制作・出演 : アンドラーシュ・シフ
制作・出演
アンドラーシュ・シフ / ウィリー・ボスコフスキー / ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ / シャーンドル・ヴェーグ / ジェルヴァーズ・ド・ペイエ / モーツァルト / ロンドン交響楽団 / ロンドン管楽合奏団発売元
ユニバーサルミュージックデッカ・レーベルの豊富な音源の偉大さに感心させられる。バッハのディスクでは、冒頭に「G線上のアリア」のオルガン版が収録されているけど、こういった選曲や配列が心憎い。もちろんそれぞれの演奏の水準は高く、演奏面で落胆させられるものはないゾ。
全集からの分売。古楽器も弾くシフは、そこで培った素朴な響きをこの現代ピアノにうまく生かしているようだ。シンプルだが腰は強く、くすんだ音色を目指してはいるが、決して卑屈になっていない。ともに新種の名演であるし、(1)の伴奏もいい。★
第1番の終楽章などかなり速めのテンポをとるが、スポーツ的に陥らず心地よい。ソロはいくらか細身の音で収録されている。伴奏も現代オケの演奏だが、小さめの編成で明晰にすっきりとした音響でソロとよく溶け合っている。明るく、軽さと芯がうまく同居。
制作・出演
アルヴィド・エンゲガルド / アンドラーシュ・シフ / ゾルターン・ラーツ / ハンスハインツ・シュネーベルガー / バルトーク / ブルーノ・カニーノ / モントゼー音楽週間アンサンブル / ローランド・フェニヴェス / 塩川悠子発売元
ユニバーサルミュージックバッハ演奏家としての名をすっかり定着させたシフだが、ここでも現代人感覚にマッチする雄弁な語り口でのバッハを聴かせている。対位法の各声部の動きを実に克明に捉えている。この曲集に関する考察と演奏上の解釈を述べたシフ自身の解説文も興味深い。
シフのバッハ演奏はいわゆる「正統的」なものではなく自由に歌いあげるところに特徴がある。そのため、最初は少なからず違和感があるが、じっくり聴きこんでいくうちに、シフがバッハの譜面から何を読みとったかが見えてくるのが不思議であり興味深い。
ブレンデルさんも絶賛のシフのバッハ。確かに現代のもっともすばらしいピアノによるバッハ演奏。同時進行する音楽の各要素を丁寧に読み取り、的確に表現する。バランスが見事なのだ。5番のアルマンドが特にいい。ジャケット写真のイモさには目をつぶれ。
シフのこれまでのバッハ・アルバム同様、現代人ならではのバッハ演奏を強く印象づける。粒の揃ったタッチにより、ピアノの特性を効かせた生き生きとした表情がきわ立ち、装飾音の扱いも含めて細部の彫琢が丁寧で、組曲ごとに快い流れを形成している。