やましいゲームの作り方 2
大人気敏腕ライター『中田ろみ子』登場!!
ペチペチペチペチ。
いつもなら気にも留めないキータッチの音が、今は耳にうっとうしいほどまとわりついてくる。自分が神経質なのは知ってるけど理由はそうじゃない。
二人の年上の女性に挟まれて、その真ん中でずっと沈黙に耐え続けているせいだ。
株式会社ソフトマシーン。その事務所の片隅にある本来なら一人で作業するその中に、三人の人間が肩を並べてる。右に、平栗さん。左に、中田
先生。いったいどういう罰ゲームだろう。
しまった、と思っておそるおそる中田先生の方に振り向く。--ほんのちょっと半目になるだけで、人の表情ってこんなにも冷たくなるんだ。そんなふうに、じとーっと中田先生は僕を見ていた。
「チッ……ろみ子からの質問。それは『あっ、また美しい中田先生がうるせーこと言いそう』の『あっ』? 『あったまくんなあ、いちいちこの美しい中田先生ったら小姑みたいによう』の『あっ』?」
ところで選択肢が二つあってどっちにも地雷が埋まってるのが見え見えなとき、人はどうしたらいいんだろう。
僕が、中田先生、そして平栗さんまでも巻き込み、シナリオリテイクをしている理由とは!?お仕事モード全開の第二巻!!
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PCゲーム業界のエピソードがここに!? 『人生はゲームだ』 そんなセリフをどこかで聞いたことがある。 ゲーム制作を生業としている俺には、ある種味わい深い。 膨大なシナリオ、盛りだくさんの選択肢、星の数ほどのグラフィックは超高解像度、BGMも効果音も絶えることがないし、もちろん幾多のキャラクターはフルボイス。さらに、プレイヤーのスペックによっては、難易度が変動する、業界でも類のないダイナミックシステム搭載ときた。採算度外視のその作りに、羨ましくてよだれが出そうだ。 俺の人生は、といえば、結構いいかげんだったわりには、そこまで大きな山も谷も無し……言うなれば、イージー寄りのノーマル、そのあたりだった。 『だった』と過去形なのは、このたび、ついにエンディングを迎えたからだ。 ちなみに今は俺の葬儀の真っ最中。 俺はどこに出しても恥ずかしいアラウンドフォーティ、略してアフォのおっさんだったんだが、息子の身体に乗り移ってしまったんだーーーーあ、息子が『身体を返せ』と叫んでいる……。 息子(の身体)に協力してもらいPCゲーム作りに励む、ちょっと不思議テイストの業界ラノベここに誕生!! イラストを担当するのは、大人気イラストレーター、nauribon。 2012/12/18 発売