1991年発売
「君に、どこかで、会ったような気がする」幻想水族館で会ったちょっとワルっぽい男の子はそう言った。あたし(美潮)と親友の絵麻はこの水族館によく来る。水槽には不思議な生き物ばかり。暗幕におおわれた中にいる金色の毛が生えた魚を見たとき、あたしはデジャ・ビュ(既視感)-説明のつかない不思議な感覚に襲われた。あたしは前世がどんなだったか、眠り瞽女(ごぜ)にみてもらうことにした。
描きかけの画用紙を風がさらっていく。夏休み最後の水曜日、夕暮れの公園。わたしは夢中でその絵を追って、走る。ぴた、と風がやんだ瞬間、わたしの目の前に自動車が迫っていた。でも、わたしは男の子に強引に引きよせられて、助けられていた。男の子の髪は、太陽に乾かしたタオルのような匂いがした。心臓の鼓動がおさまらない。彼の名前は、貴生。わたしの初恋のはじまりだった。
「中学のクラス会の幹事をやってくれないか」あたしたちの女子高の前で、彼が待っていた。1年ぶりに会う昌之。頭がよくてクラスの人気者だった。おとなしいあたしが、思いきってラブレター出したこともあったっけ。あきらめてた恋だけど、これってチャンスよね。ところが会計係のペアを組んだのは、昌之にケンカをいつもふっかけていた昭介。2人でいると、不良たちに囲まれてみんなの会費を奪われてしまった。どうしてこうなるの。
1年間、想って想って、がんばってきたのに、ヒデヨシさんからかけられた言葉は、「親友の滝とつきあってくれない?」だった。どうして?ヒデヨシさん!でも、そのわけはすぐわかった。あたし早野香が入団している“ヨコハマまりん”が公演をまぢかにひかえた夜、座長の沢村さんの新妻の槙子にヒデヨシさんが愛の告白をしてるところを見てしまったの。ショック!もう、あたしには誰もいない?意外な恋の結末、読んでね。
澄んだ青空に、教会の鐘の音が鳴り響く。きょうから、あたしは広岡みか子。「浩介サンの奥さんです!」って胸を張って言える…はずはない。だって、あたしは男女交際厳禁の高校に通う3年生。バレたら、もちろん退学。大好きな浩介サンと一緒に暮らせるのなら、卒業まで秘密を守るくらい、へっちゃら。ところが、だれかが学校に密告してしまったからタイヘン。あたしに気がある海原くんが?それとも?結婚生活、早くもピンチ。
あたし、後野まつり。八幡高校1年生。超常現象研究会(超常研)のメンバー。封印された栄の超能力も元どおりになり、無事に(神無月恭一郎さんとの婚約という、とんでもないオマケもついたけれど…)火星から帰っきました。でも、ほっとする間もなく、今度は、あのガンダルヴァさんがとんでもない危機に陥っているらしいんだ…。
わたし、森岡めぐみ。高校2年生。わたしと仲よしの美亜は、女のわたしから見ても、超カワイイ女の子。だから、クラスの男の子たちが、やたらとわたしを誘ってくるのも、実は、みんな、美亜がお目当てなのよね。今までは、わたし、そんなこと、全然平気だったんだけど、大好きな橋本センパイまでが、美亜のこと…。いつの間にか「ハッシー先輩」「美亜ちゃん」って呼び合ってるし。お願い、センパイまで、美亜を好きにならないで。
わたし、岡田沙帆。中学3年生。片想いしてるのは、隣のクラス・3年1組の中川大地くん。眠れなくなっちゃうくらい、想ってるの。だけど、クラス同士の仲が悪くって、大地くんに近づこうとすると、すぐに1組の女子に、「すごいよねエ。ひとのクラスまで来て」なんて、チェック入れられちゃうんだ…。クラスの対立のために、『好き』が負けてしまうなんて、いや!愛を信じて、わたしたち、中学3年生で結婚します-。
ヒロインは、岡村五月さんです。もちろん、百武千晶さんも登場します。エイリアン・百武星男くんも、いっぱい登場します。しかし、ヒロインは岡村五月さんなのです。語り手もまた、彼女自身であります。物語の時節は、既刊の『星からきたボーイフレンド』とかなりの部分で重なっています。つまりこの本は“あたしのエイリアン”の、もうひとつのオープニングなのです。
あたし、工藤由香。都立高の2年生。今回の事件は、修学旅行のための買い物に、サキといっしょに渋谷に行った時に始まったの。「とうとう見つけましたぞ!」という声が聞こえて、おじいさんが、いきなりサキの腕をつかんだんだ。「もう逃げられませんぞ。観念しなされ。彩子お嬢様」腕をつかんだまま、そのおじいさんはいうの。なんか、人間違いされているみたい…。
「お帰りなさいッ、孝志!」あたし、柏めぐみは、どんなにこの日を待っていたことか…。東京の大学に合格し、北海道から帰ってきた孝志は、ますます素敵になってて。あたしたちの恋愛は、1年半ぶりに、またここから始まるはずだったの。ところが、思いがけない女子大生のライバル出現。高校生のあたしが、どんなに背伸びしたってかなわない、大人の女性なんだ。
香水は、男にキスしてもらいたいところ全部につけるのよ-。ココ・シャネルの言葉そのままに、思いをこめて、五人の女たちが香りをつける。“フルール・ド・ロカイユ”“アンフィニ”“ミツコ”“レール・デュ・タン”、そして、“ボル・ド・ニュイ”。彼女たちに選ばれた五つの香水をめぐって、さまざまな恋愛ドラマが生まれる…。ドラマティックな愛が香るラヴ・ストーリー。
あたし、リリアン。バドリジアの第二王女。今あたしは、“運命の娘”としてのさだめに従って、聖なる国エルンスターへ嫁いでいく。愛する人、リカードとも引き離されて…。でも、あたしはあきらめない。いつまでも運命に翻弄されてばかりじゃない。時には、自分の力で運命を切り開いてみせる。エルンスターへ向かう船の中、あたしは、重大な決意を固めたの…。壮大なヒロイック・ファンタジー第三巻。
未散と秀と裕。三人は、三年前から一緒に暮らしていた。世間の常識にとらわれない、束縛しあわない、女一人と男二人の生活。自由で、気持ちのいい関係だったが、未散にお見合い話が持ちあがったのをきっかけに、三人の関係が微妙に揺れ始める…。結婚が本当に女の幸せなの?女の幸せって?未散は思い悩み、そして三人は…。“結婚”の本当の意味を考える恋愛問題作。
理事長の娘を相手に暴れまくった星子、久しぶりに停学一週間。マサルとの思い出の横浜にきた星子は、彼そっくりのタケルと知り合った。だが、春之介と星子はタケルにさんざんからかわれてしまった。気分一転、ふたりはマサルを忘れるために北海道へ向かった。最初の殺人現場に出合ったのは函館の教会、次は札幌近くの石見沢、いずれもタケルの姿を見かけたが、いったいどんな関係が…。
圭は瀕死の佳奈子を前に自暴自棄となり、実の兄妹と自覚しないまま、由実と結ばれてしまった。そして赤ん坊が…。そのことを知った浜田は、由実に結婚を決意させた。待子にも変化が起きた。徹子おばさんが死んだのだ。そして堀米とかいう音楽好きと同棲を始めた。そんな時、圭が内藤家へ帰ってきた。由実は、身重なからだのまま、新しい映画の撮影に入った。事故はその現場で起こった。
高校三年になった花音。報われない愛と知りつつも凪子を好きな慎之介を見て思う。「私だったら、好きな人には、好きを返してほしい…。三年前、一泉くんより淳くんを選んだのは、だからだ。あのとき、本当に好きだったのは誰…?」淳くんの目が弥生を映すことを許せない花音。一泉くんを胸の中から捨てきれない花音。自分の恋のゆくえに十八歳の心は乱れる…。
「あっ、当たった!」あたし(チヒロ)とアユミは抽選に当たって、『全日本そっくりさん大賞』の公開録画に行くことになったの。TV局には加勢大周、吉田栄作、大沢さん、SMAP,etc.のスターたちと、そっくりさんがいっぱい。ちょっと楽屋に忍びこんでスターに会おうとしたあたしたちだけど、とんでもない事件に巻きこまれた。なんと、かあ君のそっくりさんが、殺されていたの。
ローマの国民的英雄であるカエサルが暗殺された。彼の遺言によって後継者はオクタヴィウスと決まったが、ローマは依然として不穏な空気が漂い、二派に分かれて争いが続けられていた。この機に乗じて、マルディン軍団は囚われているアルシノエを救いだした。一方、クレオパトラは反カエサル派から命を狙われたが、危ういところをアシラスに助けられ、すぐにエジプトへ帰国することにした。