ハル遠カラジ(2)
人工知能縄有の精神疾患AIMD。その治療を専門とする医工師を求め、テスタたちは冬のチベットを訪れていた。イリナと触れ合う中で、徐々に人間世界への興味を抱くハル。そんな主人のために、社会見学と称して、皆で難民街の廃校へと立ち寄る。だが、そこでテスタは奇妙な手紙を見つける。『贖えない罪を犯してなお、生きる意味はあるのだろうか』。遺書ともとれるその手紙には、なんと十一年前の人類消失をも予期する言葉が綴られていた。やがてこの地で起きた悲劇を知った時、テスタは思いがけぬ人物との邂逅を果たすこととなる。
関連ラノベ
私の名は、テスタ。武器修理ロボとしてこの世に生を受けた、はずである。人類のほとんどが消え去った地上。主人であるハルとの二人きりの旅。自由奔放な彼女から指示されるのは、なぜか料理に洗濯と雑務ばかり。「今日からメイドロボに転職だな、テスタ」。全く、笑えない冗談だ。しかしそれでも、残された時を主人に捧げることが私の本望に違いない。AIMD-論理的自己矛盾から生じるAIの精神障害。それは私の体を蝕む病の名であり、AI特有の死に至る病。命は決して永遠ではない。だから、ハル。せめて最後まで、あなたと共に。 2018/06/19 発売
成都を発って以降、なぜだかひとり物思いに耽ることが多くなったハル。テスタがハルの様子を気に掛けるなか、一行は家屋の下敷きとなっていた一人の女性型アンドロイドを救う。ローゼと名乗るそのAIは、想いを寄せる人間に会うため、遥かアフリカよりひとり中国までやってきたというのだが…。ローゼの想い人に隠された秘密。アニラの恩返しと、はじめてのおつかい作戦。頬傷のある白髪の少女との邂逅。そして、旅の果てに待ち受けていた逃れられない必然に、テスタとハルは、自分たちが信じた答えを見失っていく。 2019/08/21 発売