪原をただ歩き続ける異形の巨人ミール。人間の世界のすべては、巨人の背の上に作り上げられた都市だった。ミールとはなんなのか、どこへ向かうのか、知る者はいない。ミールの研究を続ける“変人教授”ディエーニンの助手オーリャは、ミールの外ーすなわち人の住めぬ雪原でひとりの少女を拾う。「外」からやってきた彼女との出会いは、終末へと向かう世界に何をもたらすのか。そして巨人の歩みの果てに待つ光景とは…。ファンタジー史に残る傑作、著者全面加筆のうえ復刊!
卯王朝、第十八皇女の月華。どぶ川の畔で、虐げられる民“言遇”である涼孤の剣舞を目撃し自らも剣をとる。はじめは金持ちの道楽でしかなかったその剣術だが、まさかの開眼をはたしー!?一方、元都には武人が生死をも賭して真剣試合を行う大比武が近づいていた。涼孤の働く講武所の師範代である蓮空や、一番手講武所の一番弟子・阿鈴など、それぞれの志を抱き出場を決める。涼孤と月華は武の頂を目指す者たちを巻きこみながら、その運命を交差させていく。鬼才が贈る剣をめぐる物語、第2弾。
「一体誰があんなものを…」若き機械工ジャック・ローランドは呆然として呟く。それは突如としてトリスタン市に屹立する巨大な『柱』だった。それに近づくと殺されてしまう。混乱する市民。やがて複数の柱から発生する光の筋は、ドーム状の結界となって市を閉鎖する。恐慌状態に陥った封鎖都市で、レイオットの還りを待つカペルテータはある決意を固めていたー。時を同じくしてレイオットとフィリシスは、廃墟の街イゾルデで“結社”の盟主オッフェルトリウムと死闘を繰り広げていた。だが、圧倒的な力を前にして、レイオットの拘束度数は残りー二。レイ、カペル、そして人々の運命は?-大人気シリーズ堂々の完結編。
崩れた建物。折れた標識。割れた路面。壊れた車両…。久々に姉ネリンのもとを訪れたナレアは、街の変貌ぶりにただ驚くしかなかった。トリスタン市内で発生した、巨大人型兵器による無差別破壊事件ー。ネリンの身を案じるナレアだが、姉がレイオットの担当監督官である限り、平穏から遠い日常を送ることも理解していたはずだった。そのころフィリシス、レイオットら少数の優れた戦術魔法士に、国から極秘の仕事依頼がくる。世界の命運が掛かった『戦争』だという。助手として常に同行してきたカペルテータに、レイオットは「お前は残れ」と決断を下すがー。シリーズ最高潮のラストエピソード前編。
モールド。それは魔法士たちの鎧であり、生命線である。レイオットにとっても養父から受け継いだ深い意味のあるものだがーある時、レイオットに自作のモールドを勧める人物が現れる。エヴァ・イーミュン。国内でも有名なローランド工房の後継者、かつレイオットの専属機械工ジャックの姉弟子だ。量産を目指す彼女は、試作運用を依頼するが、レイオットは踏み切れない。業を煮やしたエヴァは、天才肌のジャックが調整した“スフォルテンド”対、自ら努力の末開発した“アセンブラ”の戦闘を提案する。「思い知らせてあげる。努力を怠らぬ秀才が、天才を追い抜く事も在るのだと」レイとジャックの出会い、フィリシスを巡る物語を含む待望の短編集。
ネリンは気づいていた。「黒騎士」事件以降、トリスタン市の魔族災害は確実に減っている。それは即ち、無資格の戦術魔法士レイオット・スタインバーグの出番が減ることを意味していた。それは良い事なのだ。しかしー何かを見落としている様な、不安が脳裏を過ぎる。その頃街にいたレイオット達は、美術学校で彫刻を専攻する少女ノーラに出会う。彼女は、胡散臭い風体のレイオットと半魔族のカペルテータに臆する様子もなく「博物館まで連れて行って欲しい」と言うのだった。レイオットは呆れながらも送っていくのだが…!?一方、隻眼の戦術魔法士アルフレッドは「世界はもうすぐ終わる」と言い残し、ロミリオ達の元を去っていた。激動の新章スタート。
虐げられる民“言愚”の青い目を持つ涼孤は似顔絵描きと講武所の下働きで糊口をしのぐ。かつて胡同の闇の中で、素性の知れぬ老婆より剣を習い、双剣を授かる。卯王朝、第十八皇女の月華は屋敷を抜け出しては市井を探検する。感情が高ぶると地団駄を踏みながらぐるぐる回る癖がある。涼孤はどぶ川の畔で双剣を持ち“龍を呑む”。月華はそれを目撃しー「妾も剣をやるっ!」鬼才・秋山瑞人が贈る、剣をめぐる物語。古橋秀之とのコンビによるシェアワールド企画“龍盤七朝”第一弾登場。
火災現場で出会った救命魔法士ギルバート・ギブスン。通称GG。無資格の戦術魔法士であるレイオットとは対照的な、いかにも善人そうな微笑みを湛えた好青年だ。「やあー、また会いましたね」笑顔で握手を求めてくるGGに、何故か違和感が拭えないレイオット。共に救助活動を進めるうち、レイオットはその「意味」に気付く。人の命を救いたいというGGは、実は生にも死にも執着しない男だった。魔族に対して自殺に等しい戦い方をするGG。レイオットは、彼の中に底知れぬ絶望の虚無を見る。現実に絶望したい男、レイオット。本当は絶望したくなかった男、GG。二人の行く手に待つものはー。
トリスタンの町は“生け贄”を求めていた。“黒騎士”の噂と連続魔族化事件は町をパニックに陥らせ、正義の味方を名乗る暴徒たちで溢れていた。「彼らのどちらかが“黒騎士”である可能性が高いと思われます」-何気ない口調で淡々と告げるカペルテータ。正義の味方なんてのは柄じゃない。連中が犯人だと決まったわけでもない。“黒騎士”を捕まえる義理もない。「だけど、“生け贄”を当然だと思うその価値観はー気持ち悪いんだよ」生け贄を喰らってまで生きていたくないと思ったレイオット。その魂に青白い怒りの火がともる!榊一郎のハードボイルド・アクションファンタジー第八弾。
トリスタン市では、魔法と関係のない人たちが、ある日突然魔族化するという謎の事件が頻発していた。「“黒騎士”に呪われると魔族になる」隣の人間がいつ魔族になるか解らないという緊張感から生まれた街の噂で、人々は静かに恐慌状態に陥っていた。そんな中、深夜の街角でレイオットは異形のものに遭遇する。半人半馬。神話に出てくるケンタウロスのように、高貴さを持ちながらも魔族のような禍々しさを併せ持つ異形。まさかこれが“黒騎士”!?レイオットの前から一瞬にして姿を消した異形のもの。この時のレイオットはまだ知らなかった、この出会いが、彼を最悪の事件へ導くことになるのをー。榊一郎のハードボイルドファンタジー。
「別れてちょうだい!」突如レイオット邸に響き渡る女の罵声!!生きることに絶望している男にも、ついに生臭い修羅場がやってきたか!?声の主は、ナレア・シモンズ。無資格魔法士レイオットの監督官であるネリンの妹だ。ナレアは、エリートである姉の側にレイオットのようなだらしない男がまとわりついていることが我慢ならないらしい。様々な手を使ってレイオットの正体を探ろうとするナレア。そして浮かび上がるレイオットの真の姿ー。本当のことは、いつだって目に見えないもの。レイオットの日常と非日常を描く、初めての短編集、登場です。
レオファント部隊の襲撃によりバラバラになってしまった一行。瀕死の重傷のティト、宿敵クリューソスと手を組んだマシウス、サワディール王女の下へと向かうガイウス。次第に明らかになる様々な真実ー。地球が惑星マグレヴに下した非情なる決断。そして、己の出生の秘密を知る女性と出会い、この星の先を託されたガイウス。皆を救いたいと願うティト。それぞれの想いを抱え、迫りくる敵・ラアルゴンと戦う彼らの運命は!?ドラマチックファンタジー完結編。
あなたには“楽園”がありますか?好きな人や好きなモノに囲まれていればそれで幸福ですか?誰も死なない。誰も苦しまない。誰もが穏やかな生を約束された地。そんな場所があったなら、あなたは行ってみたいですか。-そこが、ヒトでなくなる場所だとしても。「楽園なんか無い」悪意ばかりが溢れかえる世界で、人間のなれの果てを狩るレイオットは言う。世界はくだらない。不公平で不条理で無意味だ。だけど、それでも絶望しきれないから人間は足掻くんじゃないのかー。榊一郎が贈る好調のハードボイルド・アクションファンタジー第6弾。
独裁者マクシミリアヌスの元から再び逃げ出した、ガイウス、マシウス、そしてアグリッピナら一行。彼らが船で不時着したのは、無人の浮遊島だった。なんと、その島が向かう先はー都市と別の文明退化を遂げたシクワット人の大地だという。さらに、生死を問わぬ追撃の命を受けた金銀兄弟、別命を帯びたトラヤヌスまでもが、当地に結集する。そして、ついに記憶を取り戻すティトー。複雑な運命がひとつの真実に向かい動き始める!好評第2弾。
銀河の中央から遙か遠く、見捨てられた惑星マグレヴでは、『統制派』と『回帰派』に分かれ人々が闘っていた。生き残りをかけた動乱の中、闘技場で三人の若者と一人の少女が出会うー。元貴族で闘奴のマシウス、捨て子で回帰派の若きリーダー・ガイウス、記憶喪失の少年・ティト、聖母候補のアグリッピナ。数奇な運命の星の元に集いし彼らは、果たしてこの惑星の衰勢を止める救世主となるのか?息をもつかせぬドラマチックストーリーが今、幕を明ける。
ー俺を憎め。黒い鎧を纏ったレイオットは、少年に向かってそう言った。自分を憎むことで、哀しみを乗り越え強く生きられるなら、それで良いのだと。エリック少年はその言葉を拒んだ。-全てを他人のせいにして弱い心から逃れても、それじゃ駄目なんだ。そして、魔法の力に魅せられた虐められっ子・ファネット。大きな力を持てば全てが変わると信じた愚かな少女。そんな彼女が魔法に憧れるのをいったい誰が責められるというのか。弱虫と呼ばれたまま生きていてはいけないのか?本当の強さとは何なのか?レイオットは今日も黙々と魔族を狩る。好調のハードボイルドアクションファンタジー第5弾。
時は北歴1951年。今を遡ること3年前。所は郊外の寒村ケルビーニ。事件の発端は謎の魔族の出現だった。生きることに倦んでいるレイオットは、いつものように、さしたる思いも無く仕事を受けた。魔族を退治すれば、それで終わるだけの取るに足りない仕事。しかし。彼はそこで出会ってしまった。深い絶望を湛えた瞳の少女・カペルテータに。そして始まる惨劇ー。生きる意味が分からない少女と生きる価値すら見いだせない男。どこか似ている二人の出会いは、殺戮を招くことしか出来なかったのか!?榊一郎のハードボイルド・アクションファンタジー第四弾。人はどうすれば救われるのだろうー。
それは男にとってちょうど十番目の仕事だった。郊外にあるとても小さな村からの仕事依頼。「いつ私を殺すのですか」血の色の髪と瞳を持つ少女は、村に現れた男にそう言った。少女の紅い瞳と髪は、彼女がヒトで無いことの証。そして、彼女の前に現れた男はヒトでないものー魔族ーを狩る戦術魔法士。生きる意味が分からない少女と生きる価値すら見い出せない男。どこか似ているレイオットとカペルテータの出会いはあまりにも残酷すぎた。そんな二人の出会いもさらなる悲劇の幕開けに過ぎなかったとは、その時の二人には知る由もなかった。その時、二人に何が起きたのか。謎に包まれた過去が今、明かされる。
「これは何だ?」“人間のなれの果て”を狩る戦術魔法士レイオット・スタインバーグ。彼が偶然見つけた死体のようなもの。それは明らかに“魔法”で殺されたヒトだった。魔法を使い過ぎた人間が魔族と化す世界で、無闇に魔法を使うことはそれ自体が自殺行為だというのに…。何らかの魔族犯罪組織の動きを感じ取るレイオット。だかしかし、その裏には警察の対魔族戦闘部隊の影が!?真に狩るべき相手は警察なのか?そして彼を追ってくる過去の因縁。魂の拠り所を求めて、レイオットの孤独な闘いは今日も続く。榊一郎のハードボイルド・アクション・ファンタジー第二弾!「俺はまだ絶望すら満足に出来てはいなかった」。