制作・出演 : レーヌ・ジャノーリ
ともにエドウィン・フィッシャーの弟子である、バドゥラ=スコダとジャノーリによるモーツァルト。しかもシェルヘン、ウィーン国立歌劇場管がバックを支えているとなれば、これは見逃せないアルバムだ。
ジャノーリは、コルトーの高弟ということだが、同じく師事したレヴィやナットに近く、新即物主義の洗礼もかなり受けているようだ。このメンデルスゾーンも端正で抑制のきいたファンタジーを感じるが、きびきびしたディテールの明瞭な音楽を作る。また、若きホルヴァートの好サポートも見逃せない。
レーヌ・ジャノーリは1940〜1950年代に活躍したフランスの女流ピアニスト。明確な音型を刻みながらロマン的な香りを漂わせる「前奏曲とフーガ」を聴けば、メンデルスゾーンがいかにバッハに傾倒し、さらにその先に自在に飛翔する音楽を求めたかがよくわかる。1957〜1958年に録音された初期LPからの復刻だ。
レーヌ・ジャノーリ(1915〜1979)というフランスの女性ピアニストの名前を聞いても知らない人は多いかも。若くして後進の育成に精力を傾け、数少ない録音もステレオ初期までなので無理もない。しかし寡黙で上品なドビュッシーは一聴の価値あり。
ジャノーリによるモーツァルト、ピアノ・ソナタ全集の最終巻。フランス・ピアニズムの正統な後継者のひとりであるジャノーリの再評価に大きな貢献をした全集といえる。改めてその価値は非常に高い。
パリ生まれでコルトーに師事、エネスコやE.フィッシャーとの共演でも知られる往年のピアニスト、ジャノーリ(1915〜1979)。短めのフレージングで表情は折り目正しいが、振幅の大きなルバートが古き良き時代を感じさせる。板起こしだがノイズはほとんどなく良質な復刻。
全5集で完結するシリーズの3枚目。ジャノーリ(1915〜1979)は長くパリ音楽院の教授も務めたピアニスト。タッチにおいても音色においても洗練されたピアニズムは、モーツァルト演奏でも生かされて、時代を超えた美しい演奏となっている。それにしてもこの自然さは見事だ。
フランスの名花ジャノーリ(1915〜1979)の残したモーツァルト全集の一枚。速い楽章はいくらか遅め、遅い楽章は気持ち速めの穏やかな演奏。気品と粋な雰囲気にあふれ、いかにも貴婦人という感じだ。LPからの復刻だが、ノイズは少なく、音質は非常に明瞭。
ほのかな温もりさえ感じさせる叙情的なラヴェルである。研ぎ澄まされた硬質の響きとは対極の演奏と言って良い。豊かな音楽が満ちあふれる「水の戯れ」などまさに絶品。こうした演奏姿勢は「夜のガスパール」のような難曲でも変わらず、表情はあくまでもしなやかだ。
大言壮語したり技の切れ味を聴かせるわけでもないので、一聴すると何の変哲もない平凡な演奏という印象を受けるかもしれぬ。しかし、そのノーブルな慎ましさのうちにある微妙な陰影と穏やかな静けさは、趣味良く充実した音楽的時間をもたらしてくれる。