制作・出演 : ジョン・ディ・マルティーノ
ショパンという、ある意味で“鉄板”の素材を料理するには、このトリオくらいの力量がないとダメってことなんだろう。マルティーノの甘く艶のある音色、幻想的なフレーズは見事にハマっている。いかにも日本人好きする企画なるも、企画性を技術が凌駕し、しまいには圧倒される。
オーストラリア出身のウッド・ベース弾き語りシンガーがNYでレコーディングした2010年作。艶やかさの中に達観がのぞくヴォーカルの個性が活きる「ダーク・アイズ」、気怠さと力強さを行き来する表現に妹リサのバスクラが効果的に絡む「ブラック・コーヒー」、腰の据わったスウィング感が心地よく、ハリー・アレンのソロも聴きどころの「フィーバー」などがいい。
これまでモンク集やモーツァルト集を出しているトリオ。7作目となる本作ではおなじみのビートルズ・ナンバー13曲に独自のアレンジを施し、繊細かつ優雅に演奏している。マルティーノはトリスターノ系だけあって、グループ名どおりのロマンティックかつクールな演奏。
ヘイクは超一流のスタジオ・ミュージシャン、これを聴けば明快だろう。しかし、この作品が初リーダー作という。バックはロマンティック・ジャズ・トリオ。サンタナの大ヒット、冒頭のタイトル曲から並とは一味違う実力を惜しげもなく発揮。楽器を操る確かな技術を堪能した。
ベテランのジャズ・ピアニスト、ジョン・ディ・マルティーノ率いるトリオ、通算6枚目のアルバム。これまでミュージカル、モーツァルト、モンクなどユニークなテーマに取り組んできたが、ここではラテンの名曲に挑戦。ムード満点の妖艶なジャズ演奏で酩酊させる。
前作にあたるヴィーナスからのデビュー作でいきなり日本で人気となった、ウッド・ベースを弾きながら歌う女性シンガー。彼女のヴォーカルは、へんに力まず、情緒過多にならず、だからこそ、独特のあたたかみのあるフィーリングが歌声から自然とにじみ出ている。