音楽むすび | 制作・出演 : ボニージャックス

結成50余年になるボニージャックスのコーラスは、じんわりと沁みてくる。NHKラジオ『深夜便のうた』のオリジナル曲「そして葉桜のとき」は、中年にはちょいと痛い情感が漂う。老いを感じ始めたときにその深さを知る「吾亦紅」など、世代によって歌の情景の意味が異なるようだ。

夭折の童謡詩人・金子みすゞの生誕百年&ボニージャックス結成45周年記念盤は、作曲と演奏が田村洋。(1)〜(15)がボニージャックスの唄で、(16)〜(19)がインスト。目に映るものを平易な言葉で描写しているだけのようでいて、その裏に突き抜けるような視線の鋭さを感じさせる。

それぞれに高い演奏のレベルは、クレジットをみるだけで明らか。日本基督教出版局による同名楽譜準拠ということでもあり、実用的(お手本)ニュアンスを多分に持っているのだろう。通して聴くためのディスクではないが、非常にまじめに作られているのは確か。