著者 : syo5
大学生・叶のもとに転がり込んできた正体不明の少女。そのただならぬ気配に、身の危険まで感じる叶。だが相対した彼女から漏れ出たのは、悲痛で、弱々しい叫びだった。「独りは…いや、です。一緒に、いて」。叶は少女を「赤瀬奈紺」と名付けて迎え入れることにした。孤独を恐れる少女は、叶の隣に孤独のない居場所を見出そうとするのだが…?“GCN文庫短い小説大賞”受賞。
終わらない冬のなか、二人はデートする。 年が明けてからもずっと「冬」が続くという異常気象。 気温のあがらない夏、九月に降る雪。コメの収穫は絶望的で、原油価格は上昇し続け、消費は冷えこんでいる。もう世界は終わってしまったのかもしれないと、人々は日に日に絶望を深めていった。 神奈川県の出海町にある海水浴場も一面雪で覆われ、サーファーも釣り客もヨットのオーナーも姿を消した。この町で育った高校生、天城幸久にはこれまで想像もつかなかった光景だった。降り続く雪でリモート授業も今では当たり前になっている。世界はもうすっかり変わってしまったのだ。 雪かきスコップを手に幸久は近所のとある場所へとやってくる。 金属製の門をくぐった先には、前面が総ガラス張りの変わったデザインの家が建つ。その敷地内で雪かきをしている女の子がいる。高校からこの町へ越してきた同級生、真瀬美波だ。彼女はこの家にひとりで住んでいる。 幸久は彼女の家へと通い、雪かきを手伝うことが日課になっている。 幸久と美波はすでに交際しているのだが、学校ではほとんど会話もしないため、クラスメイトたちは誰もその事実を知らない。 雪に閉ざされた世界のなか、二人は秘密のデートを重ねていく。
冥界竜との戦闘で魔力を使い果たしたアルは一時昏睡状態に陥っていたが、なんとか意識を取り戻した。サティエラとカイスルたちのパーティー、そしてフュウと共に、戦いで傷ついた体を癒すことに専念する。やがて戦後の処理をしながら完全回復したアルは、孤児院を訪問した際に、シスターからアルの父親が残していった手紙を受け取る。そこに書かれていたのは、もしも自分がいなくなっていたら水面下で進めていたことの後を継いでほしいということ、そしてこの世界を旅して見て回ってほしいという内容だった。手紙を読んだアルは、カイスルたちと共にレーベンの街を旅立っていくのだがー。
冒険者になったアルベルタは、白金貨目当てで絡んでくる不良冒険者をあしらいながら、サティの母親を捜す生活を続けていた。魔物を引き寄せる呪符や、ライジン伯爵の不審な動きなど不穏な空気が漂う中、サティの母親らしきエルフが街に入ったという情報を手に入れる。すぐにでも救出に向かいたいが、相手は力を持つ伯爵。剣豪と呼ばれる猛者も雇われていると聞き、慎重に情報を集めていく。しかし、グリューゼル侯爵との交渉が決裂したライジン伯爵は、時を待たずに戦争を仕掛けだす。平和だった街を襲う、大量の兵士と魔物たち。アルたちも街を守るために行動するのだがー。
天才と評されるも、家庭の事情でピアニストの道を断念した敬。とりあえず食うためにピアノ教室を開くことに。しかし…。初めての生徒は虫かご片手に裏庭に一目散、飽きればアニメに夢中の双子の小学生だった。その後も芸人志望の女の子に引きこもりの中学生と、なぜか集まるのは音楽に興味のない子供ばかり。教室にすら入らない生徒に、敬は起死回生のレッスンを考えるがー?時に優しく、時に激しく、天才ピアニストの腕が鳴る!世間の荒波(=子供)にもまれながら贈るお仕事騒動記、オープン!!