制作・出演 : マウリツィオ・ポリーニ
第1曲目のプレリュードが鳴った瞬間、ハッとさせられる。あまりにピアノが美しい。恣意的な表現をすべて捨て去った後に残された純粋な音……それこそがバッハの本質。ピリオド旋風が吹き荒れる中、ポリーニが躊躇し、模索し、そして到達した境地がここにある。
制作・出演
BPO / アレクサンダー・ロンクィヒ / イリヤ・グリンゴルツ / クラウディオ・アバド / シモン・ボリヴァル・ユース・オーケストラ・オブ・ヴェネズエラ / ベートーヴェン / マウリツィオ・ポリーニ / マリオ・ブルネロポリーニが演奏活動を再開したころの録音。ポリーニのショパン観が鮮明に出ている演奏で、鮮烈な演奏を強く印象付けた名盤として高く評価された録音。いまだにその新鮮さは少しも色褪せてはいない。
ブラームス48歳時の充実期の傑作で、第1番よりはるかに洗練度が増している。ポリーニとアバドは、さらに洗練させ、澄明で透明感あふれるブラームスを創出。隅々にまで光を当てた明るいブラームスが堪能できる。
ブラームスの最初の大作でもある作品で、ピアノ付交響曲といった趣のある一曲。ポリーニとアバドのコンビは、必要以上に重厚にならず、青春の息吹に富んだ清涼感あるブラームス像を作り上げている。
鋭利さに満ちたポリーニのピアニズムが堪能できる一枚。中期から後期にかけてのベートーヴェンの傑作群を集めたアルバムで、ベートーヴェンの革新性と保守性、精密な構築性などが唖然とする完璧さで開示されている。
別々に発売されていたバラードとスケルツォを一緒にした、ファンにはありがたい組み合わせのアルバム。正確無比なポリーニのテクニックの上に、ショパンの感情のひとつひとつの襞(ひだ)を捉えた驚異的な演奏だ。
モーツァルトの権威として知られるカール・ベーム指揮による、モーツァルト・ピアノ協奏曲を収録した作品。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の、弦楽部の美しさを存分に堪能できる名盤。
1999年のショパン・アルバムから、6年ぶりとなるショパンの夜想曲集。生前に出版された、いわば作曲者の承認済みの作品19曲だけを録音している。感傷に流れない、夜想曲本来の姿がここにある。
響きが切り立ってピアニスティックに情動を沸き立たせる形ではない。音色のきらめきを抑え、キメを、ふ、と抜いて音との距離を作ることで想いの行方を聴き手に預け、浪漫世界にじっくり誘い込む。あえて初版を使うなど、語り部ポリーニを印象づける練達の熟演。
ショパン・コンクール優勝後、演奏活動を休止して研鑚を積んだポリーニ。当盤は、コンサートを再開する直前に録音された貴重な記録。20代のポリーニの瑞々しい感性が伝わってくる。