著者 : 近衛乙嗣
伝説の大魔術師ヒース=ストーリングが目覚め、倉野英里香を殺しにやって来る…。ついに明かされた“おしまい”の正体。世界の終焉を回避するには“おしまい”をもたらす鍵・英里香をこの世から抹殺するしかない。父・倉野正行と共に、英里香を守るという啓介の選択は、すなわち、世界を滅ぼすことと同じ。アリッサ、未由たちもまたそれぞれの意志で、ヒースの側につく者、啓介の側につく者、中立の立場を守る者とに分かれてゆく。-そして、世界の命運を分けるその日が訪れる。「R×L」「R∞L」と続いた長きにわたるシリーズここに堂々完結。
「英里香が世界を“おしまい”にしてしまう」その不穏な言葉に彼女との接触を試みる啓介。心当たりを回って英里香との合流に成功するが、そこで啓介はかつての宿敵エノク=ケテルとも再会を果たす。彼の口から語られる一千年前に世界を終わらせようとした魔術師の逸話。エノクの到来は美傘市に争いの嵐を呼び込み、啓介たちも否応なく巻き込まれることになっていく。だが、その一方で嵐は、天涯孤独だったツグミの境遇に大きな変化をもたらす…。因縁の再会と運命の邂逅。これらが紡ぎ上げる未来とは?動き出した歯車は止まらないー。
「わたくしが望んでいるのは、啓介さんとの本当の恋人関係です」陽名から真摯な愛の告白を受けた啓介は、“方舟”から帰ってきたら必ず返事をすると彼女に約束する。今回の“方舟”行きの目的は、アリッサの弟子となった英里香を“箱庭”のヴェラに引き合わせること。母・ヴェラとの10年ぶりの再会に胸を躍らせながらも、緊張の色を隠せないアリッサ。そんな彼女の背中を押してやるようにして“箱庭”へと入った啓介だったが…。交差する“日常”と“非日常”。そして、定められた運命の歯車がゆっくりと動き始めるー。
「もし…お姉さんが本当に魔法使いならお願いがあります」まだ十歳にも満たないランドセルを背負った少女が、アリッサの目の前に立ち、瞳に真剣な光を灯して言った。「私のお師匠様になってください!」「-お師匠、様…」呆然と現実味のないその単語をアリッサも繰り返す。心を揺らされたのか、頬が微妙に緩んでいるー。新しい日常の始まりにあった会話。あるいは非日常の終わりに交わした言葉。例えるなら無限の交点。捻れた線が重なる場所で…。大人気「RIGHT×LIGHT」新シリーズ、堂々開幕。
行こう、由衣ー。もう姿の見えない妹に呼びかける。けれど返事はしっかり聞こえた。『うん。戦おう、お兄ちゃん』二人、心を重ねて束ねる。地球を遍く包んでいる壁ー“天牢”を戦うための姿へと転化させる。その姿は狼。白い毛で覆われた大神。狼頭は夢幻の光を放つ。その光は、生きている人たちのさまざまな想い、皆の輝きー。「ケースケ!」あの光はアリッサ。未由、陽名ちゃん、ツグミ、冬上の光も感じる。流れ込んでくる。出逢い。別れ。そしてー。古の神話が、連なる絆の物語として終結する。感動のフィナーレ。
眼を開くと視界は少女の顔に占領されていた。「未由?」名前を呼ぼうとして声が出せないことに気づく。僕の口は彼女の唇に塞がれていた。「よかった。起きてくれた」未由のその瞳から涙がこぼれた。その背後に見えた景色は、動かない雲、白い砂浜。「啓介くんがすごく苦しそうで…腕もそんな状態で、見てられなくて…」震える声で未由が言う。そして僕は“現実”を把握する。そうかーもう、無いんだ。僕の“魔狼”は…。途方にくれながら未由とふたりきり、その奇妙な世界ーアリッサの故郷である“方舟”の内部をさまよい歩く。
獣耳の妹、由衣に叩き起こされて始まる朝。出発の時は尻尾を振られ「いってらっしゃい!」のあどけない声で見送られる、それが僕の最近の学園生活の日常。もはや冬上雪絵にシスコンと言われても言いワケの仕様もない秋。学校では期末テストが終わり、毎年恒例の学園祭開催をいよいよ目前に控えていた。学園祭という行事を初めて体験するアリッサは目をキラキラと輝かせている。そんな頃、僕は、クラスで不思議な噂を耳にした。それは拾うと願いが叶うという「光る緑の葉」の噂だった。壮大な神話の歯車が回り始める第9巻。
長い夏休みが終わりに近づき、アリッサと由衣をつれて美傘市に帰ってきた。しかし訪れた友月家に未由の姿はない。留守を守る九棚香織さんは「九月になれば未由様は帰ってきます」と言うが、僕は胸騒ぎを感じる。ただ一つを選べない僕は、何一つ守れないのではないかーと。登校初日、やはり未由は帰ってこなかった。夕暮れ時、やっと出会えた未由は「私はもう未由じゃない」と宣言する。もうすぐ友月家当主、友月未永になるのだと。つい先月まで一緒に笑っていたのに、果たして未由に何が起こったのか!?緊迫の新展開。
「-お兄ちゃん、ここにお父さんとお母さんのお墓があるの?」麦藁帽子で獣耳を隠しながら由衣が言った。「ああ、皆のお墓がある」僕はあえてそういう言い方をした。真新しい墓石に、三つの名前が刻まれている…父、母、そして、妹の由衣の名前。「あたし、やっぱりほんとは、こっちにいる人じゃないんだね」墓石の前で、呟く由衣。僕は何と答えていいのか分からず、彼女の頭に手をのせる。ひさしぶりに踏んだ故郷の地で、僕はいま、あの悲劇と、ようやく向き合おうとしている。大切な仲間たちに支えられながら…。
夏休み直前に届いた手紙。一通は、かつてアリッサと共に、自らの悲運に立ち向かった少女・美澄透子からの私信。もう一通は、「久しぶりに実家へ帰って来い」という叔父からの手紙だった。魔術の力で顕現した獣耳の妹・由衣だが、故郷に由衣の居場所はもうないのだという「現実」をどう説明すれば良いのか、僕は悩んでいた。その翌日、透子の養父オウルが突如帰国した。僕たちは、透子の身に降りかかっている「手紙には書かれていない」衝撃の事実を聞かされる。「透子を救ってくれ」と懇願するオウル。それを聞いたアリッサは…。兄と妹、忘れがたい友達、絆の深さとは何だろう。新章始動。
全身を輝かせながら大地に出現した、金色の翼を持つ巨人ー“天使王”。それは一瞬の出来事で、巨人はまるで幻のようにその姿を消した。再び訪れる日常…しかし、焼け野原と化したその丘を踏みしめるたび、それが紛れもない事実であったことを思い出す。“天使王”が顕現したとき、封印されていた魔術が世界に溢れ出す。“群れ”たちのたくらみは、ついに成就されてしまうのか?絶望的な状況のなか、突然起こった奇跡…ぼくは亡くしたはずの妹との再会を果たす。「お兄ちゃん。もう大丈夫だよ」運命の歯車が廻りだす。宿命の対決へのカウントダウンが始まる。第1部「天使王」編、決着。
最近、友月の様子がどこかおかしい。「ちょっと、ね。でも“家”のことだから、啓介くんは気にしなくていいよ」-大財閥・友月家では次期当主後継者をめぐって親戚同士の醜い争いが過熱化していた。なんと、直系にあたる友月未由は、その命までも狙われていた!?「ねえケースケ、一つだけ聞いていい?あたしと未由、どっちが特別?」…なにやら必死に恋愛勉強中のアリッサを連れ、友月の屋敷に探索へと向かう。そこでぼくたちは、友月家の因習、“群れ”との不可解な繋がりを知ることになる。闇のなかで謎の魔術師が嗤う…「間もなく、我が千年の悲願が成就するー!」。
最近の日課はアリッサを師範に迎えての魔術訓練。「こらっ!ケースケ、寝てるとはたくわよ!」ぐげっ!そんな放課後を過ごしつつ、ある夕暮れの下校時、僕は、“群れ”のオウルと再会した。宣戦布告かと思いきや、対話による「和解」をしたいのだという。「そもそもきみは“方舟”の行いが、本当に正しいと思っているのかね?」突然、彼の口から出た意表をつく質問に、僕はふと立ち止まる。アリッサを信じて彼女と戦ってきたけれど、本当のことなど、何も知らない。すれ違い始めた僕たちの前に、アリッサを「天使」と呼ぶ、謎の少女が現れるー。なぜだろう、僕は彼女を、知っているような気がする…。
突如、空から舞い降り、街中で魔法を派手に行使したあげく、性懲りもなく僕のカラダに居候し始めた金髪碧眼の半透明少女。「右手の呪い」が巡り合わせたわがままアリッサとの奇妙な共同生活にもなんとか慣れてきた今日この頃。昼は学校、放課後は奪われたアリッサの肉体探し…多忙な日々に追われ、僕はすっかり「彼女」のことを忘れかけていた。なぞの転校生、朝ノ宮陽名の占いに導かれ、僕は友月未由と一緒に、久々に「彼女」との再会を果たす。「彼女」は白い部屋のベッドで、見るも無残にやつれ果て、昏々と眠り続けていたー。人気のゴシック・コメディー、待望の続刊。
右手でモノを握ると跡形もなく消えるーだから、空っぽの手品師。そんなふうにクラスでは三文手品師のフリをする、それが僕の平凡な日常。の、はずだった…アリッサと出会うまでは。「あんたに選択の余地はないのよ。あたしに従いなさい!」屋上から降ってきた半透明の彼女にいきなり命令され、強引に肉体を依代にされてしまった僕…足元がふらふらする。全身がだるくて重い…待て。なぜ僕がこんな目に?彼女は自分の肉体を奪った犯人を追って「方舟」からこの地上へ辿り着いたというのだが…。秘密の右手を持つ少年と世間知らずな魔法少女が繰り広げる異色マジカルコメディ。