ハル遠カラジ(4)
ライドーに連れ去られたハルの行方を追い、極東のウラジオストクに到達したテスタたち。そこでは生き残った人間たちが貧困に苦しみながらも、地下に街を築いて生活していた。ハルや故障したアニラのために、表向きは地下住人に従うテスタ。しかし突如襲来した白髪によって、地下全体に漂う不穏を知ることに。さらには、人間を消失させたバベルの真の目的にも期せずして近づいていく。やがて果たされるハルとの再会を経て、テスタは最後の決断を下す。獣だった娘と、病を患った軍用ロボットの親子の旅路は、ついに終着を迎える。
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私の名は、テスタ。武器修理ロボとしてこの世に生を受けた、はずである。人類のほとんどが消え去った地上。主人であるハルとの二人きりの旅。自由奔放な彼女から指示されるのは、なぜか料理に洗濯と雑務ばかり。「今日からメイドロボに転職だな、テスタ」。全く、笑えない冗談だ。しかしそれでも、残された時を主人に捧げることが私の本望に違いない。AIMD-論理的自己矛盾から生じるAIの精神障害。それは私の体を蝕む病の名であり、AI特有の死に至る病。命は決して永遠ではない。だから、ハル。せめて最後まで、あなたと共に。 2018/06/19 発売
人工知能縄有の精神疾患AIMD。その治療を専門とする医工師を求め、テスタたちは冬のチベットを訪れていた。イリナと触れ合う中で、徐々に人間世界への興味を抱くハル。そんな主人のために、社会見学と称して、皆で難民街の廃校へと立ち寄る。だが、そこでテスタは奇妙な手紙を見つける。『贖えない罪を犯してなお、生きる意味はあるのだろうか』。遺書ともとれるその手紙には、なんと十一年前の人類消失をも予期する言葉が綴られていた。やがてこの地で起きた悲劇を知った時、テスタは思いがけぬ人物との邂逅を果たすこととなる。 2018/12/18 発売