著者 : 鏡貴也
ライナ・リュートはシオンたちの前から姿を消した。魔眼保持者とともに。一つ。ライナ・リュートが見落とした勇者の遺物の、探索、収集。二つ。ライナ・リュートの監視。三つ。ライナ・リュートが、国外において暴走、もしくはローランドを裏切るような素振りがあった場合、その抹殺。これは、ローランド国王シオンが、『忌破り』追撃隊ミルク部隊所属のルーク・スタッカート軍曹に与えた極秘任務。だから、ルークはローランドを発つ。三つ目の命令を実行するために。-一方、フェリスも相棒を連れ戻すために旅立つ。七つのリュックにだんごを詰め込んで!ライナは何処に向かっているのか?アンチ・ヒロイック・サーガ、第八弾。
フェリスは怒っていた。なぜなら…。あいつは約束の場所に来なかった。リュック七個分のだんごを持ってくれるはずだったのに。ふたりでカッスラーまで逃げるはずだったのに。遅刻したら首を飛ばすと約束していたのに。ライナ・リュートは失踪した。その報せと同時に、ローランド王シオンのもとに、エスタブールに派遣されているクラウからの書簡が届いた。それは『複写眼』保持者が出現し、暴れているというものだった。これはライナの失踪と何か関係があるのか?早速、ライナ捜索隊が出されるが、彼の足取りはつかめなかった…。主人公不在でも物語は進む。アンチ・ヒロイック・サーガ、第七弾。
「あ〜…空が赤くなってくると、もう、夜って感じで、眼たくなってこねぇ?」「では、いつだったら眼くないのだ?」「う〜ん。どっか眼くないときって、あるかなぁ」などと、くだらないことを真剣に考え始めるのは万年寝不足男のライナ・リュート。その隣を歩く彼の相棒は、絶世の美女剣士でありながら、理不尽だんご大王のフェリス・エリス。二人は「勇者の遺物」を求めてルーナ帝国へとやってきていた。だが、彼らのやる気のなさは相変わらずだったのは言うまでもない。一方、ライナたちにこの任務を押し付けた張本人ーローランド帝国の新国王シオンは、いまだ勢力を誇る反国王派の貴族たちを一掃する必要に迫られていた。そこで、シオンが打った手とは…。眼気もふっとぶアンチ・ヒロイック・サーガ、なにはともあれ第四弾。
「…あんなぁ…おまえ、無理って言葉の意味、知ってるか?」「ん。それは無理矢理女を襲うライナ・リュートとかの無理か?」などと、いつもの不毛な会話をしているのは万年無気力男のライナと絶世の美女にしてだんご至上主義の女剣士フェリス。「勇者の遺物」探索の任務を負った彼らは、ネルファ皇国の兵士によって厳重に警備された砦に突入しようとしていた。そこには伝説の勇者が残した剣があるという情報だったのだが…。しかし、ライナたちはまだ知らなかった。彼らを「忌破り」-魔法を無断で国外に持ち出した者ーとして追う者たちの存在を。倦怠感あふれるアンチ・ヒロイック・サーガ、それなりに第三弾。
「あ〜、なんで俺がこんな凶暴女と一緒に旅しなきゃなんないんだよ?」「まったくだ。どうして私のような可憐でかよわい少女が、この変態色情狂の面倒をみなければならんのだ?」いつのまにやら、国王にまで成り上がってしまった元学友ーシオンの陰謀で「勇者の遺物」探索を命じられた超無気力男ライヤと女剣士フェリス。いやいやながらも、ネルファ皇国へと旅立った。いたってヤル気ない二人をよそに、新王シオンの周辺では、彼の失脚を目論む者たちが暗躍していた。そんな中、シオンはネルファへの表敬訪問を決意する。暗雲渦巻くネルファで何かが起きる!緊張と脱力のアンチ・ヒロイック・サーガ、とりあえず第二弾。