制作・出演 : ゲリー・カー
クーセヴィツキー自身のコントラバス作品の他、彼と縁の深かった作曲家の作品を収めている。コントラバス奏者でもあったクーセヴィツキーの魂を、現代の名手ゲリー・カーがしっかりと受け継いでいることを伝えるような、情感豊かな名演である。
10年以上前の録音だが、バロック期の作品によるなかなかまとまったアルバム。ゲリー・カーが世に広めたと言っていいエクルズのソナタが、さすがにいつ聴いても胸を打つものがある。彼の魅力はテクニックよりも、むしろその叙情性にあることを納得。
コントラバスの名手ゲリー・カーによるオペラ・アリア集。アレンジもカー自身による。そのためか無理なく歌っていて心地よさを感じさせる。あの大きな楽器をチェロのように演奏してしまう技量に感心し、楽器の響きをチェロ並みにしている録音に落胆。
ゲリー・カーという人は、本当に歌心あふれた人である。このアルバムにもそれが非常に良く出ている。ルイスの好バックに支えられているからかもしれないが、コントラバスの“美しさ”を堪能できる。録音もたいへん豊かな響きで美しい。
ブルッフの「コル・ニドライ」などチェロのレパートリーや、コントラバスのオリジナルな作品と共に他の楽器のための作品や黒人霊歌などのアレンジも加えた小品集。全ての曲がコントラバスと相性が良いかということはさておき、親しみやすい選曲ではある。
コントラバスをソロ楽器として世に市民権を得さしめた最初の人、カーはここでも実に楽しい音楽を披露してくれている。唖然とする程の技巧をもちながら曲芸的にならず、常に音楽の美しさを語る。人柄、ステージ・マナーも万全で、だから彼は人気があるのだ。
チェロで弾いても難しいアルペジョーネ・ソナタを、ゲリー・カーがコントラバスで演奏して話題となったもの。太い低音に、とても魅力的なハイ・ポジション。実に表現力豊かなコントラバスである。なお、カーはクーセヴィツキー夫人から贈られた1611年のアマティ製を弾いている。