2015年9月15日発売
京都最大の祭に向け、賑わい活気づく千年の都。しかし水面下では、謎の多い殺人事件が連鎖的に起こっていた。点と点を繋ぐのは、十代目当主辰巳が営む老舗の香舗“香魅堂”を訪れるお客たち。京都ローカル誌編集者の佐世子、陶芸師の晶、府警刑事の古賀…。除香師である辰巳は、いつものように彼らの悩みを香で解決していく。そのうちに事件を繋ぐある要素に気がついて…?魑魅魍魎を従えて、暗躍する犯人。祇園祭の夜ー美しき幻想の宵山がはじまる。
あやかしの棲まう“隠世”にある老舗宿・天神屋。女子大生の葵は、その大旦那である鬼神のもとへ、亡き祖父の作った借金のかたに嫁入りさせられそうになる。持ち前の負けん気から、あやかしたちの前で「借金は働いて返す」と宣言した葵。九尾の狐の銀次に助けられつつ、得意の家庭料理を武器に、ついに天神屋の離れに食事処「夕がお」を開店させた。だが、鬼門中の鬼門といわれるその場所は、一筋縄ではいかない。立地条件の悪さ、謎の営業妨害、そして予算削減など、「夕がお」の前途は困難ばかりで…!?
落語家『久条亭』の門下には、二人の弟子がいる。お調子者だが情に篤く、その愛嬌でウケを取る朱雲。涼やかな眼鏡のエリートで、古典こそ至高と腕を磨く蒼雲。性格も芸も真逆の二人は、もはや茶飯事のケンカをしつつ、横浜は桜木町の寄席で高座に上がる。さてある時、朱雲は売店で万引き犯を捕まえるのだが、その意外な正体と事情を知り…!?「そのハナシ、この朱雲が預るッ」「まったく、とんだ茶番だな…」人々に笑顔を結ぶ、落語家たちの人情噺。どうぞ一席、ごゆるりとお楽しみくださいー。
緑深い公園の奥に、ひっそり佇む“たまゆら図書館”。千穂はそこで一冊の本を手にしたことから、あやかし・白火と出逢う。ここはあやかし憑きの書籍を収蔵する不思議な図書館だったのだ。「私はいつでもここにいて、あなたを待っていますから」白火の言葉に背中を押され図書館に通うようになった千穂は、本にまつわる悩みを抱えた来館者の手伝いをすることになり…。「薮の中」「伊豆の踊子」「水墨集」-本に願いを込めた人々と、その思いを糧に生きる儚きあやかしたちが、新しい物語を紡ぐ。
14歳の少年ユートは、幼い頃故郷の村を焼かれて両親を失った。今も夢に見る記憶…村を焼き払い村人を殺していた者達が、掲げていたのは王国の紋章。無力な少年に王国に立ち向かう術は無かったが、命を救われた師に厳しい訓練を受けたユートは少年傭兵となり両親の死の真相を知るために旅に出る。旅の途中、色々な人々や仲間、そして強敵達と出会い、王国の秘密と勇者教会が掲げる勇者信奉の真実を目の当たりにしていくのだった。