著者 : Y.A
教え子の卒業式、そして導師の昔話を経てからすぐ、エリーゼが産気づく。だが、この世界では男性が出産に立ち会うことはできず、今か今かと部屋の外で終始落ち着かない感じで待つヴェル。やがてついにその時が訪れ、部屋に踏み込むヴェルが目にしたものは…光り輝く我が子であった。「さすがは、俺の子供。もう輝いているぜ。いや、俺に似ずに素晴らしいカリスマだ」以降出産ラッシュが続き、我が子の寝顔を見て心が安らぐ反面、お祝い品への御礼状の発送作業や、生まれて早々に婚約の話が出てきたりと、様々な面倒事がヴェルの心を折りにくるのだった。幸福感と同時に子をもうけた貴族家の大変さを思い知る第十七幕!
そろそろお腹が目立ってきたエリーゼと、無事教え子を巣立たせたヴェルのもとに、ニーナと導師が様子を見に訪ねてくる。そして生まれてくるであろう子の話に花を咲かせるなか、いつしか話題は導師の昔話にー。それは、アームストロング伯爵家のために尽力する人生しか待ち受けていないのであれば、猶予ある限り『全力で外の世界を楽しむのである!』と母の墓標に誓いを立て、冒険者予備校の門を叩いた若き日の導師の立志譚であった。大器晩成で不器用なアームストロング少年の成長、そんな彼の相棒となる美少年ブルーノとの出会い、そしてすでに活躍中のアルフレッドへのライバル心!王都を舞台に、王国の黎明期を彩った偉人たちが多数登場する完全書き下ろしの第十六幕!
冒険者予備校の臨時講師を引き受けたヴェルの講師生活はなおも続いている。パウルブルクに新設された冒険者予備校も軌道に乗り始め、ヴェル発案による講義での挨拶や帰りの掃除などといった独自ルールが導入されていく。さらには、学習の成果を発表するといった場を設けない、純然たる祭り要素強めの学園祭を催すに至るのだった。そんなある日、ヴェルは特別講師として招いたアーネストへの報酬として、探索済みの地下遺跡にて学術調査の手伝いをすることに。ヴェルは、護衛役として弟子の三人とエルを連れて遺跡に入るも、調査は小一時間で終了し、若干肩透かしを食わされる。だが、帰りがけに造り物のネズミを発見し捕らえようとした際、そのネズミに魔法をかけられヴェルは子供の姿へと変えられてしまう。しかも、この地下遺跡が実は広大なものであると判明した瞬間、冒険者デビューをはたしたあの地下遺跡の悪夢がヴェルの脳裏を過るのであった…。
遂に、織田幕府軍と津田軍による関ヶ原の戦いが始まった。勝算を持って挑む細川幽斎は攻勢を強め、兵数では劣るが火器と物資が桁違いにある光輝たちは守りに徹していた。いずれ津田軍は補給切れを起こす、それこそが幽斎の勝機であったが、さすがに物量の桁が違いすぎた。そしてその事実を知ることもなく、津田軍に包囲され織田幕府軍は敗走へと突き進むのだった…。戦国の世を駆け抜けた光輝たちの、波乱に満ちた日々もいよいよ大詰め!一人また一人と逝く戦友たちを送りながら、寄る年波に身を委ねる光輝の夢に現れた者とは…!?
異世界から現代日本へ帰還した勇者・御影達也。日本の“裏総理”の野望を打ち砕いた達也は無人島でのんびり暮らしていたが、突如世界を震撼させる事件が起きた。異世界の巨大国家「聖リリタール王国」が太平洋上に転移してきたのである。魔法が使える達也は、魔力を探知した聖リリタール王国からいち早く接触を受け、王城へ招かれる。危険を承知で女王との初めての謁見に臨むが、異世界を救った伝説の勇者の証・聖剣エクスカリバーを抜いたことで思わぬ歓待を受けて!?その裏で世界の国々は聖リリタール王国への対応を決めかねていた。静観する国、友好を結ぼうとする国、そして侵略しようとする国。達也は図らずも世界規模の戦いに巻き込まれていくが、勇者のチート能力は強力無比な現代兵器すらも軽々と凌駕しておりー!?平穏を望む勇者の次なるステージは異世界転移した巨大国家へ。異世界を救ったその後に始まる最強勇者ファンタジー、第2巻!
癖のある魔法使いリサが身内となり、賑やかさを増すバウマイスター伯爵家。そんなすったもんだの日々を挟み、エルとハルカの結婚式がいよいよ明日へと迫っていた。だが、和風な式場と和やかな雰囲気の中にあって、ただ一人殺気を帯びる者がいた。ハルカの兄、タケオミである。限られた時間の中、彼は彼なりに思案を巡らせ、なんとか結婚を阻止できないかと足掻くのだが…。一方、ヴェルは王都にある冒険者予備校の臨時講師を任されることとなった。適任かどうかに疑問を持ちつつも、有能な生徒らと教え教われの関係を築き、その職務を全うしていく。エルとタケオミ、ヴェルと教え子、悲しき男の生き様と次の世代の成長を描く第十四幕!
織田信長が世を去り、その嫡男信忠が跡を継ぐことで歴史は再び紡がれていく。葬儀後、信長の遺書を通じ、神社仏閣の増改築事業を信忠の手柄とすべく、光輝は淡々とその使命を全うしていく。どうしても手の回らないところは、個人的な嫌悪を度外視して細川幽斎に協力を仰ぐ光輝。だが、当の幽斎の光輝嫌いはどうにもならない域に達しており、仕事はするものの一人悪態をつき続けるのであった。そして思いもよらぬ信忠の急死、さらには織田幕府と津田家との関係に決定的な溝が生まれるや、光輝の落胆と幽斎の憎悪は戦へと姿を変え、両者を決戦の地、関ヶ原へと誘うのであった。
高校入学を控えたごく普通の少年・御影達也が異世界に召喚されてから十五年、最強の勇者に成長した達也はついに魔王討伐の使命を果たし、現代日本に帰還した。これからは普通に働いて一般人として暮らしていこうーと思っていた達也を十五年後の日本で待っていたのは、学歴も職歴も住所もなく、仕事にも就けない厳しい現実だった!異世界で習得した勇者のチート能力をそのまま使うことができた達也は、魔法や錬金技術を頼りに人里離れてひっそり生きていこうと決意。達也を慕って異世界から日本へついてきたアサシンの少女アンリ、竜のモモと一緒に廃村で自給自足の生活を始める。こうして平穏に暮らそうとしていた矢先、元・異世界の勇者である達也の正体に迫る人物が次から次へと現れてー!?平穏を望む勇者の次なるステージは現代日本へ。異世界を救ったその後に始まる最強勇者ファンタジー、堂々開幕!
トンネル騒動が落ち着き、ヴェルの妻となったカチヤとの結婚式がオイレンベルク領で挙げられた。ところが、結婚式はマロイモや特産品を使った料理が並び、物産展の様相を呈していた。一方、新婚旅行に至っては、魔の森で狩りをしているだけにしか映らないものの、つつがなく行事として消化されていった。だが、予期せぬ地雷が眠っていた。不運が重なって連絡が届かず、式の存在すら知らなかったカチヤの師、リサがお冠なのだ。式がどうこうではなく、ただ先を越されたのが腹立たしいのだという。そんなリサから近々会いに行くという手紙を受け取ったカチヤは、不安な夜を過ごすはめになるのだった…。テレーゼに魔法の才能!?それがなぜかリサとの決闘に発展!大幅加筆と書き下ろし短編で送るドタバタの第十三弾!
リーグ大山脈を貫く縦貫トンネルの出口は、ド田舎であった。昔のバウマイスター騎士爵領よりも貧しく見えるオイレンベルク騎士爵領に、得も言われぬ驚きを覚えつつも、トンネルの運営への協力を求める話を進めるヴェル。だが、領民たちと一緒に畑を耕しながらささやかに仲良く暮らす彼らには荷が重かったらしく、領主側は全力で権利の譲渡を申し出てくる。これにより、少々面倒ではあるもののヴェルとブライヒレーダー辺境伯家、王国の三者で管理運営するという流れに話はまとまった。しかし…。「親父!兄貴!正気か!オイレンベルク家大躍進のチャンスなのに…!」突如現れた領主の娘カチヤによって、根底を覆されるはめに。毎度のことながら、ヴェルの心労が尽きない。さらなる面倒ごとに巻き込まれる予感の第12弾!
天下統一を果たし、順風満帆の信長。その勢いで信長は国外にその勢力を伸ばそうとするが、出兵した朝鮮で思わぬ苦戦を強いられる。次々と要所を陥落させていくも、進軍と補給が噛み合わず統制がとれず、断続的な補給路は伏兵の格好の的に。加えて、言葉の壁というものが追い討ちをかけていくのだった。時に、光輝らが戦国の世に降り立って早三十年と余。当時からの重臣らも高齢となり、病気や老衰が目立ち始め、天寿を全うする者も。そしてそれは、信長とて例外ではなく…。
帰るに帰れなかった内乱騒ぎが、ニュルンベルク公爵の敗北によってようやく沈静化するに至った。いまだ反抗的な一部の領民や家臣相手にペーターが奔走する反面、ヴェルは買ったウナギを焼いて食べるなどして、いつもの日常を取り戻していた。だが、彼の人生において、平和な時期はそう長く続かない。あとは褒美を貰って帰るだけのヴェルに思わぬ「お土産」が引き渡されたのだ。お土産は、フィリーネという銀髪の少女。なんでもブライヒレーダー辺境伯の隠し子だという。ようやく内乱が終わったのに、また面倒な話が舞い込んできたなと肩を落とすヴェルなのであった…。ところがどっこい、そんなフィリーネと妻たちにメイド服を着させて悦に入ったり、生かしておいた魔族アーネストとの遺跡探索など、相変わらずの八男節!心機一転の第十一幕!
時は進み、天正四年。引き続き光輝(津田家)による関東経営は順調に進んでいく。そんな中、足利義助の暗躍により上杉景虎が関東へ出兵。他、伊達輝宗、北条家の残党らがそれに続くも、風魔小太郎の情報網によって筒抜けであったため、あっさりと返り討ちにされる。その合戦で旧伊達領、大崎領、葛西領を得てしまった光輝だが、あまりの多忙さ故に佐竹義重に統治と開発を丸投げしてしまう。褒美で喜ぶ義重の顔は、一気に絶望感で歪んでいくのだった。相も変わらずの開発無双!おでん、コナモノ、即席麺に、気仙沼の海鮮三昧!そして蝦夷、四国、中国、九州平定と進めて天下統一織田幕府!だが、そんな順風満帆の織田幕府に、朝鮮出兵という泥沼が待ち受けていようとは、誰も知る由もなかった…。
師であるアルフレッドとの戦いで、引き分けに持ち込むことが精一杯だったヴェルは、その脅威を実感し対策を急ぐ。一方、テレーゼとニュルンベルク公爵による最初の決戦の行方は、双方共に決定打を与えることができず、痛み分けとなった。来る帝都での戦に向け、両陣営仕切りなおしの合間、ヴェルたちはかつての重要拠点サーカットの町を落とし、そこを拠点とする。しかし、なぜか人様の国で開発三昧の日々を過ごすはめになるのだった。そして迎えるアルフレッドとの再戦。ヴェルはアルフレッドの身体がターラントであることを利用した戦略で有利に進めるが、当然一筋縄ではいかず…。
天下統一を進める織田家の前に、遂にあの男が立ち塞がる。『風林火山』の旗の下、軍勢を発した武田信玄は、東美濃、駿河、遠江へと兵を進め、織田、徳川連合軍を粉砕する。東美濃救援に赴いていた光輝は、徳川家当主家康の討ち死にという緊急事態のせいで、遠江に飛び地を与えられ苦労する羽目に。さらには、武田軍を破り駿河に進むも、関東の雄北条家も蠢動を開始する始末…。堪らずストレス解消を兼ねて、地元グルメを堪能する光輝であったが、当然信長はそれを見逃さない。「殿!大殿がもうすぐここに来られるようです!」「えっ?全然聞いてないけど…」戦とグルメと時々信長!今日も光輝たちの活躍が始まる!
アーカート神聖帝国で起こったクーデターに巻き込まれたヴェルは、首都バルデッシュを脱し、フィリップ公爵領を目指して馬車を走らせる。そんな中、途中立ち寄ったミズホ伯国で「和」の文化がヴェルを待ち受けていた。「き、来たぁー!日本的文化来たぁー!」西洋風ファンタジーな世界に、日本風の文化を持つ国家があったことに感激し、ヴェル一行はこれを満喫する。大満足なまま帰りたい、戦いに協力するなど真っ平御免なヴェルは、フィリップ公爵領到着後、なんとかしてヘルムート王国へ帰る手立てを探すのだが…。『可能な限り、ヘルムート王国の利となるように動くべし』という王国からのお達しがあり、計画は見事に瓦解。意気消沈のまま戦場へと赴くヴェル一行を、まさかの脅威が待ち受けているのだったー。
伊勢志摩の統一に成功した光輝は、信長の妹お市を娶り、実質織田家のナンバー2に成り上がっていた。一方で、清輝の嫁探しは貴族たちの間で難航していた。なぜなら、清輝の好みはアニメ『魔法少女メルティークィーン』のメルちゃんだったからだ。なんとか比較的似ている貴族のご令嬢孝子に白羽の矢が立ち、髪型を『ついんてーる』にして清輝に挑み、無事結婚に至る。清輝の嫁探し騒動からしばし時を経て、永禄八年五月、将軍義輝が討ち取られる。俗にいう永禄の変だが、現状美濃と尾張の統治に影響があるわけでもないので、光輝はリアクションに困ってしまう。光輝としては貧富の差による伊賀の情勢が気にはなるが…そろそろ暑くなりビールの季節が始まるなぁとも思うのである。そう、夏といえばビール。そしてビールに合うツマミも必要不可欠。今日も新地一家は新たなツマミを求め、生み出し、食らいつつ、伊勢志摩国内で奮闘するのであった。
時は永禄三年『足利』幕府末期。そこに、一隻の宇宙船が時空を超えて飛来する。船名は『カナガワ』、遥か未来での宇宙にて運送業を営んでいた。異次元宙流に巻き込まれタイムスリップしてしまったのだ。船長『足利光輝』はこの状況に絶望し、打ちひしがれた。宇宙専用機であるカナガワでは地球から宇宙へは出られず、ましてや元の時代へ戻ることなど到底叶わない。コツコツ貯めたヘソクリや、会社の口座の現金、これらがすべて、消えたようなものだから。だが…。「ふと思ったんだけど、カナガワのローンはもう払わないでいいよね?」ローンを払わないで済むという現実に心躍る光輝。とりあえず沈没船のお宝を売って生計を立てようと試みるのだった。戦国の世で財を成す!未来人介入の群雄割拠ここに開幕!
ブロワ辺境伯家との和解金を巡る攻防を、ヘルタニア渓谷の譲渡というかたちで脱したヴェンデリン。無事にヘルタニア渓谷を攻略するまではよかったが、そのあとのカルラの「婚約者紹介」が、カルラに恋する「騎士」エルの精神に致命的・壊滅的・圧倒的なダメージを与えた。満身創痍のエルの精神を癒すために、効果があるとされる魔法を試みる心優しきヴェルたち。だが、エリーゼの秘魔法をもってしても、エルを癒すことは叶わなかった。そして「カルラとの蜜月の日々」という哀しい妄想に逃走したエルが、いまだ現実世界に帰還せぬまま、「大お見合い会」が開催されることとなるのだった。一方ヴェンデリンは、連日にわたる式の準備に追われ、ようやく婚約者五人との結婚に漕ぎ着ける。その上、訪問した隣国アーカート神聖帝国でクーデターに巻き込まれるなど、苦労が絶えないのだった…。エルの心の回復から始まる、逃走と闘争の新章開幕!
『暴風』カタリーナ、『謀臣』クラウスの件が片付いた矢先、ブライヒレーダー辺境伯家とブロワ辺境伯家との間で紛争が勃発した。それは南部と東部の百を超える貴族家を巻き込む大変な事態となるが、ヴェンデリンは領地の開発を優先するためにこれを静観。そんな中、病床のブロワ辺境伯が、娘カルラを非公式にバウマイスター伯爵領に送り込んできた。怪しみながらもカルラとの交流が始まるが…なんと、エルがカルラにどんどん惹かれていってしまう!そして紛争は予想以上に長引き、バウマイスター伯爵領への人と物の交通網に多大なダメージを与える。領地開発に遅れが生じ、やがてヴェルも激怒に至るのだが…。いや、そんなことよりもエルだ!エルの恋路に目が当て…目が離せない、第七幕の登場!