1998年発売
予備校講師の久住は、肩に擦り寄ってくる感触に、半分眠ったままで腕を彷徨わせた。(-あれ?)抱き寄せた身体は温かかったが、なにかが違った。スレンダーな女性は好みだけれど、こんなにも肉付きの悪いヒップはついぞ覚えがない。-そうだ。痩せた女ではない。これは、発育途上の少年の身体だ。目を開けるとそこには、昨日、山手線の中で拾った桜庭環のあどけない寝顔があった。
あなたは自分の心の中に、何かが足りないと思ったことはない? 他の人にはあるのに、自分にはそれがないと悩んだことはない? 欠けているものを誰かに埋めてもらいたいと願ったことはない? そのことなら、もう心配はいらないわ。すぐに“そのとき”が来る。新しい可能性がひらかれて、苦しみのすべては終わるときが来る。私の敵〈ブギーポップ〉が邪魔さえしなければーー。私? そうね、敵は私を〈イマジネーター〉と呼ぶわ……。 第4回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞の上遠野浩平が書き下ろすスケールアップした新作。イマジネーターの手から君は逃れられるか……?
君にはやらなければいけないことがあるかい? そうしなくてはだめだと思い込んでいることはないかい? それは君にとって本当に大切なことなのか、真剣に考えてみたことがあるかい? もし、君がどんなことをしてもやり通すというなら、それもいいだろう。だが、それが、何の望みも願いもない、ただの暴走であるなら、君は〈イマジネーター〉の手の中に墜ちているのかもしれない。もしそうなら、このぼくーー〈ブギーポップ〉は、何度でも君の前に帰ってきて、そして“対決”するだろうーー。 ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞の上遠野浩平が書き下ろす、待望の新作。君はブギーポップに救われるのか、それとも……。
不毛の大砂漠地帯・ラブラドル大地峡。その灼熱の大地から、赤き剣を持つ男はやってきたー。北クリスタニアの中央部、フォレースル地方の首都スループを目指し、男とその配下である蟻人族の屈強の戦士たちは北上する。神獣クロイセの名代たるその男の名は、レードン。その頃、ケレンスなる小村の護民兵・カルーアは、テューレやフィランヌら北の王国ダナーンからの使者と出会い、スループを目指すというそのパーティとともに旅立つことになる。臆病で、己に自信の持てぬ自分自身を、変えるために。戦乱の予感の中、それぞれの思惑を秘めて、彼らは出逢い、すれ違う。そして、レードンの真の目的とは。
鬼無里の鬼が目覚める。天狗の真意も知れぬまま、失踪した佐穂子の行方を追って、弓生と聖は長野へと向った。現地で彼らが見たものは、怨みゆえに甦り、襲撃を繰り返す一人の鬼女。だがその正体は、伝説の鬼女紅葉ではなかった…!一方、「柵の一族」と名乗るイズナ使いたちに囚われていた佐穂子は、次第に困惑を深めていく。「どうして紅葉は、私をここに呼んだの?」鬼無里の鬼女は果たして本当に敵なのか。そして、佐穂子をこの地に導いた庄間一哉の思惑とは。
一瞬だった。だけど見間違いじゃない。彼は彼女にキスをした-。いつも電車で見かける彼に、恭子はひとめ惚れ。勇気をふりしぼって告白しようとしたのに、彼、響にはかわいい彼女がいた。どうしてもあきらめられない。彼女の兄、立花先輩を友達から紹介された恭子は、ある決心をする。彼女に近づき、友達になる。そして、きっと彼を奪ってみせる。
学園にヘンな先生がやってきた。カッコイイけどちっとも先生らしくない。その先生が来てからカオリもナンカおかしい…。こりゃ絶対何かある。どうしたんだ、カオリ!パソコンやメールを使った正体の見えない敵に翻弄される“電撃おさわがせ隊”。誰を信じればいいのか?もうカオリたちには、何もわからなくなって…。おさわがせ隊、最後の事件?解散?最大のピンチだ。
楽しい学園生活、美少女を守る最強の男の子、巨大ロボット、次々襲い掛かってくる危機!年代を問わず誰もがワクワクする物語が読みたいならフルメタにお任せ!第1巻を読み終えた時、きっとあなたはフルメタファン!
ロードス統一を唱えたマーモ暗黒皇帝ベルド。その覇業のために、生涯を捧げた一人の男がいた。その名はアシュラム。人々は彼を黒衣の騎士と呼び、畏怖したー。英雄戦争終結後、亡きベルドの遺志を継ぎ、最後まで自由騎士パーンの好敵手であり続けた男の哀しき過去。運命を変えたベルドとの邂逅。そして、美しきダークエルフ、ピロテースと共に新天地を目指す苦難の旅。いま、ここに世界の架け橋となる物語の幕が開く。
「8年前に失踪した、兄の婚約者を探して下さい-」雨の中、桜崎探偵事務所を訪れた女の人は思いつめた目をして、そう言ったの。婚約したばかり、幸せの絶頂のさなかに、どうして彼女は消えてしまったの!?あたし、工藤由香。婚約者を殺したと思われているお兄さんの無実をはらすため、依頼を受けたのはいいんだけど-はたして、8年前の事件の謎が解けるのかしら。
情熱の国で『元気になる水』の原料にされそうなアリスを救出に向かった胸キュン・ペアー。そこには、過酷な試練が待ち受けていた!トシオは、女王様の愛のビビビ光線を受けて、千番目の愛人になっちゃうし、タカシは、いきなり闘牛士にさせられるし、ゆかりは、大胆なサンバの衣装を着せられ、カーニバルで踊りつづけなきゃならないし…。早くアリスを助け出さないと、このままでは、情熱のパワーでみんな燃えつきちゃう。
女のコたちにとびっきりの出会いを提供してさしあげる『リトル・キューピッド』。女子高生モネの始めたビジネスは、鉄男やあきらの助っ人のおかげもあって、大繁盛!でも、今度の依頼は、とっても難問…。「有名人を紹介して」と依頼してきたのは、超太めの女の子、愛里。どーする、モネ!?-読めば絶対ヤセられるってほど、世間は甘くない…けど、確かなヒントはあるよ、きっと。そんな1冊です。お楽しみください。
近づいてくる男の気配を感じ、成見が座ったまま後ずさると、彼は身を屈めて耳元に唇を寄せてくる。「-君が欲しいんだ」ぞくっとするほど低く穏やかな声が、成見の鼓膜を震わせていった。予備校生の成見智彰は、渋谷の街で不審な男に勧誘される。強引につれていかれたビルの地下で男の口から囁かれた言葉に、成見の心は捕らわれて-。
組を追われ、海沿いの小さな町に流れついた男。数か月に一度の盗みを“副業”に、息をひそめるように暮らす彼の元へ、でかいヤマが持ち込まれた。組を乗っ取ったやつらから三億円を掠めとろうというのだ-。組織を失い、世間からもはぐれた行き場のない狼が、飢えた牙を剥き出しにする!鮮烈な『香納タッチ』で描く、寡黙なアウトローたちの肖像。
わたし、松永萌。15歳の高校一年生。北海道から転校したてという以外、とりたてて変わったところのない女の子って言いたいんだけど…普通でないことがたった一つ。じつはわたし、双子なの。しかも、双子の片われは男なんだ!名前は郁弥。このお兄ちゃんが転校早々、生徒会長に立候補しちゃったから、もう大変!学園じゅう大騒ぎなの。選挙のおかげで、わたしの恋の雲行きまであやしくなるし…このさき、どーなるのっ。
「僕、たぶん、まだやれることがあるから」天本はぎょっとして、敏生の顔を見やった。敏生は、微笑していた。そら恐ろしいほどの水音の響く中、血と土とに汚れたその顔は、地底の闇の底で、優しく、柔らかな微光を放っているかのように見えた。「だから…生きて。天本さん」次の瞬間、少年の身体は怒濤の渦に消えた。追儺師・天本と半精霊・敏生。かつてない恐怖、そして最大の敵が二人を襲う。