著者 : 長谷敏司
「コストを払い合う。それがチームだ」 「新しい時代が来た。今シーズンは、激動をもって歴史に残るだろう」 慣性制御、そして散兵戦術が公になった結果、宇宙戦闘ドクトリンは根底から覆された。 第24シーズン、火星ラウンド。 “誇りある白”シルバーハンズは、ガーディアンズと激突する。 最高のフィジカルを持つ女性選手、カレン・フェニックスを擁する軍チームだ。 滾る雄星だが、自身がリンカーとして機能しきれないなか、チームの成績は下降線を辿っていた。 そんなとき、人工的にチル・ウエポン耐性を増強された選手・シルヴィアが送り込まれてきてーー? チームと雄星、ともに正念場を迎える一戦が、幕を開ける。
「強いってのはこういうことだ」 シーズンオフを迎え、鷹森雄星は一軍強化キャンプへの参加を許される。 しかし一軍は、雄星の想像を超えた厳しい世界だった。 「二軍じゃどうだったか知らんが、ここじゃ、おまえは特別じゃない。“その他大勢(ワン・オブ・ゼム)”だーー」 既に慣性制御は普及し、“生みの親”である雄星以上の使い手がチーム内にもごろごろと現れる。 憧れの存在たちに厳しい言葉で叱咤される日々。 だが、決して隔意だけではない“一軍の矜恃”に触れ、雄星はプロとしての生き様をその身で学んでいく。 そんななか、紅白戦でリーダー機を務めたアデーレが、一軍リーダー機のケイトリンを撃破してしまい……? 波乱の新シーズンが、幕を開けようとしていた。 “王の御手"を持つ黒騎士もついに復活!? SF界の俊英が放つ疾走スペースグラフィティ、騒然の第3弾!!
競うことは、争うことなのか。 史上、類を見ない“ルール違反”。 雄星は処分決定を待つ間、二軍練習場へと送られる。 前代未聞のスキャンダルを起こした異邦人に、選手たちはただただ冷たかった。無数の敵意にさらされる雄星に、二軍監督、ユウキ・プラバッキーは告げる。 「ここの連中がお前に冷たいのは、弟のことだけでも、ペナルティのことだけでもねえよ。みんな、パワーの時代が怖いのさ。おまえはストライクフォールの次の時代そのものだからな」 あの日、雄星のもたらした慣性制御技術は、ストライクフォールをまったく別の競技に変えてしまったのだ。 「おまえに残された道は、二つだ。時代を殺した男として恨まれながら勝者になるか、それとも、誰かがそうした勝者として栄光を掴むのを、指をくわえて見ているかだ」 同じく懲罰で試合機会を奪われたアデーレ。 ストライクシェルの整備を学びはじめた環。 みな、大切なものを失った傷を抱えながら、新たな戦いを始めている。 ならーー俺は。 めまぐるしく変化する世界、「戦争」と「競技」の狭間で。 雄星は、ストライクフォールともう一度向き合う。 兄弟の憧れを、答えをこの手に“掴む”ために。 SF界の俊英が放つ疾走スペースグラフィティ、待望の第2弾!!
SF界の俊英、ガガガ文庫に電撃参戦! 近未来、人類は宇宙に進出し、惨禍のはてに戦争をやめた。 ……いや、正確には、形を変えた。 代理戦争として発展した宇宙競技、ストライクフォール。 広大な宇宙をフィールドに、敵のリーダーを屠るべく戦うチーム闘技に人々は熱狂した。 万能の泥、チル・ウエポンによって作られたストライクシェルに身をつつみ、プレイヤーたちは宙を駆ける。 故郷のため、栄誉のため、家族のため、あるいは己が夢のために……。 鷹森雄星も、ストライクフォールに魅せられたひとりだ。 弟は、トップリーグでのプロデビューが決まった若き天才、鷹森英俊。 幼なじみの環のやさしさに見守られながらも、雄星は宇宙を目指すがーー。 「知ってるか、兄貴。宇宙では、あらゆるものが落ちている最中なんだ。 ーー落ち続けるなら、オレはほしいものを手に入れる」 なら、翔ぶ。翔んで、宇宙に手を伸ばす。 これは、宇宙を「掴む」兄弟の物語。 SF界の俊英が放つ新たなライトSFエンタテイメント!
『ハルヒ劇場』『魔法王国カストゥール』『薔薇のマリア』ほか、ファン必読の幻の短編がここに集結! 雑誌「ザ・スニーカー」通巻100号を記念し、文庫未収録の短編がアンソロジーとなって2冊同時刊行!!