音楽むすび | 制作・出演 : ダニエル・フロシャウアー

ウィーン・フィルの独奏ハープ奏者・メストレのRCAデビュー盤。録音のせいか、繊細なニュアンスが十分に伝わり切らず、もどかしさの残る場面もあるが、ダムロウやウィーン・フィルの同僚たちが花を添えた4曲目や7曲目は実にゴージャスで、たっぷりと耳を楽しませてくれる。

鳥羽泰子のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集の最終巻。5歳の頃の珍しい作品や通常取り上げられないヴァイオリン伴奏付きのピアノ・ソナタなど、ただの小品集ではない、他では味わえないアルバムに仕上がっている。

モーツァルト8歳のときの通称「ロンドン・ソナタ」は、ヴァイオリン伴奏付きピアノ・ソナタとして知られているが、新全集でピアノ三重奏に分類された。本作ではその三重奏版での録音を収録。ファン必聴の1枚だ。

ウィーン・フィルの次代を担う名手による「無伴奏」へのアプローチは、シェリングのそれを想起させるようなはったりのない折り目正しいもの。磨かれた音で和声進行や情感のニュアンスの綾を丁寧に描き、急速な部分でも単なる運動の快楽に陥らない。残響もほどよい。