制作・出演 : アルバン・ベルク四重奏団
オリジナル・ジャケット仕様&日本語解説付きで好評の廉価盤《ワーナークラシック1000》、アルバン・ベルクQ編(10点)の1点。奥深い表現力と完璧なテクニックによるモーツァルト演奏の最高峰。
アルパン・ベルク・カルテットの録音の中でも、このシューベルトは特にいいもののひとつではないだろうか。ベートーヴェンならともかく、シューベルトの地域性豊かな作品ではこの柔軟で繊細な演奏よりも適切なアプローチは考えにくい。
交響曲第1番と同様、この弦楽四重奏曲2曲も推敲に推敲を重ねて慎重に作曲されている。これが独特の重苦しさに通じていると言うと、ファンのひんしゅくを買うだろうか。この演奏はその作品に律義に寄り添ったもので、特質をよく示している。
深いロマンの森をためらうように彷徨うブラームス。それに比べればドヴォルザークはロマンチックではあっても直情的だ。2つの作品に彼らの演奏は巧みに肉迫するのだが、たっぷりとした情感を湛え、あくまでも美しい。極上の美酒を密かに味わう楽しみ。
音楽からロマンをはぎとり、乾いた現代音楽に導き入れた張本人のように思われているウェーベルンだが、彼らのこの演奏を聴けば、ウェーベルンだってしなやかに動く生命体であり、歌の世界に聴く者を引き入れる力を持っていることが実感されるであろう。
アルバン・ベルクSQの2度目の、しかも短期間でのライヴによる全集からの分売。元来が緊張感の持続するシャープな演奏を聴かせるSQだが、ライヴによりその迫力はさらに増す。技術的完成度の高さは驚異的。緩徐楽章での深い情感と柔和な表現も印象的。
77年から78年にかけて録音され、すでに名盤としての評価を得ているアルバン・ベルクSQによる“ハイドン・セット”。未だに色あせることのないこの名演が、3枚組3千円ちょっとで手に入るというのは嬉しいかぎりだ。当時の彼らの演奏は、今から比べればやや真面目すぎるかもしれないが、モーツァルトの作曲技法の見事さがより浮き彫りにされるという点で良い方に作用している。