2015年10月24日発売
人間が大陸の支配者であると説くアミシア教会が勢力を持つ西の大国ヴァルト王国。その国境付近で野盗に追われている獣人の娘フィーネを助けた話術士シンと狐の師匠カズラは、彼女に同行し近くの修道院を訪れる。香油の生産に長けるフィーネたち獣人の部族は、永く人間の支配を受けていた。その状況に我慢ならず暴走しようとする族長を止めるため、修道院長に仲裁を求めるが…。複雑に絡み合う因縁や思惑がシンたちを思わぬ窮地に陥れる!巧みな話術で難局を切り開く、レトリックファンタジー!
ある土曜の夜。空腹を抱えた女子大生の山嶺結は、自宅近くの商店街にひっそりと建つ洋風家庭料理店『すずらん』の前に立っていた。木製の扉には「会員専用時間帯です」と書かれたサインプレートがかかっている。うしろからやってきた他の客と話すうち、なし崩し的に彼女は店に足を踏み入れる。そこで結が目にしたのは、バケモノーいわゆる怪物、幻獣、妖精などと言われる存在で満席の店内だった…。愉快なバケモノと一緒に、美味しい料理を堪能しよう。
心休まる洒落た雰囲気の紅茶専門店マチノワでは、女の姿に化けた狐が紅茶を出してくれるというー。実は彼女、紅茶を淹れるのが苦手。客に紅茶を淹れるのは、もっぱら尼子拓巳という青年の役割だった。そんな店を訪れるのは、悩みやトラブルを抱えた客ばかり。お節介焼きの狐と、そんな彼女に呆れつつもフォローする拓巳なのだが…。これは、人を騙すことがきわめて下手な狐と、人を騙して生きてきた詐欺師との、嘘と紅茶にまつわる物語である。
友達の死から始まった苦い夏休み。僕らは、幽霊に導かれて旅に出た。 その夏、恵太が死んだ。 幼いころからずっと恵太と一緒に育った美穂と、仲良しグループだった大輝、舜、莉乃たちは、ショックから立ち直れないまま呆然とした夏休みを送っていた。 そんなある日、美穂たちの前に現れたのは、死んだ恵太に瓜二つの少年、ケイ。 「君たちに頼みがある。僕が死んだ場所まで来てほしい」 戸惑いながらも、美穂たちは恵太の足跡を辿る旅に出る。 旅の中でそれぞれが吐き出す恵太への秘めた想い。嘘。嫉妬。後悔。恋心。そして旅の終わりに待つ、意外な結末とはーー。 隠された想いを巡る、青春ミステリ。
しがない妖怪小説家・緒方司貴のもとに遠野から不思議な宅配便が届いた。その中身とは…可愛い子狸の妖怪!?異変を感じた司貴は、妖怪のお悩み相談役「座敷童子の代理人」として、遠野の旅館「迷家荘」を再び訪れる。今回、妖怪たちを悩ませていたのは、六角石神社で行われる「妖怪祭り」の大騒動。司貴は、相棒の童子と協力してその解決を図るが、子狸の秘密や天女の捜し物など、増える問題でてんてこ舞いに。そんな一方で司貴&童子の“座敷童子コンビ”も過去の記憶を少しずつ取り戻し…。
目に見えない物を“視る”ことで事件を解決する探偵・日暮旅人が、待望の帰還!旅人に内緒で子猫を拾った灯衣ちゃんの日々-『テイちゃんと子猫と七変化』。旅人の高校時代。そこには旅人に寄り添った優しき兄妹との時間と、切ない恋の物語があったー『君の音』。ほか、洋館の像の呪いに旅人が挑む『像の殺意』、廃校の謎を紐解く、『畢生の接ぎ』、旅人が五感を失わなかった世界を描く『愛の夢』など、本編では語られなかったエピソード全5編を収録した番外編。
裏社会通り。日常からほんの一歩道を違えた場所にあるその街には呪いを抱えた“厄人”たちが集っている。あまりに不運な自分の身の上を「呪われている」と看破されてしまった四ツ葉つゆりもまた、その街に迷い込んだ。彼女が出会うのは、誰からも忘れられる女殺し屋、何もかもを忘れられない情報通、生ける藁人形に宿る探偵、セクシーなインチキ霊媒師…そして、全てを「生かす」呪いにとり憑かれた男ー。呪われた人々の運命が、ひとつの事件を巡り集約しー。