著者 : 霜月えいと
大臣であったグレンと、邪竜を倒す役目を担う聖剣使いカイーー二人は人類を裏切り、フィスデイル王国に大きな影を落とした。そして彼らと相対したジャレム平原の戦いの後、ユキト達来訪者や王国の人達は二人の穴埋めをすべく奔走した。落ち着きを取り戻したのは一ヶ月後。その間、姿を消したカイの捜索や邪竜の動向などを探っていたが成果は上がらず、また動きもなく停滞していた。ユキトは天神であることを公表したリュシルと共に、次の戦いに備えカイとの戦いに勝利した技法『神降ろし』の鍛錬を進めていた。相棒であるディルと共に能力を使うため検証を進めていた時、ある提案を受けるのだがーーーーーー。
フェアレディに積まれた大量の万札。それは白夜を混乱に陥れるには十分なものだった。庵とともに無明拳の師匠との合流する最中、暗殺者集団に襲撃を受ける白夜一向。さらにフリドスキャルブを強襲する「我者髑髏」を名乗る二人組。黒曜によって明かされる「神座講」と呼ばれる金融システムと共に御三家を引きずり落とすための楔は、置いてきた白夜の過去の扉をも開き始めた。白夜は家族を襲った悲劇からの逃亡を経て、遠回しをしながら、ようやく真実を手にする権利を得たのかもしれない。そしてその悲劇の本質は、また神座市の重力にとらわれていた。
辺境貴族ファルコナー家の末子、アルバートには秘密がある。それは、異世界からの転生者であること。ファルコナー家は辺境でも屈指の戦闘一家で、幼少の頃より戦場で育てられた。14歳のある日、この世界が、前世で一度だけプレイしていたゲームにそっくりであると気づく。しかし、そのゲームの記憶は曖昧。果てには自分は名前すら登場しない「モブ」だった。自身の存在意義に疑問を抱き始めたアルはゲーム本編の舞台であるラドフォード王立魔導学院に入学することになりー!?何もかも異質なモブが世界を狂わせる痛快ファンタジー第1弾、予測不能の開幕!!
多くの犠牲を伴いながら、進んでいく邪竜との戦い。シャディ王国での戦いを終えた後、ユキト達のもとへとある冒険者がやってきた。その人物はユキトの宿敵である信奉者ザインの弟、ダイン=エルトマ。彼は兄が邪竜の配下になったことを知り、また故郷を兄によって滅ぼされたため、ザインを打倒するべくユキト達の所を訪れた。邪竜の力を得る前の情報があれば、ザインを追跡できる霊具を作成できる。よってユキト達は因縁の相手、ザインを追うための霊具を作成し、討伐することを次の目標と定めた。そしてユキトは仲間やフィスデイル王国の騎士、セシルと共に追跡霊具を作成するため、ザインの故郷へと向かうのだがー。
名門高校1年A組。クラス丸ごと異世界に召喚され、世界を滅ぼそうとする邪竜と戦うために武器ー霊具を手にして戦う来訪者ユキトたちに新たな使命が課せられた。それは、シャディ王国の救援。魔物を率いる邪竜の配下“信奉者”はシャディ王国の元将軍であり、国の内部を多く知る人物だったことで窮地に追い込まれていたのだ。フィスデイル王国はシャディ王国救援のため、王の護衛である騎士エルトや、王国の重臣にして竜族のリュシルを向かわせることにした。さらに聖剣を持つカイや仲間のメイも戦列に加わった。ユキトは仲間たちと共にシャディ王国へ遠征することに。そして、霊具を手に最前線で戦う王女、ナディと出会うのだが…。
私立三空学園高等部一年、瀬上雪斗。ごく普通の目立たない彼にはクラスで憧れを抱く生徒が二人いる。一人は生徒会副会長で成績優秀、大企業の御曹司の藤原海維。もう一人は現役アイドルとしても活動している宮永芽衣。雪斗は二人と同じクラスであることがささやかな自慢だった。ところが、ある寒い日のこと、突然、教室が光に包まれると瞬く間にクラスメイト全員が異世界転移してしまう。召喚者は、邪竜に世界が征服されようとしていて雪斗達に助けを求めたという。クラスメイト達は目の前の状況を信じられず、混乱の中で話をすることもできなかった。そんな中、真っ先に動き出したのが海維と芽衣、そして雪斗だった。美少女剣士と共に、三人の異世界を救うための闘いが始まるー。
神滅大戦の勝者であるマズルカ教の聖女ニルマが五千年の眠りから目覚めたとき、復興半ばの人類は異世界からの侵略によって滅びかけていた。だが、マズルカ教が衰退していることのほうが問題なニルマは、侵略者の撃退よりも布教活動に励んでいた。しかし問題が発覚する。円滑に布教活動を行うには、聖女を補助する聖具、聖導経典が必要だったのだ!書き下ろし番外編も二本収録!
聖女ニルマ。彼女は五千年前の神滅大戦において、人の身で神も悪魔も討ち果たした、マズルカ教の神官だ。しかし、大戦の影響で人類は滅亡寸前になり、彼女は人類の復興を期待して、長い眠りについた。そして、彼女が目覚めたとき、異世界からの侵略によって、復興半ばの人類は、再び滅びかけていたー!書き下ろし番外編「出会い」を収録!
フリドスキャルブを強襲した氷室奉先に出くわした白夜たち。戦闘を余儀なくされた彼らは、最強の称号・玄翁神社祭司たる氷室の脅威を知ることとなる。死にたがる氷室。最強の男は、その暴力をより強い力で否定されてたがっていた。己の終わり方を探して、終わりに向けて生きていた。かつて神座市御三家をも脅かしたという純粋な暴力。そして、それを再び祭り上げようとする存在たち。白夜たちは、それらの思惑に翻弄されながら、再び氷室の前に立つ。そして、終わりのチャイムを鳴らす、無明拳の静かな拳撃が放たれるー。
チョーカとの戦争から一年と少し過ぎた後。アーネルから支払われた莫大な報酬とミレイユ達の手伝いもあり、自治領となったウォルでの生活はようやく安定しつつあった。しかし、ウォルでの生活を続けていくためには無視できない問題もある。チョーカ北西部に広がる大森林、通称『はぐれ水竜の巣』。そこは群れからはぐれた竜が占拠しており、周囲の国にとってはいつ竜が暴れるかわからない火薬庫のような場所だった。ソーマは「当代の水の大精霊」として、水竜シズイとその恋人サラスナを森から移動させるため、交渉に向かうのだがー。
生贄として召喚された異世界で、最強の水属性魔導士となったソーマ。アリスのあたたかさとアイザンの贖罪に救われ、水の大精霊として生きることを決意する。「戦争をなくし、不幸な子供たちを救いたい」。そんなアリスの夢を知ったソーマはアリスを愛し、世界を制することでその夢を叶えることを約束する。それは、「この世界から召喚魔法を消し去る」というソーマの目的を達成するためでもあった。アリスもソーマの冷たさの中にあるあたたかさと、そして強さの中の危うさに気がつく。ソーマの哀しさを救いたい…。互いに愛し合い、誓い合うソーマとアリスは、その夢のために新たなる人生を歩み出すのだがー。
クランバトルで『栄光の道』に勝利したリルドールたちはコロネルを取り戻し、クラン『無限の灯』として慌ただしく活動を続けていた。そんな折、リルドールは決闘で負けて追放されて以来、一度も戻っていなかった実家から呼び出しを受ける。そこで父親から、五十階層主討伐の褒賞として、叙勲の話が来ていると聞かされた。リルドールは家族との確執に揺れながらも、ようやく手にし始めた栄光に、明るい未来を思い描いていく。叙勲式当日。華やかなドレスを身にまとったリルドールたちはそこで、すっかり破壊され、血に塗れた会場を目にする。呆然とする彼女たちの前に現れた男は、コロネルの育ての親のような存在、クルクルだったー。
妹と母を失い、殺伐とした生活を送っていた中畑蒼馬。ある朝、蒼馬は魔法と精霊の存在する異世界の村に召喚されてしまう。「雨をやませるために、水の大精霊の生贄になってほしい」。理不尽な願いと暴力を受けて湖に沈められた蒼馬は水の大精霊アイザンと出会う。そこで、行方不明となった妹も生贄として召喚され、殺されていたことを知る。蒼馬の人生を壊してしまった贖罪として、アイザンは大精霊の力を捧げることを決める。蒼馬は『水を支配する能力』をもって復讐を果たし、召喚魔法をこの世界から消し去ることを決意。そして、記憶喪失の超高位魔導士『ソーマ』として生きるのだがー。
南雲蓮を陥れた長谷川黒曜。殺し屋・鏑木翔馬を退けた筧白夜。黒曜の企みによって掘り出された南雲家の埋蔵金をめぐり、南雲、御子神、羅紋の三家の状況は刻一刻と変化しはじめていた。そして、彼らの周囲には様々な人間が訪れる。南雲家次男。無明拳の師匠。白夜の元カノ。最強を目指す仙武館道場の格闘家。玄翁山の神座最強伝説。白夜の近辺に、様々な過去の残滓たちが這いよりはじめる。その陰には、三家の均衡を崩しかねない第四の勢力ー力のみで権力を脅かすだけの組織があった。男たちの、反撃の狼煙があがる。
人類の一部が代償つきの超能力を得るようになった世界ーの札幌。白石区にあるみなすけ荘には個性豊かな能力者たちが住み、増加する超能力犯罪に挑む自治組織を営んでいた。住人の藤坂工輝は「死ぬと生き返る」能力を駆使し、高校生ながら事件解決に一役買っていた。そんな彼の最大の関心事は新住人の女子高生・八野心。なぜか自分の能力を明かさない彼女の秘密に、ある事件をきっかけに触れることになるがー「…わ、私の能力を知っても、味方でいて、くれますか?」だがその事件は、心を巻き込み、札幌を危機に陥れようとしており!?心を救うため、みなすけ荘メンバーが立ち上がる!第31回ファンタジア大賞“銀賞”受賞作。
神座市という町で起きた一家殺害事件。生き残りである筧白夜はその記憶から逃れるように地元を離れ、その日暮らしを送っていた。だが、その日常がある日突然壊される。同じく、神座市出身だと名乗る、同僚の長谷川黒曜の登場によってー。さまざまな人物たちの思惑は、狭くも広くも神座市に集約されてゆく。白夜は、いつしか神座市の覇権を巡る南雲、羅紋、御子神という三家の争いに巻き込まれ、かつて習得した殺人カラテを武器に、己の家族が受けた悲劇の真相へと迫っていく。鬼才が描く、新たなクライムサスペンスシリーズ!
五十階層の試練を突破したリルドールたちだったが、コロネルの突然の脱退によりパーティーは一時解散状態になってしまう。現在、東の迷宮の五十階層以下が開放されたことで、普段は南の迷宮で活動しているクラン『栄光の道』が東の迷宮探索に参入し、『道化猿』率いる中級冒険者たちと資材の利権争いが起きていた。ヒィーコたちにとって普段ならば興味がない話題だが、『栄光の道』-それは、コロネルが移籍したクランであった。ヒィーコとムドラはコロネルの真意を確かめに、『栄光の道』へと向かうのだがー。
ムドラを仲間に加え、四人パーティーとなったリルドール一行は縦ロールと魔法を駆使して怒濤の勢いで迷宮を攻略していた。だが、次の目標を立てようとしていたリルドールは、今の迷宮では五十階層には挑戦できないことを知る。五十階層主の討伐に失敗すると重大なデメリットがあるため、国が挑戦させてくれないのだという。実力も上がり、既に上級者となっていたリルドール達は、今探索している東の迷宮から、既に五十階層以下が解放されている南の迷宮へ、探索の場所を移すことを決める。次の迷宮に向けて準備をしていたリルドール達は、小さい頃にコロネルの世話をしていたという男・クルクルと遭遇する。コロネルは偶然の再会に喜びはしゃぐのだが、リルドールは、妹分が自分よりも懐いている男をやっかむ。そして、四十九階層を見てから新天地へ旅立とうと、最後に東の迷宮へ向かうのだがー。